古の冒険都市は観光地化の波に飲まれました 〜次は(俺・オレ・私・あたし・わたくし)のターン〜

杏仁霜

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mission 2 孤高の花嫁

仲良きことは…?

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Side-デュエル  22

 帰途につく日は、今までの曇天が嘘のような晴天だった。雲ひとつない青空には鳥が舞い、心地よい風が頰をくすぐる。まるで、花嫁ナディアの行く末に対する祝福のように。

「皆さん、フランシス坊っちゃまをくれぐれもよろしくお願いいたします! 坊っちゃまは本当に良いご友人を持ちました…! また、必ず遊びにいらして下さいませね!」
 
 世話役なばあやさんはそう言って、俺たち一人一人の手を取って送り出す。熱心なメイドさんたちも同様に送り出してくれるおかげで、出発に随分と時間がかかってしまった。フランシスは、本当に愛されている。ただ、ラスファの時だけ妙に長い気がするんだが…?

「いやあ、君たちと一緒に帰れるとは! 本当に心強いよ!」
 そのフランシスだが…俺たちと一緒にエルダードに向かっていた。
「…あまり寄るな、フランシス…」
 熱心なお見送りで疲れ気味なラスファが言う通り、彼はいつものド派手なスタイルの鎧に身を包んでいる。
 白銀の鎧に真紅のマント、実用的ではない装飾ゴテゴテな細剣に、きらめく金髪…。アタマが痛い。
「なんでだい? ボクたちは激戦を共に戦って友情を深めたはずじゃないか! そんな冷たくしないでくれよ…」
「まさかそのカッコで街道を歩くとは思わなかったからな!」
 「…ド正論。さっきから道行く連中の視線が痛てェんだわ」 
 ラスファのもっともすぎるツッコミ。アーチが諦め気味にぼやきながら半眼で睨むと、フランシスはキザな仕草でバラの造花を取り出してポーズを決めた。
「だってボクはトップクラスの観光大使だからね! いついかなる時でも注目を集める宿命なのさ!」
「…その注目が、魔物や山賊のものじゃなきゃイイけどな?」
 すかさずアーチは奴を捕まえると、軽く腕に関節技をかける。あいかわらず、わけわからん隠し技は豊富だな。
 だが現実の話、外であまりに目立つ格好をすると魔物に狙われやすくなるのだから仕方ない。ついでに山賊などからも金目のものを持っていると思われる。目立たない格好は、余計なトラブルを防ぐためでもあるのだ。
「あああああぁぁあああぁっ!? ちょ、痛い痛い! ギブギブギブ! 」
「なんで衣装を変えただけでここまで人格が変わる!? さっさとヨロイ脱げ! 背負って歩け!」
「ひいいいいぃぃい!? そ、それじゃボクのアイデンティティが…!」
「魔物の腹に入るのと、どっちがいいんだオメーは! それに、この件の依頼料を持ってんのもオメーだ! ちっとは自覚持て!」

 結局、彼は泣く泣く鎧を脱いで背負って歩くことになった。
「ふふ、仲がよろしいですわね」
「ねー!」
 少女二人が微笑ましげな視線を送ってくるのが辛い。俺は頭痛をこらえるような気分で反論を試みる。
「そう思うんなら、医者に行ったほうがいいと思うぞ?」
「えー、でも前より確実に仲良くなってるよ?」
「冗談だろ!?」

 アーチの指摘通り、鎧を脱ぐとすっかり大人しくなったフランシスのおかげで道中何事もなく無事エルダードに到着した。巨大な城門が、今はただ懐かしい。
「おかみさんに報告しなくちゃねー!」
「それな…」
 実質それが一番、気が重い。フランシスの実家の付き人が飛ばした伝書鳩だけで、おかみさんへの報告などは先送りになっているのが現状だ…。
 重い足を引きずるように『白銀亭』に帰還すると、意外な人物からの出迎えを受けた。
「あら、お帰りー! 遅かったわね」
「リネット!?」

 道理で見送りに姿が見えないと思ったわけだ、一足先にこっちに来ていたとは!
「ああ、おかみさんには一通り説明済みよ。ついでにあたしの当面の宿とバイト先も保証してもらっちゃった♪ 」
「「「えええええ…」」」
 驚く俺たちをよそに、女同士で盛り上がっている。
「リネットさんありがとう! 一番大変そうなところを頼んじゃってごめんなさい!」
「いいのよ、あたしの宿とバイト先の交渉もあったわけだしね!」
 なんなんだ、このフットワークの軽さは? それに、おかみさん相手にこの交渉術…ただもんじゃない!

 ちょうどその時、ラインハルトが部下を連れてやって来た。
 「おや、帰って来ていたのか?」
「ああ、たった今な」
「ちょうど良かった、昼食がてら自警団の新入りを紹介しよう。彼はデュエル。私とは旧知の仲だ。この二人は…」
  続いて入って来た二人組を見て、ラスファが息を飲む。
「ちわー、昼メシ二人分頼むっス! って、若旦那!?」
「リック!?  それに、マックも…何故ここに?」
「…知り合いか…?」
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