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mission 1 俺たち、観光大使じゃない冒険者!
見習い魔術師の悩み
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Side-アーシェ 2
あたし達は、レオン…じゃなかった、ラドフォード卿の案内で奥の封印の間に向かっていた。
魔法の灯りが照らす暗闇が、随分と広く見える。ここの通路って、広すぎるわよね。そりゃそっか、兄貴もデュエルもアーちんも、今はいないんだし!
ほんっとにもう、なんでうちの男連中ってこうなのよ!
デュエルはデュエルで、マイペースにあっさりと別行動しちゃうしさ。
兄貴もアーちんも、売られた喧嘩をあっさりと買っちゃうし!
あたしたちだけで行って、奥の魔神をどうにかできるなんて思ってるのかしら? 冗談じゃないわよ、本当に! なんで適当にかわすとか、もっと他の方法を取らないのよ! そりゃまあ、通路を封鎖されたり崩されたりじゃそうせざるを得なかったっていえばそうなんだけど。
「アーシェさん、どうかされましたの?」
ふと気づくと、ラグちゃんが心配そうにあたしの目を覗き込んでいる。いけないいけない、あたしってば。あたしは沸き立つ怒りを飲み込んでラグちゃんに引きつった笑みを返した。
「んー、別になんでもないんだけどね。いきなり別行動するなんて思ってなかったから」
うん、口に出して初めて気づいた。確かにこれが一番正直な本音かも。そりゃ確かに、冒険中の別行動なんて、よくあるいつものことだけど…何も、ラスボス直前にまとめていなくなることないじゃないの! でもラグちゃんは、あたしの返事を誤解したみたいだった。
「そうですわね。師匠はああ仰いましたが…心配するのは当たり前ですわよ。こうしてる間にも、師匠たちが危険に晒されているのではないかしらと…」
「違う違う、そっちじゃなくてさ。あたしの中じゃ、戻ってくるのは確定なの。でも病魔が復活するまでに間に合わなかったら…あたしたちだけで、こんな大物をどうにかできるわけないじゃないって…」
そうよ、悔しいけどあたしやラグちゃんみたいな見習いが、ここから先にできることなんてそうそうあるわけじゃない。それならラドフォード卿は…そう思ってみたけど、どうもレオンの姿じゃあまり説得力ないしさ。ああもう、考えてるうちに暗い気分になっちゃうじゃないの!
そうこう言っている間に、かすかな金属を打ち合わせる音が聞こえた気がした。洞窟に近いような遺跡だと、ここまで響くのかな?それとも案外、デュエルは近くにいたりして?
『不安なのかな、お嬢さん方?』
不意にかけられた声に顔をあげると、あたしたちよりも少し先でラドフォード卿が立ち止まってこっちを振り返っていた。兄貴ほどじゃないけど、あたしも少しなら暗闇を見通せるからわかる。彼は今、「仕方ないな」とでも言いたげな苦笑いを押し殺してるみたいだった。それを見た途端、頭の中に飲み込んだはずの熱い血が逆流する。
「違うってば! あたしは、病魔と当たる前に兄貴たちがやりすぎないかってことの方が心配なだけよ! 知ってる? あの三人って、ああ見えて戦闘になると結構血の気多いのよ? ボスとやりあう前にバテてたんじゃ、話にならないじゃないの。あたしだって、自分が見習いだってわかってる。わかってるけど、それでも対処しきれなかったら観光客も含めて街が丸ごと壊滅することくらいは理解してるよ。あたしはただ、優先順位を持てって言いたいだけよ!」
頭に血が登ったついでに、あたしは胸の内を盛大にぶちまけてしまった。それでも、あたしは止まらない。
「だいいち、あたしが兄貴たちを心配できる立場じゃないのもわかってるわよ。いつも心配かける側だし。こんな時ぐらい、あたしにできることはないかって考えたけど、びっくりするほど何もできないのもわかってる」
「アーシェさん…」
同じことを思ってたのか、ラグちゃんがそばで小さく頷く。どんなに追いつきたいと思ってても、目の前にいる三人の背中は近いようでいて果てし無く遠い。実力が違いすぎるなら、兄貴たちのお荷物になってるんじゃないかって考えたことも一度や二度じゃない。でも…。
「でも、なんとかしたいのよ。何もできなくても…なのに、兄貴たちにできてあたしにできることって…何もないんだもん…」
情けないよね。後半の声は、涙で歪んじゃってる。こんな時に足手まといにならないように、もっと強くなりたいのに。
あたし達は、レオン…じゃなかった、ラドフォード卿の案内で奥の封印の間に向かっていた。
魔法の灯りが照らす暗闇が、随分と広く見える。ここの通路って、広すぎるわよね。そりゃそっか、兄貴もデュエルもアーちんも、今はいないんだし!
ほんっとにもう、なんでうちの男連中ってこうなのよ!
デュエルはデュエルで、マイペースにあっさりと別行動しちゃうしさ。
兄貴もアーちんも、売られた喧嘩をあっさりと買っちゃうし!
あたしたちだけで行って、奥の魔神をどうにかできるなんて思ってるのかしら? 冗談じゃないわよ、本当に! なんで適当にかわすとか、もっと他の方法を取らないのよ! そりゃまあ、通路を封鎖されたり崩されたりじゃそうせざるを得なかったっていえばそうなんだけど。
「アーシェさん、どうかされましたの?」
ふと気づくと、ラグちゃんが心配そうにあたしの目を覗き込んでいる。いけないいけない、あたしってば。あたしは沸き立つ怒りを飲み込んでラグちゃんに引きつった笑みを返した。
「んー、別になんでもないんだけどね。いきなり別行動するなんて思ってなかったから」
うん、口に出して初めて気づいた。確かにこれが一番正直な本音かも。そりゃ確かに、冒険中の別行動なんて、よくあるいつものことだけど…何も、ラスボス直前にまとめていなくなることないじゃないの! でもラグちゃんは、あたしの返事を誤解したみたいだった。
「そうですわね。師匠はああ仰いましたが…心配するのは当たり前ですわよ。こうしてる間にも、師匠たちが危険に晒されているのではないかしらと…」
「違う違う、そっちじゃなくてさ。あたしの中じゃ、戻ってくるのは確定なの。でも病魔が復活するまでに間に合わなかったら…あたしたちだけで、こんな大物をどうにかできるわけないじゃないって…」
そうよ、悔しいけどあたしやラグちゃんみたいな見習いが、ここから先にできることなんてそうそうあるわけじゃない。それならラドフォード卿は…そう思ってみたけど、どうもレオンの姿じゃあまり説得力ないしさ。ああもう、考えてるうちに暗い気分になっちゃうじゃないの!
そうこう言っている間に、かすかな金属を打ち合わせる音が聞こえた気がした。洞窟に近いような遺跡だと、ここまで響くのかな?それとも案外、デュエルは近くにいたりして?
『不安なのかな、お嬢さん方?』
不意にかけられた声に顔をあげると、あたしたちよりも少し先でラドフォード卿が立ち止まってこっちを振り返っていた。兄貴ほどじゃないけど、あたしも少しなら暗闇を見通せるからわかる。彼は今、「仕方ないな」とでも言いたげな苦笑いを押し殺してるみたいだった。それを見た途端、頭の中に飲み込んだはずの熱い血が逆流する。
「違うってば! あたしは、病魔と当たる前に兄貴たちがやりすぎないかってことの方が心配なだけよ! 知ってる? あの三人って、ああ見えて戦闘になると結構血の気多いのよ? ボスとやりあう前にバテてたんじゃ、話にならないじゃないの。あたしだって、自分が見習いだってわかってる。わかってるけど、それでも対処しきれなかったら観光客も含めて街が丸ごと壊滅することくらいは理解してるよ。あたしはただ、優先順位を持てって言いたいだけよ!」
頭に血が登ったついでに、あたしは胸の内を盛大にぶちまけてしまった。それでも、あたしは止まらない。
「だいいち、あたしが兄貴たちを心配できる立場じゃないのもわかってるわよ。いつも心配かける側だし。こんな時ぐらい、あたしにできることはないかって考えたけど、びっくりするほど何もできないのもわかってる」
「アーシェさん…」
同じことを思ってたのか、ラグちゃんがそばで小さく頷く。どんなに追いつきたいと思ってても、目の前にいる三人の背中は近いようでいて果てし無く遠い。実力が違いすぎるなら、兄貴たちのお荷物になってるんじゃないかって考えたことも一度や二度じゃない。でも…。
「でも、なんとかしたいのよ。何もできなくても…なのに、兄貴たちにできてあたしにできることって…何もないんだもん…」
情けないよね。後半の声は、涙で歪んじゃってる。こんな時に足手まといにならないように、もっと強くなりたいのに。
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