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mission 2 孤高の花嫁
ギャンブルは計画的に
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Side-アーチ 10
数十分後。
オレの前には積み上がった賭けコインの山と、十数枚の借金の証文。結果は上々だった。要するに、オレの一人勝ち!
甘めぇよな、テメェから「弱い」なんつー奴が、マジでカモになった試しがあるかっての!
お宝の山の向こうには、身ぐるみ剥がされて死んだ魚の目になった『黒狼団』の面々が並んでいた。ヤローを脱がす趣味はねぇが、セクシーな姐さんだったら大歓迎♪ なんならそのままお持ち帰りしちまっても良かったんだが、まあオレもいっぱしの冒険者。やるべきことは見失っちゃいねぇぜ。「帰ってこねぇ仲間の様子を見に行く」ってことをカケラも覚えていねぇ、こいつらと一緒にすんなよ?
タネは明かさねぇが、もちろんこりゃ全~部イカサマさ。久々にこの特技を披露することになったが、腕はサビついちゃいねぇぜ。
さて、と。そろそろ仕上げに移るとすっかね。
オレは目の前に積まれた数枚の借金証文を無造作に破り捨てた。総額にして、エルダードの一等地に小さな家が建つほどの額と思ってくれりゃいいか。それほどの額をあっさりと放棄するオレの動きで、死にかけた連中の目に光が戻った。
「え、ちょっと? なにやってんのアンタ?」
「ん? 何がだ?」
「だって、その証文…」
絶句する姐さんに、今度は金貨の山を押し付ける。もちろん、最初のオレが出した掛け金プラスちょびっとは除いて、な。
「おいおい、こいつは遊びだぜ? 遊びってこたぁ、楽しむことだけが目的ってことだろ? 違うか? 面白かったぜ、またやろうな!」
そこら中に元借金証文をばら撒きながらそう言ってやると(店の奴には嫌な顔されたが)、今度はパンイチになったガタイのいい男が探るようにオレを覗き込んでいた。…あんまこっち来んな、ヤローは。
ちなみに脱がせて初めてわかったことだが、こいつは単純さに定評のある肉食系獣人族だった。どうりで単純にしつこく挑んできたわけだ。おかげでオレも予想外に掛け金を釣り上げられて、ちっと焦った。
「…マジか?」
…だぁら、こっち来んなっての。ヤローはお断りだぜ! そんな内心をおくびにも出さず、オレは続けた。
「おう。オレとしちゃ色っぽい姐さんの下着姿を拝めて眼福だったぜ。なんなら、拝観料出そうか?」
「バカ!」
手の中で自前のコインを弄びながらのオレのセリフに、姐さんは目の前の服を慌てて身につける。ち、惜しい。
「でも、なんでまた?」
三人組のうち、一番小柄な男が心底不思議そうに尋ねる。途中で怖気付いて後の二人を止めにかかっていたこいつが、一番の頭脳労働担当だろうとオレは当たりをつけた。
「ああ、そりゃな…悪リィがぶっちゃけ、さっきの全部イカサマだったんだ」
タネをバラすと、三人まとめていきり立った。
「テメェ!」
「だから悪いって。遊びってのも半分は嘘っぱちだ。話の前にこのイカサマの腕を見せたくってな。あんたら、冒険者だろ? だったら、一旗あげるのにちょうどいいギルドって心当たりねぇか?多少の 汚れ仕事もかまわねぇぜ?」
出されたオレの『ホンネ』に、連中は顔を見合わせた。さらにオレは畳み掛ける。
「前にいたギルドで、ちっとばかしヤバいことやらかしちまってな。流浪の身の上って奴で金がねぇのよ。すでに今夜は橋の下で野宿が確定でな? さっきのコインは、最後の虎の子ってやつさ」
服を着終わった連中は、オレの話に興味を持ったようだ。
「なんでまたそんな…。何やらかした?」
「まあ、知らずとはいえ…うっかりギルドのトップの女に手を出しちまった。けどありゃ、女も悪いんだぜ? 何も言わねぇんだもんよ」
まあベタな話だが、リネットからの話を脚色して話す。これには全員がこれ以上もなく納得してみせた…悪かったな、説得力ありすぎてよ!!
「まあそんなわけで、少なくとも正規のギルドにゃ戻れねぇっつーか…わかるだろ? ギルドの横つながりってやつ。マトモなとこに顔出したが最後…連れ戻されて、こうだ」
チョン、と首切りジェスチャーでため息。
黒狼団の面々は、どうしたもんかと互いに顔を見合わせていたが…やがてリーダー格の姐さんが探るようにオレの目を覗き込んで低く言った。
「アンタ言ったね? 『多少の汚れ仕事は構わない』って。正直、ここは汚れ仕事しかないわ」
「だろうな。カードの時の会話で、薄々気づいちゃいたがよ」
「…やっぱり聞いてたの? アンタ見かけによらず抜け目ない男ね」
「そりゃこういう稼業だと、どうしてもな。…どうよ、惚れた?」
オレの問いに、彼女はまんざらでもなさげにニヤリと笑う。
「…及第点ね」
…わお。脈アリってこと?
数十分後。
オレの前には積み上がった賭けコインの山と、十数枚の借金の証文。結果は上々だった。要するに、オレの一人勝ち!
甘めぇよな、テメェから「弱い」なんつー奴が、マジでカモになった試しがあるかっての!
お宝の山の向こうには、身ぐるみ剥がされて死んだ魚の目になった『黒狼団』の面々が並んでいた。ヤローを脱がす趣味はねぇが、セクシーな姐さんだったら大歓迎♪ なんならそのままお持ち帰りしちまっても良かったんだが、まあオレもいっぱしの冒険者。やるべきことは見失っちゃいねぇぜ。「帰ってこねぇ仲間の様子を見に行く」ってことをカケラも覚えていねぇ、こいつらと一緒にすんなよ?
タネは明かさねぇが、もちろんこりゃ全~部イカサマさ。久々にこの特技を披露することになったが、腕はサビついちゃいねぇぜ。
さて、と。そろそろ仕上げに移るとすっかね。
オレは目の前に積まれた数枚の借金証文を無造作に破り捨てた。総額にして、エルダードの一等地に小さな家が建つほどの額と思ってくれりゃいいか。それほどの額をあっさりと放棄するオレの動きで、死にかけた連中の目に光が戻った。
「え、ちょっと? なにやってんのアンタ?」
「ん? 何がだ?」
「だって、その証文…」
絶句する姐さんに、今度は金貨の山を押し付ける。もちろん、最初のオレが出した掛け金プラスちょびっとは除いて、な。
「おいおい、こいつは遊びだぜ? 遊びってこたぁ、楽しむことだけが目的ってことだろ? 違うか? 面白かったぜ、またやろうな!」
そこら中に元借金証文をばら撒きながらそう言ってやると(店の奴には嫌な顔されたが)、今度はパンイチになったガタイのいい男が探るようにオレを覗き込んでいた。…あんまこっち来んな、ヤローは。
ちなみに脱がせて初めてわかったことだが、こいつは単純さに定評のある肉食系獣人族だった。どうりで単純にしつこく挑んできたわけだ。おかげでオレも予想外に掛け金を釣り上げられて、ちっと焦った。
「…マジか?」
…だぁら、こっち来んなっての。ヤローはお断りだぜ! そんな内心をおくびにも出さず、オレは続けた。
「おう。オレとしちゃ色っぽい姐さんの下着姿を拝めて眼福だったぜ。なんなら、拝観料出そうか?」
「バカ!」
手の中で自前のコインを弄びながらのオレのセリフに、姐さんは目の前の服を慌てて身につける。ち、惜しい。
「でも、なんでまた?」
三人組のうち、一番小柄な男が心底不思議そうに尋ねる。途中で怖気付いて後の二人を止めにかかっていたこいつが、一番の頭脳労働担当だろうとオレは当たりをつけた。
「ああ、そりゃな…悪リィがぶっちゃけ、さっきの全部イカサマだったんだ」
タネをバラすと、三人まとめていきり立った。
「テメェ!」
「だから悪いって。遊びってのも半分は嘘っぱちだ。話の前にこのイカサマの腕を見せたくってな。あんたら、冒険者だろ? だったら、一旗あげるのにちょうどいいギルドって心当たりねぇか?多少の 汚れ仕事もかまわねぇぜ?」
出されたオレの『ホンネ』に、連中は顔を見合わせた。さらにオレは畳み掛ける。
「前にいたギルドで、ちっとばかしヤバいことやらかしちまってな。流浪の身の上って奴で金がねぇのよ。すでに今夜は橋の下で野宿が確定でな? さっきのコインは、最後の虎の子ってやつさ」
服を着終わった連中は、オレの話に興味を持ったようだ。
「なんでまたそんな…。何やらかした?」
「まあ、知らずとはいえ…うっかりギルドのトップの女に手を出しちまった。けどありゃ、女も悪いんだぜ? 何も言わねぇんだもんよ」
まあベタな話だが、リネットからの話を脚色して話す。これには全員がこれ以上もなく納得してみせた…悪かったな、説得力ありすぎてよ!!
「まあそんなわけで、少なくとも正規のギルドにゃ戻れねぇっつーか…わかるだろ? ギルドの横つながりってやつ。マトモなとこに顔出したが最後…連れ戻されて、こうだ」
チョン、と首切りジェスチャーでため息。
黒狼団の面々は、どうしたもんかと互いに顔を見合わせていたが…やがてリーダー格の姐さんが探るようにオレの目を覗き込んで低く言った。
「アンタ言ったね? 『多少の汚れ仕事は構わない』って。正直、ここは汚れ仕事しかないわ」
「だろうな。カードの時の会話で、薄々気づいちゃいたがよ」
「…やっぱり聞いてたの? アンタ見かけによらず抜け目ない男ね」
「そりゃこういう稼業だと、どうしてもな。…どうよ、惚れた?」
オレの問いに、彼女はまんざらでもなさげにニヤリと笑う。
「…及第点ね」
…わお。脈アリってこと?
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