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mission 1 俺たち、観光大使じゃない冒険者!

情報通の独り言

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side-???

 まったく、うちの姪っ子ときたら。
 いつかは、あたしの後継者にでもなるつもりなのかしら?
 それでなくても、学友達からは『情報通』呼ばわりされているそうじゃないか。
 資質は十分なんだけど、油断も隙もないね。
 まあ、あたしも姪っ子は可愛いからどうしても甘くなっちゃうんだけどね?
 昔から比べりゃ、ずいぶんあたしも丸くなったもんだわ。
 最近頭角を現した有望株からの賄賂…いや、フルーツタルトで買収されるなんてさ。
 いまの地位を築き上げるための騙し討ちの応酬を生き延びた頃とは大違いだわ。
 まあ、全てはこの容姿のおかげなんだろうけどね?
 でも、あの地図を与えたのはやりすぎだったかしら? 
 最近、きな臭くなってるから心配になってきたわ。
 「友達に見せたい」って言ってたけど、冒険者の友達でも出来たのかしら?
 あたしとしては、歴史の方に興味を持って欲しかったんだけどね。
 そもそも、盗賊にとって地図の価値がどんなものかわかってないんでしょうね? 
 できればあの子には、こっちの道に来て欲しくないわね。
 大人しく、魔術師としての道を歩んで欲しいものだわ。
 

 あの地図は、ほんの五十年前の部下の形見を写したもの。
  気が強いわ好奇心旺盛だわ、向上心にあふれているわ…っていう、理想的な部下だった。
 恋人の戦士と共に探索の仕事に行くと言って、そのまま戻らなかった。
 もう風化しつつある、五十年前の『あの事件』で命を落とした、女盗賊の…。

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