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mission 2 孤高の花嫁
領主と兄弟
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Side-アーシェ 10
兄貴たちが全力ダッシュで裏庭に落ちた結晶を追いかけていった後で。あたしたちも、でっかいトロールと対峙していた。
「…心配?」
すぐ隣にいるラグちゃんにそう声をかけると、彼女は赤くなってそっぽを向きながら答える。
「べ…別に、心配なんて…」
一事が万事、この調子。なんでかって言うと、あの姐さんがアーちんにキスしたのを見ちゃったから。
妬いてんのかな…? でも、それを言っちゃうと余計に反発しちゃいそうだから黙っとく。あたしに恋愛の経験があったなら、少しはマシなアドバイスができたんだけどね…。
「いっくよー! 」
掛け声とともに、火の玉がトロールの傷口を焼いていく。怪我した人は、ラグちゃんが治していく。
うん、いつもとは違うけど順調だね。ただ…ラグちゃんの行動に覇気がないって言うか元気ない。アーちんあってのラグちゃんって言えばそれまでだけど、今回初めての状態だからどう扱っていいかわからないんだよね。喝を入れるのが正解なのか、とことん相談に乗るって言うのが正解なのか? あんまりこの状態が続くと危ないよね?
「アドルフおじさん、どうして…? 兄弟同士で争うなんて…」
ブリジット姐さんの悲しそうな声。暴れまわるトロールの向こうでアドルフはせせら笑う。
「理由はすでに話したはずだ! 双子に生れながらも受け続けた、不当な扱いの数々をな!」
すでにトロールは満身創痍。三日間の間にしておいた打ち合わせに従って途中から参戦した元・自警団の人たちも張り切っていたから、手数も腕も申し分もないほどの戦力は揃っているんだもの。あたしたちって、出る幕ないよねコレ。傷口炙る以外にやることないんだもん。
ふと見ると、ラグちゃんは窓の下を気にしていた。悲鳴も聞こえるしなんか大騒ぎしてるみたいだけど、何が出てきたんだろ?
ずうううん、と地響きがすると思ったら、あの大きなトロールが倒れ伏していた。やっと倒れたらしい。倒れた後でその周囲に、出て来たときと同じような魔法陣が広がっていた。そして出たときと逆に魔法陣の中に沈んでいく。そう言う形式でできてたのか…面白い結晶だな。魔術師ギルドで研究したがる人もいるかもしれない。
アドルフも捕まったみたいなので行って見ると、暴れることもなくただ虚無的な顔して縛り上げられていた。
「おじさん…あたしたちも領主の息子や娘だけど、権力なんかで不平等なんて思ったことなんかないわ。領民たちに対する責任が大きいもの。だから、支えるべきところは支えていこうとずっと思っていたわ。兄弟って、本来そうあるべきものじゃないの?」
ブリジット姐さんに諭されて、アドルフはうなだれた。それまでそんな発想なんかなかったんじゃないのかな? 権力は、利益は奪い合うものってずっと思っていたなら…。
そのうち、アドルフから一気に生気が抜けたように思えた。一気に年取ったって言えばいいのか、ラグちゃんとは違う意味で覇気がなくなったと言うか? あまりの変わりように、あたしは目を疑った。なんだろう? なんか、将来的にとても恐ろしいことが起きそうな気がした。
「援軍! 援軍を頼むわ!」
その時だった。大広間の扉が開いて、ブレンダ姐さんが飛び込んできた。
「ちょっと苦戦してるの! 来てくれない?」
その声に、今まで潜伏生活を余儀なくされた反動か、暴れ足りなかったらしい自警団のみんなが雄叫びをあげながら我先にと駆け出していく。
「あ、ちょっと待って! 援軍は女性限定なの! 聞いてってば!」
…女性限定? なんで? あの結晶、何が出て来たの?
すぐそばにいたはずのラグちゃんを振り返ると、そこには誰もいなかった。なんだかんだ言いながらすっごい心配はしてたんだよね。
女性限定の援軍…気になって仕方ないか。だって今、アーちんはラグちゃんにとって誰よりも大切な人なんだからね!
兄貴たちが全力ダッシュで裏庭に落ちた結晶を追いかけていった後で。あたしたちも、でっかいトロールと対峙していた。
「…心配?」
すぐ隣にいるラグちゃんにそう声をかけると、彼女は赤くなってそっぽを向きながら答える。
「べ…別に、心配なんて…」
一事が万事、この調子。なんでかって言うと、あの姐さんがアーちんにキスしたのを見ちゃったから。
妬いてんのかな…? でも、それを言っちゃうと余計に反発しちゃいそうだから黙っとく。あたしに恋愛の経験があったなら、少しはマシなアドバイスができたんだけどね…。
「いっくよー! 」
掛け声とともに、火の玉がトロールの傷口を焼いていく。怪我した人は、ラグちゃんが治していく。
うん、いつもとは違うけど順調だね。ただ…ラグちゃんの行動に覇気がないって言うか元気ない。アーちんあってのラグちゃんって言えばそれまでだけど、今回初めての状態だからどう扱っていいかわからないんだよね。喝を入れるのが正解なのか、とことん相談に乗るって言うのが正解なのか? あんまりこの状態が続くと危ないよね?
「アドルフおじさん、どうして…? 兄弟同士で争うなんて…」
ブリジット姐さんの悲しそうな声。暴れまわるトロールの向こうでアドルフはせせら笑う。
「理由はすでに話したはずだ! 双子に生れながらも受け続けた、不当な扱いの数々をな!」
すでにトロールは満身創痍。三日間の間にしておいた打ち合わせに従って途中から参戦した元・自警団の人たちも張り切っていたから、手数も腕も申し分もないほどの戦力は揃っているんだもの。あたしたちって、出る幕ないよねコレ。傷口炙る以外にやることないんだもん。
ふと見ると、ラグちゃんは窓の下を気にしていた。悲鳴も聞こえるしなんか大騒ぎしてるみたいだけど、何が出てきたんだろ?
ずうううん、と地響きがすると思ったら、あの大きなトロールが倒れ伏していた。やっと倒れたらしい。倒れた後でその周囲に、出て来たときと同じような魔法陣が広がっていた。そして出たときと逆に魔法陣の中に沈んでいく。そう言う形式でできてたのか…面白い結晶だな。魔術師ギルドで研究したがる人もいるかもしれない。
アドルフも捕まったみたいなので行って見ると、暴れることもなくただ虚無的な顔して縛り上げられていた。
「おじさん…あたしたちも領主の息子や娘だけど、権力なんかで不平等なんて思ったことなんかないわ。領民たちに対する責任が大きいもの。だから、支えるべきところは支えていこうとずっと思っていたわ。兄弟って、本来そうあるべきものじゃないの?」
ブリジット姐さんに諭されて、アドルフはうなだれた。それまでそんな発想なんかなかったんじゃないのかな? 権力は、利益は奪い合うものってずっと思っていたなら…。
そのうち、アドルフから一気に生気が抜けたように思えた。一気に年取ったって言えばいいのか、ラグちゃんとは違う意味で覇気がなくなったと言うか? あまりの変わりように、あたしは目を疑った。なんだろう? なんか、将来的にとても恐ろしいことが起きそうな気がした。
「援軍! 援軍を頼むわ!」
その時だった。大広間の扉が開いて、ブレンダ姐さんが飛び込んできた。
「ちょっと苦戦してるの! 来てくれない?」
その声に、今まで潜伏生活を余儀なくされた反動か、暴れ足りなかったらしい自警団のみんなが雄叫びをあげながら我先にと駆け出していく。
「あ、ちょっと待って! 援軍は女性限定なの! 聞いてってば!」
…女性限定? なんで? あの結晶、何が出て来たの?
すぐそばにいたはずのラグちゃんを振り返ると、そこには誰もいなかった。なんだかんだ言いながらすっごい心配はしてたんだよね。
女性限定の援軍…気になって仕方ないか。だって今、アーちんはラグちゃんにとって誰よりも大切な人なんだからね!
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