古の冒険都市は観光地化の波に飲まれました 〜次は(俺・オレ・私・あたし・わたくし)のターン〜

杏仁霜

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mission 4 ワンコ王国、建国のススメ!

反撃とイモの皮

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side-アーチ 9

 とりあえず、ここの連中の交易産業は一つだができた。いくら建国したっても、交易の商品もなけりゃ立ちゆかねぇ事ぐらいわかってそうなもんだがよ? 
 欲を言うならまだまだ安定的に生産できる特産品を作るべきなんだろうが…まだまだ考慮する余地はありそうだ。

 オレは開拓した遺跡の建物に寄ってみた。やっぱいたか、この厨房エルフラスファ…。
 通りに面した建物の軒下でイモの皮を剥いているラスファの姿を見つけると、オレは苦笑した。考え事してる時はとりあえず、何か作業する癖がついているワーカホリックっぷりは相変わらずだ。

「見てるなら、手伝って行け」
 イモから目を離さず、素っ気ない調子で奴は言う。黙ってそばのバケツからイモを取ると、オレはどっかりと座り込んだ。
 珍しく素直に従うオレにぽかんとした目を向けると、奴は数秒手を止める。だがすぐにイモに目を戻して剥き続けた。

「…連中の処置、どうする?」
 捕まえた闇ギルドの処遇を考えてたのか。オレは肩をすくめてイモに刃を滑らせる。
「自警団に連れてくか? ダンチョーの奴がテンパるだろうぜ」
「ラインハルトの負担も増えるだろうな」
 剥き終わったイモをカゴに放り込むと、新しいイモを手に取りながら奴はため息をつく。

「それよりもよ、建国までに片付けることがあるだろ」
「…国主の件か。ギルド上層部は、我々の誰かを主人リーダーとさせて傀儡政権を敷く気満々のようだったな」
 こいつもそう思ってたか。普段から反りが合わねェのに、こういうところの考えは似てんだよな。
「ああ…明言は避けてたが、その気だろうな」
「背中合わせで同じ遺跡を共有するように誘導するのは、簡単だったろう。目的は属国化か?」

 覗き込んだバケツには、まだイモが山を為している。先はなげぇな。
 ちらほらと増えてきた、オレらを主人マスター扱いする連中の熱い視線を思い返すと肩を落としながらオレは呻く。
 
 しばらく、無言でイモを剥き続けた。
 足元にできたイモ皮の山が、だんだんと高く積み上がっていく。現実逃避だって? そう思うってんなら、そう思ってくれてかまわねぇぜ? 建国に伴う諸々の問題が山積みなんだ、実際のところそれに近いんだからよ。
 ややあって、オレは本音を吐き出した。

「国主なんぞ、決めなくてもいいのによ…めんどくせぇ」
 ふと、奴が手を止めた。何か閃いたのか?
「そうか…確かに決める必要などない」
「…あ?」
 ラスファは良からぬことを企む目つきで虚空を見つめた。
「この件に関する依頼主は、冒険者ギルド。諸々をこちらに丸投げしてきたなら、やりようもある。も『判断は任せる』と明言していた…!」

 …なるほどね。
「だったらせいぜい、利用してやればいいってことか? いいぜいいぜ、得意だぜそういうの!」
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