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mission 2 孤高の花嫁
陰謀の予兆
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Side-アーチ 1
…ふう。なんとまあ、めまぐるしい一日ときた。
一仕事終えたと思ったら、雨で足止め。そう思えば、フランシスの野郎の馬車に押し込められてお城に丸ごとご招待ときたもんだ。
オレはそこそこゴージャスな風呂に身を沈めながら、今日一日の出来事を思い返して軽く伸びをした。ばあやさんがマジで湯浴みの用意をしてくれたのは正直ありがてェ。大雨に降られてずぶ濡れ状態で宿を探し歩いてたんだからよ。寒い時期なら風邪っぴきはまぬがれなかったよな。まあ、あのねーちゃんを逃したのはオレ的にゃちょいとダメージだったんだが。でもまあ連れ込み宿ってやつはそこんとこ、どうもくつろげねぇからよ? ホントだぜ?
ここの風呂場は城と同じくそうデカくもねぇが、飾り気はなくもねぇ。先に入った弟子やアーシェなんかは泣いて喜んでたのは分かる気がするぜ。湯船の隅っこに浮いてるアヒルはご愛嬌かね?
しかし…オレはフランシスたち兄妹の依頼を聞いて、ちょっとばかし後悔しちまった。もしかしたら、設備の悪りィ連れ込み宿で隙間風に震えながら寝た方がマシかと思うほどにな。
「じつはその…街外れの空き屋敷に『出る』らしいんだ」
若干言いにくそうなフランシスの説明に、オレたちは無言のままだった。まあ、今更だしよ。今まで冒険者やってて、どんだけその手の連中に遭遇したことか…。亡霊が怖くて、冒険者なんぞやってられるかっつーの!
「…で?」
沈黙に耐えかねたのか、リアクションを取らないと気の毒と思ったのか…たった一言だけデュエルが呟く。
「いやその、『出る』んだよ? 武器に魔力込めるか、銀の武器で攻撃するか、または魔法しかほぼ対抗策がない! だからボクたち兄弟には手を出せなくって…」
「なにか問題でもあるのか?」
バッサリとしたラスファのツッコミに、ようやくフランシスは納得しやがった。そうなんだよな、オレたちにゃそこんとこの問題はねぇんだよ。
「あたし、見習いだけど魔法使えるー!」
「わたくしも、見習いですが神聖魔法を少々…」
アーシェは勢いよく、ラグは遠慮がちにそれぞれ手をあげる。まあ学生だが、そこそこ効果のある魔法なら唱えられるからな。
「あらあ、二人とも偉いわ。どんな魔法が得意なの?」
ブリジット姐さんがさっそく喰いついた。どうもすっかり弟子やアーシェがお気に入りの様子だ。
「あたしは攻撃系と召喚系が得意! 使い魔はまだまだ初心者だけど、色々可愛いのは喚べるよ!」
「すごいわ、また見せてね! ラグちゃんは?」
「わたくしは…治癒系メインで少し…」
そう言ってはにかむ弟子に、オレは付け加えた。
「なに言ってやがる。特技ならもっと胸張れ! オメー、けっこうウデいいぜ? 治癒魔法にゃ毎回助けられてるんだ、そんぐれぇいってもバチはあたらねぇぜ!」
「本当ですか?」
振り返った弟子は、目を潤ませてやがる。…ったく、調子狂うぜおい?
アーシェは魔術師ギルド、弟子は知識神神殿…通称・賢者の院で。一見別々の場所で学んでいるようだが、実はそうでもなく同じ建物の別棟と言った方が実情に近い。毎日二人してそれぞれの学び舎に向かう光景は日常化してんだよな。
「っと…そういや学校の冒険休暇届ってやつ、どうすんだ? 確か届け出いるんだったよな?」
俺の素朴な疑問に、二人は揃ってため息をついた。
「そう、それなんだよね。とりあえず川も封鎖されたままだし。前のお仕事の続きって事で受理されないかな? まあ、どのみち事後承諾って形にはなりそうだけどね。手か、アーちんにそれ指摘されるの珍しい! 大雨も降るはずだよね!」
「放っとけ!」
こいつらの通う学校ってのが『学んだことは実戦で生かしてこそ身になる』って教育方針だそうで。っつーわけで、冒険者としてよに出ることが奨励されてる上に準特待生として、授業料の一部が免除されるんだとよ。まあ、そのためにゃ届け出やレポートなんつー面倒な義務が付きまとうって寸法だ。オレ、学生じゃなくてよかったぜ。
しかし…オレは横目でチラリとラスファを見た。魔法っつーとこいつも精霊魔法の使い手なんだがよ。何も言わねぇってことは、何か企んでやがるのか?
「だがな」
ジェラルド氏が、低い声をさらに低めて呟いた。
「『出る』って場所が問題なんだ」
「そう。その場所が…近く婚礼を控えた従兄弟の、婚約者の実家なのよ…」
言葉を継いだブリジット姐さんの言葉に、オレらの目は彼女に集まった。おいおい、そいつァ穏やかじゃねえな?
…ふう。なんとまあ、めまぐるしい一日ときた。
一仕事終えたと思ったら、雨で足止め。そう思えば、フランシスの野郎の馬車に押し込められてお城に丸ごとご招待ときたもんだ。
オレはそこそこゴージャスな風呂に身を沈めながら、今日一日の出来事を思い返して軽く伸びをした。ばあやさんがマジで湯浴みの用意をしてくれたのは正直ありがてェ。大雨に降られてずぶ濡れ状態で宿を探し歩いてたんだからよ。寒い時期なら風邪っぴきはまぬがれなかったよな。まあ、あのねーちゃんを逃したのはオレ的にゃちょいとダメージだったんだが。でもまあ連れ込み宿ってやつはそこんとこ、どうもくつろげねぇからよ? ホントだぜ?
ここの風呂場は城と同じくそうデカくもねぇが、飾り気はなくもねぇ。先に入った弟子やアーシェなんかは泣いて喜んでたのは分かる気がするぜ。湯船の隅っこに浮いてるアヒルはご愛嬌かね?
しかし…オレはフランシスたち兄妹の依頼を聞いて、ちょっとばかし後悔しちまった。もしかしたら、設備の悪りィ連れ込み宿で隙間風に震えながら寝た方がマシかと思うほどにな。
「じつはその…街外れの空き屋敷に『出る』らしいんだ」
若干言いにくそうなフランシスの説明に、オレたちは無言のままだった。まあ、今更だしよ。今まで冒険者やってて、どんだけその手の連中に遭遇したことか…。亡霊が怖くて、冒険者なんぞやってられるかっつーの!
「…で?」
沈黙に耐えかねたのか、リアクションを取らないと気の毒と思ったのか…たった一言だけデュエルが呟く。
「いやその、『出る』んだよ? 武器に魔力込めるか、銀の武器で攻撃するか、または魔法しかほぼ対抗策がない! だからボクたち兄弟には手を出せなくって…」
「なにか問題でもあるのか?」
バッサリとしたラスファのツッコミに、ようやくフランシスは納得しやがった。そうなんだよな、オレたちにゃそこんとこの問題はねぇんだよ。
「あたし、見習いだけど魔法使えるー!」
「わたくしも、見習いですが神聖魔法を少々…」
アーシェは勢いよく、ラグは遠慮がちにそれぞれ手をあげる。まあ学生だが、そこそこ効果のある魔法なら唱えられるからな。
「あらあ、二人とも偉いわ。どんな魔法が得意なの?」
ブリジット姐さんがさっそく喰いついた。どうもすっかり弟子やアーシェがお気に入りの様子だ。
「あたしは攻撃系と召喚系が得意! 使い魔はまだまだ初心者だけど、色々可愛いのは喚べるよ!」
「すごいわ、また見せてね! ラグちゃんは?」
「わたくしは…治癒系メインで少し…」
そう言ってはにかむ弟子に、オレは付け加えた。
「なに言ってやがる。特技ならもっと胸張れ! オメー、けっこうウデいいぜ? 治癒魔法にゃ毎回助けられてるんだ、そんぐれぇいってもバチはあたらねぇぜ!」
「本当ですか?」
振り返った弟子は、目を潤ませてやがる。…ったく、調子狂うぜおい?
アーシェは魔術師ギルド、弟子は知識神神殿…通称・賢者の院で。一見別々の場所で学んでいるようだが、実はそうでもなく同じ建物の別棟と言った方が実情に近い。毎日二人してそれぞれの学び舎に向かう光景は日常化してんだよな。
「っと…そういや学校の冒険休暇届ってやつ、どうすんだ? 確か届け出いるんだったよな?」
俺の素朴な疑問に、二人は揃ってため息をついた。
「そう、それなんだよね。とりあえず川も封鎖されたままだし。前のお仕事の続きって事で受理されないかな? まあ、どのみち事後承諾って形にはなりそうだけどね。手か、アーちんにそれ指摘されるの珍しい! 大雨も降るはずだよね!」
「放っとけ!」
こいつらの通う学校ってのが『学んだことは実戦で生かしてこそ身になる』って教育方針だそうで。っつーわけで、冒険者としてよに出ることが奨励されてる上に準特待生として、授業料の一部が免除されるんだとよ。まあ、そのためにゃ届け出やレポートなんつー面倒な義務が付きまとうって寸法だ。オレ、学生じゃなくてよかったぜ。
しかし…オレは横目でチラリとラスファを見た。魔法っつーとこいつも精霊魔法の使い手なんだがよ。何も言わねぇってことは、何か企んでやがるのか?
「だがな」
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