古の冒険都市は観光地化の波に飲まれました 〜次は(俺・オレ・私・あたし・わたくし)のターン〜

杏仁霜

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mission 2 孤高の花嫁

次期領主とその補佐役?

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Side-デュエル 10

 「やりやがったなデュエル! 足が砕けるほど踏むか普通?」
恨みがましい声に振り向けば、アーチが腕組みで仁王立ちしていた。ちなみにバンダナ取られたラスファは、ジェラルド氏とブリジット嬢に同時に絡まれている。エルフ族とバレた以上は仕方ないリアクションだ。
「済まんアーチ。うっかり鎧着たままなのを忘れていた。その分の重みをガッツリかけたかもしれん…すまん」
「この馬鹿力野郎! なんで鎧の重さなんかあっさり忘れられんだよ? 信じらんねぇ」
 その会話に、ジェラルド氏が割り込んだ。
「いやいや、俺もよくあるぞ。町の巡回で鎧を着たまま、うっかりとベッドに倒れこんじまってなあ。何度かそうしてベッドを砕いては、ばあやに怒られた。結構よくあることなんだな」
「いや…流石に俺、そこまでダイナミックなうっかりはしたことないな…」

 その会話を聞きとがめたラスファが、訝しげに尋ねる。
「巡回? 領主の後継自ら、警備に当たっているのか?」
 いわれればそうだ、大抵の場合通常の巡回に貴族の子弟が加わるなんてことは、ほぼあり得ないと言っていい。
 しかしジェラルド氏の答えは、あっさりとその常識を覆した。
「当然だ。いずれ俺が受け継ぐ領地と領民だからな。守りたいし見回っておきたいんだ。っていうか、俺は剣を振る以外に出来ることがないからな。細かいことはブリジットに任せるし」

 うーん…結構いいセリフだったんだがな…前半までは。
「何言ってんのよ次期領主! だからまともに勉学に励めって言ってんのに! 私の婚期が遅れるじゃないのよ!」
兄妹喧嘩が始まる前に、俺はすかさずフランシスに意見を聞いた。存在感がしばらく希薄だったのは、濃い兄妹たちに押されてのことだったのだろうか?

「ということは、依頼の内容や場所についてはジェラルド氏の方が詳しいのか?」
 その言葉に、彼ら兄妹は一気に押し黙ってしまった。
「…何か不味いことでも聞いたか?」
「父上たちが退室した後でよかった。まだ依頼について詳しく説明してないね」
 そう言ってフランシスや彼の兄弟たちは声のトーンを落として詳細を語り始めた。

 その内容を聞くなり、俺たちは声を失う。
 
かすかな、それでいて確かな存在感のある陰謀の香り。

明るみに出すには、あまりにデリケートな問題だった。

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