古の冒険都市は観光地化の波に飲まれました 〜次は(俺・オレ・私・あたし・わたくし)のターン〜

杏仁霜

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short mission 4 宅配戦線、異常あり!

試作の果実、美味しすぎ!

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Side-アーシェ 4

 ネルソンさんが勧めてくれた新しい果実…今まで見たことのない白葡萄マスカット! 早速ひとつ、いただいてみた。

甘い。それでいてくどさなんか一切ない! 爽やかで香り高い果汁が溢れ出し、程よい硬さの果肉の歯ごたえも加わって絶妙なハーモニーを奏でてる!
 ああもう! 月並みだけどこれ以上、どう表現したらいいのよぉ~!!!

 その場でジタバタと足踏みするあたしと、うっとりとキラキラしたオーラを飛ばすラグちゃん。
 気がつけば兄貴たちは遠巻きにドン引きしてあたしたちをうかがっていた。
「おい? …大丈夫か?」
 恐る恐るあたしのこめかみをつつく兄貴。

「「…す…」」
「?」
「「す…す…」」
「???」
 怪訝そうに覗き込んでくる兄貴たち。
 ぷるぷる肩を震わせるあたしとラグちゃん。

「「すッッッッごく!!!!」」
「美味しい!!!」
「美味しいです!!!」

あたしとラグちゃんの声がハモった。だって、だって! こんな美味しい果物、初めてなんだもん!

「あ、俺どっかで見たことある…このリアクション」
「オレも。白銀亭ウチのスイーツ初めて食った女客が、よくテーブルの下でジタバタしてたわ」
「ああ、アレ美味いって表現だったのか。しかしお前、よく見てるな…」
「そりゃオメー、女の行動はなんでも見てるぜ?」
「…お前が言うと変態じみて聞こえるよ」
「余計なお世話だ!」

 デュエルとアーちんがそんな会話してたけど、当のあたしたちは聞いちゃいない! 
「こんなすッごい果物で果実水作る気なの?! 正気?!」
 「こんな美味しい果実水だったら、毎日でも飲みたいです!」

「あー! でもコレ商品化されたら行列ができちゃうじゃないの! どうしよう~!」
「でも並ぶだけの価値ありすぎますわ!」
 ネルソンさんは、そんなあたしたちを見ながらぎこちなく笑みを見せる。
「では、今日のところはこれなどいかがでしょう?」

 彼は近くの枝に実っていた大き目の房を指し示した。軸のところに小さくて赤いリボンを結んである。うわああああああ、すごい! ツヤツヤでキレイ! 宝石みたいに透明感ある緑色!

 その時、急にあたしは後ろに引っ張られた。兄貴だ。厳しい目をネルソンさんに向けている。
「こら、今するべき事を優先しろ」
 うー…そりゃ確かに正しいけどさぁ…。あたしは恨みがましく兄貴を見上げた。
「ネルソンさん、寄り道はここまでですよ」
 デュエルまで厳しく言ってくる。
「もう…わかったわよ! 先に行こう!」

  先に進むあたしを見て、ネルソンさんはなんとなくホッとしたような顔を見せた。
 なんだろう、ちょっと気になる。

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