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mission 2 孤高の花嫁
ばあやとボンボンのエトセトラ
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Side-デュエル 7
依頼の話はさておき、気になったのだろう。アーチが、ところでよ…と前置きしてフランシスに尋ねた。
「なあ、オレたちってそんな目立つか? 使用人にも特徴がわかるって、どんだけだよ?」
その問いに、フランシスが満面の笑みで答える。
「そりゃもう! 鎧姿の大男にナンパ師風の金髪と硬派そうな銀髪、加えて小柄な女の子が二人ときたら、君たちしかいないさ。こんなチグハグな集団、冒険者でもなきゃありえないしね?」
「「「悪かったな!!!」」」
オレとラスファ、そしてアーチのツッコミがキレイに揃った。
「つーか、誰だよンな報告書書いた奴は?」
「えーと…久し振りに集まった遠縁の親族、とかいかがでしょうか?」
そこにラグが、天然で大ボケをかましてきた。
「なんでちょっと嬉しそうなんだ、ラグ…」
ないない、普通になしだそれ。
「そういえばさ、親戚の祝い事って何があったの?」
試験サボりたさに細かいことを横に流すことにしたらしいアーシェが、思い出しがように小首を傾げる。窓から見た城の正門が、もう目前に迫ってきていた。
「ああ、それがね。僕の従兄弟の結婚が決まったんだ。今晩がちょうど親族へのお披露目と祝賀パーティの予定なんだ。君達もぜひ、参加してくれないか? 冒険の話とか、喜ばれるよきっと! あ、もちろん衣装はこっちで用意するからさ?」
その申し出に目を輝かせたのは、もちろん少女たちだ。
「うわあ♪ お城でパーティ! 憧れてたのよね!」
「わたくしもですわ! 花嫁さんにもぜひご挨拶したいですしね」
その感性に、珍しくフランシスが顔を曇らせた。
「? 何か不都合でもあるのか?」
見逃さなかったラスファの問いに、彼はかぶりを振る。
「今回の依頼にも関連することでね。まあ、その話は後で…」
俺たちを乗せた馬車は、軽快な蹄の音を引き連れて正門をくぐる。城の前では大勢が馬車を出迎えるべく列をなしていた。彼らの列もだが、背後の城にも圧倒させられるスケールだ。俺が見たことがある城に比べたら小さめではあるのだが、改めてフランシスの実家のすごさを思い知る。
恐る恐る馬車を降りた俺たちの前に、飛びつかんばかりの勢いで元気な人影が現れた。年の頃は六十をこすか越さないかと言ったところの、ふっくらとした女性だ。人の良さそうな笑みが好感を持たせる。
「まあまあまあまあ! フランシスぼっちゃま! おかえりが遅いから心配しましたよ!」
そして彼女は俺たちを見回すと、白いハンカチで目元を抑えた。
「ああ、それにしても…ぼっちゃまのお友達なんて初めてですよう…それも、こんなに大勢!」
「いや、今その話はいいから、ばあや!」
あー…なんというか、こいつ昔っからこんな調子だったのか。友達も少なかったんだなぁ…。
思わず生あったかい視線でフランシスを見てしまう。彼女は小さく咳払いして、改めて俺たちを見回す。
「ご友人方もご無事のお着き、何よりです。この雨では難儀しましたでしょう、まずはお湯浴みでスッキリなさってくださいましな。あ、それまでにお茶の方が宜しゅうございますかねえ?」
「相変わらずせっかちだね、ばあや。あ、紹介するよ。ばあやのマーサ。ちょっとそそっかしくて世話好きなんだ、よろしくね」
「あらあら、だってぼっちゃまがお友達を連れておかえりなんて、今までにありませんでしたからね! このマーサ、全身全霊でおもてなしいたしますよ!ええそりゃもう!」
そう言いながら腕まくりする仕草がやけに可愛らしく思えて、アーシェたちはクスクス笑い声を立てる。
「こちらの可愛らしいお友達も、晩のドレスを見繕うのが楽しみですねえ! お嬢様の昔のドレスに、お似合いになりそうなものがありますよ!」
「うわあ、楽しみ!」
「しかし、他のみなさん…特にこちらの方…」
彼女は困ったように俺を見上げた。
「旦那様のお洋服の仕立て直しに、しばらくお時間下さいましね。ちょっと入りそうにないので…。あ、皆さん後で採寸させてもらえるかしら?」
…ちょっと直して規格外サイズの俺が着られる礼服にできるのか…少々不安に駆られる俺だった。
依頼の話はさておき、気になったのだろう。アーチが、ところでよ…と前置きしてフランシスに尋ねた。
「なあ、オレたちってそんな目立つか? 使用人にも特徴がわかるって、どんだけだよ?」
その問いに、フランシスが満面の笑みで答える。
「そりゃもう! 鎧姿の大男にナンパ師風の金髪と硬派そうな銀髪、加えて小柄な女の子が二人ときたら、君たちしかいないさ。こんなチグハグな集団、冒険者でもなきゃありえないしね?」
「「「悪かったな!!!」」」
オレとラスファ、そしてアーチのツッコミがキレイに揃った。
「つーか、誰だよンな報告書書いた奴は?」
「えーと…久し振りに集まった遠縁の親族、とかいかがでしょうか?」
そこにラグが、天然で大ボケをかましてきた。
「なんでちょっと嬉しそうなんだ、ラグ…」
ないない、普通になしだそれ。
「そういえばさ、親戚の祝い事って何があったの?」
試験サボりたさに細かいことを横に流すことにしたらしいアーシェが、思い出しがように小首を傾げる。窓から見た城の正門が、もう目前に迫ってきていた。
「ああ、それがね。僕の従兄弟の結婚が決まったんだ。今晩がちょうど親族へのお披露目と祝賀パーティの予定なんだ。君達もぜひ、参加してくれないか? 冒険の話とか、喜ばれるよきっと! あ、もちろん衣装はこっちで用意するからさ?」
その申し出に目を輝かせたのは、もちろん少女たちだ。
「うわあ♪ お城でパーティ! 憧れてたのよね!」
「わたくしもですわ! 花嫁さんにもぜひご挨拶したいですしね」
その感性に、珍しくフランシスが顔を曇らせた。
「? 何か不都合でもあるのか?」
見逃さなかったラスファの問いに、彼はかぶりを振る。
「今回の依頼にも関連することでね。まあ、その話は後で…」
俺たちを乗せた馬車は、軽快な蹄の音を引き連れて正門をくぐる。城の前では大勢が馬車を出迎えるべく列をなしていた。彼らの列もだが、背後の城にも圧倒させられるスケールだ。俺が見たことがある城に比べたら小さめではあるのだが、改めてフランシスの実家のすごさを思い知る。
恐る恐る馬車を降りた俺たちの前に、飛びつかんばかりの勢いで元気な人影が現れた。年の頃は六十をこすか越さないかと言ったところの、ふっくらとした女性だ。人の良さそうな笑みが好感を持たせる。
「まあまあまあまあ! フランシスぼっちゃま! おかえりが遅いから心配しましたよ!」
そして彼女は俺たちを見回すと、白いハンカチで目元を抑えた。
「ああ、それにしても…ぼっちゃまのお友達なんて初めてですよう…それも、こんなに大勢!」
「いや、今その話はいいから、ばあや!」
あー…なんというか、こいつ昔っからこんな調子だったのか。友達も少なかったんだなぁ…。
思わず生あったかい視線でフランシスを見てしまう。彼女は小さく咳払いして、改めて俺たちを見回す。
「ご友人方もご無事のお着き、何よりです。この雨では難儀しましたでしょう、まずはお湯浴みでスッキリなさってくださいましな。あ、それまでにお茶の方が宜しゅうございますかねえ?」
「相変わらずせっかちだね、ばあや。あ、紹介するよ。ばあやのマーサ。ちょっとそそっかしくて世話好きなんだ、よろしくね」
「あらあら、だってぼっちゃまがお友達を連れておかえりなんて、今までにありませんでしたからね! このマーサ、全身全霊でおもてなしいたしますよ!ええそりゃもう!」
そう言いながら腕まくりする仕草がやけに可愛らしく思えて、アーシェたちはクスクス笑い声を立てる。
「こちらの可愛らしいお友達も、晩のドレスを見繕うのが楽しみですねえ! お嬢様の昔のドレスに、お似合いになりそうなものがありますよ!」
「うわあ、楽しみ!」
「しかし、他のみなさん…特にこちらの方…」
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「旦那様のお洋服の仕立て直しに、しばらくお時間下さいましね。ちょっと入りそうにないので…。あ、皆さん後で採寸させてもらえるかしら?」
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