古の冒険都市は観光地化の波に飲まれました 〜次は(俺・オレ・私・あたし・わたくし)のターン〜

杏仁霜

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mission 5 冒険者は 期間限定教師?

休憩・学長先生のお話

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Side-デュエル 3

  今日の授業も終えて。
  今日の砦の『清掃』も終わった後で俺はすっかり気に入ってしまった校舎屋上から村を見下ろして大きく息をついた。
  いい村だ。きっちりと整えられた大きな畑の実りは申し分ないし、人々もおおらかで陽気だ。

「おや、こちらにおられましたか」
  かけられた声に振り返ると、この学校の学長兼村長が手を振っている。
「いい村ですね、ここは」
「ありがとうございます。これは先先代の村長…私の祖父の功績です」
「この、学校教育の場も?」
  俺の質問に、彼は笑みを深める。

「祖父は、凡庸な私と違って幼い頃から神童と呼ばれるほどの才を持っておりました。学問の都クノーベルに留学をした際に『教育こそが人の礎』という信念を得たそうで。長じて村長に就任するなり、区画整理や学校の整備を真っ先に手がけたそうです。さらに近隣の村や町からも子供を受け入れて、年々規模は大きくなりました」

  俺は再び眼下の光景を見下ろした。その功績が今のこの村を形作っている。
「素晴らしい功績です。おかげで今の豊かな村が実現したのですね…。冒険者を引退する時が来たら、ここに移り住むのもいいでしょうね」

  学長は頷いた。その笑みが少し曇る。
「ただ、豊かなこの村を狙って野盗などが侵入する事例が見られるようになりまして。そのうち大きな襲撃があるかもしれないと危惧もしております」
  ああ…ありうる。
  こんな豊かな村は、そうそうない。防衛のことも考えた方がいいかもしれないな。

「そういえば…そろそろ、本当のことを教えていただけませんか?」
  俺は学長を振り返った。我ながら、人の悪そうな笑みを浮かべていると思う。
「本当のこと…と、おっしゃいますと?」

「本当はこっちの…教師の依頼がメインだったんじゃないですか?」

  俺の指摘に、彼は「バレましたか…」と苦笑で答えた。
「後悔しておられますか? この依頼は…」
「いいえ。仲間のラグは、もともと教師になるのが夢だそうですから。嬉々として教壇に立ってますよ。それに…アーチやラスファは俺よりもよほど聡いので、とうに気づいているでしょう。それでも何も言わないということは、それぞれ思うところがあると思いますし。アーシェも、楽しんで今の仕事をこなしています。たまには教える側に回ることで、彼女にもプラスになるでしょうね」

  俺の答えに、彼は深々と頭を下げた。
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