古の冒険都市は観光地化の波に飲まれました 〜次は(俺・オレ・私・あたし・わたくし)のターン〜

杏仁霜

文字の大きさ
277 / 405
mission 4 ワンコ王国、建国のススメ!

建国の先を見据えて

しおりを挟む
side-デュエル 11

 その後、俺たちは襲撃者への警戒をしつつ開拓に勤しんだ。ラスファが集めるよう指示した殺虫草やレックスたちの手助け、さらには非戦闘員たちのサポートも多大な功績をあげている。

「自分の国を作るのが、こんなに充実してるなんて! 見てください、こんなに織れましたよ!」
 フローネと名乗った犬獣人族の少女が、嬉しそうに複雑な幾何学文様の入った布を広げて見せる。
「うわあ、素敵! デザインも綺麗!」
「このデザインって、伝統の柄ですか?」

 アーシェやラグたちはデザイン談義に花を咲かせている。華やかな眺めに年配の犬獣人たちは頬を緩めていた。建国がなされれば、こんな光景がいつでも見られるんだろうな。
「そうですね、古い文様もあれば新しいものもありますよ。やろうと思えば、自分で考えて作る事だってできます!」
「「すっごーい!」」

 それを聞いてアーチは何を思ったか、彼女たちに話しかけた。
「なあ、なんでもって言ったよな? じゃあ、こんなのはどうよ? 正確にできそうか?」
 奴が差し出したのは、自分のポンチョに入った複雑な魔術文様。ラスファの上着の裾や袖にも入っている『防御』の力を込めたものだ。

「…ええ、できると思います。この柄が、お気に入りですか?」
 そこで俺も会話に入ってみた。
「どうしたアーチ?」
「いやな? 建国するってんなら、新しい『産業』ってのもいるんじゃねぇの? 他の国との有効打になりうる『交易品』とかよ。当面は背中合わせに位置するエルダードが交易相手になりそうだからな、これならどうかと思ってよ?」

 俺は言葉を失った。建国というのは、確かにそういうものだ。国同士のやりとりが必要なこともある、それには交易も含まれることも!
 案外こいつ、色々と気が回るな…。
「どうよ? もっと褒めてもいいんだぜ?」
 いつもはムカつくが、俺は今回素直に白旗を上げることにした。
「ああ、確かにな。俺なら絶対に交易まで考えが及ばないだろう…いっぱしの商売人並みの発想だな。さすがだ」

 俺の本心からの賞賛に、アーチは何故か気まずそうに目をそらす。
「お…おう。そうかよ、商売人か…」
 …俺は何か、彼の地雷を踏んだのだろうか? 
 そういえば俺は案外、アーチのことを知らないことに気がついた。気がつけば仲間に加わっていたし、いつもつかみ所のない飄々とした態度でヘラヘラと笑っている。

 実家が商売でもしていたんだろうか?

 …いかん、悪い癖だな。
 本人が語らないことを深く詮索するのは、仲間内でも控えるべきだ。
 『掃除』が一気に進んで建国までの目星がついたために、気にするべきことが増えただけの事。
 産業や交易品に並行して水や食料の安定的な確保、住環境の整備…そして治安維持を始め様々なことを整備しなくてはならない。

 掃除に続く問題の解決策を探りに、俺は近辺の散策に出ることにした。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

処理中です...