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intermission 3 〜ブラインドデート〜
雨宿りの午後
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Side-ラグ 2
彼の申し出は、わたくしにとってとても有り難いものでした。さっきの方々に絡まれた時、とても怖かったのです。
眼鏡はないし、ろくに前が見えない状態で声をかけられるなんて、思っても見なかったのですから。
助けられた時は師匠が来てくれたのかと思いましたが、ちょっと違うようです。よく似た声のようですが、黒い服は普段師匠は着たがりませんし。
そのせいでしょうか? 彼と一緒に行こうと思えたんです。
そう、確か師匠と初めて出会った時もこんな感じで助けていただきましたっけ。親に決められた婚約者を嫌って神殿に入り、逃げるように故郷から出て来て…。右も左もわからなかったわたくしを白銀亭まで導いてくださった。そして教師の夢を後押ししてくださってずっとそばにいます。わたくしにとって師匠は…。
そこまで考えた時、彼が声をかけて下さいました。
「まあ、走って喉乾いたろ? この先に美味い果実水の屋台があるんだ。行ってみようぜ」
「はい!」
ふふ、本当に師匠みたい。変ですわよね、全く警戒心がわかないんです。いつもと違う服装のせいでしょうか?
「知ってる娘がこれ好きでな。あんたも好きだといいんだが…」
「うわあ! 私もこれ、好きです! その娘とも仲良くなれそうですわ、わたくし」
「はは、いっそ会わせてみてェな」
それから。今まであまり見たことのなかった観光大使の舞台を見たり(ほぼ声だけしかわからなかったのですが)、街頭での演奏を聞いたりと楽しく過ごしました。なんだか、本当に師匠といるようで。
これって、その…世に言うデート、と言うものなのでは…?
そう意識した途端、一気に顔が熱くなってしまいました。だって、それはあまりにも自分から遠いもののようの気がして…そもそも考えたこともなかったのですもの。
えっと…確かにわたくしもちょっとだけ夢見てましたよ? 師匠とデートする、というシチュエーション…。でも、なんだか恐れ多くて! 師匠はわたくしにとって、一番尊敬する方であり敬愛するお方ですもの。
でもこれって…まるでわたくしが師匠に…恋をしているみたいで…。
ぽつり。
頰に落ちて来た雨粒に、わたくしは我に返りました。
「ヤベ、降ってきやがった」
彼はわたくしを促して近くのお店の軒下に入ります。
「結構降ってやがるな…ん? どうかしたか、顔赤いぞ?」
「あ、いえ。なんでもないです!」
雨は、しばらく振り続けました。その間、そのお店に入って雨宿りです。
「いらっしゃい」
「よう、店主。商品見せてもらうぜ?」
「よく言うわ。雨宿りじゃろうが?」
「やっぱバレてたか。いいだろ?」
「仕方ない。隣の可愛いお嬢さんに免じて、ゆっくりして行くがよい」
お店の店主さんとのにこやかな談笑です。
外からは相変わらず優しい雨音。店主さんの方を振り返ると、可愛らしいアクセサリーが並んでいます。
「何か気に入ったもん、あるか?」
「え…?」
「なに、一個くらいプレゼントさせてくれ。ただ雨宿りしただけじゃ悪いからな」
「い…いいんですの…?」
「ここのはそう高くねぇんだよ。それに、ちょいと臨時収入が入ったばっかでな?」
そこに、お店のおじさんの声が割り込みました。
「お嬢さん、気をつけろよ? こいつはこうやって口説くのが上手いんだ。気づいたらあっという間に…」
「こらこらこら店主! 余計なこと言うな」
「なんだ、本当のことだろうが? お前さんがそんな気遣いするってのは、逆に不気味でな」
「けっ、言ってろ!」
いつの間にか外の雨音は消えていました。連れ立って店を出ると、柔らかい風が頰を撫でます。
手の中には、青い石の入った綺麗なペンダントの袋。
「つけてみるか?」
胸元で揺れる小さな輝き。夕焼けに染まった空が静かに沈んでいきます。わたくしの初めてのデートも、もう終わる時間です。名残惜しい気がしますが、ちょっぴり師匠にも申し訳ない気もします…なぜでしょうね?
「気をつけて帰れよ? この街は、狼が多いからな」
「はい。今日はありがとうございました!」
空がすみれ色に変わっていきます。わたくしは彼と出会った広場で別れることにしました。師匠を思わせる、とても素敵な人でした。また、会える時が来るのでしょうか?
すぐそばのコギーさんのお家ではお友達が待っています。お茶会がてら、今日の報告を期待しながら。
お借りしたイヤリングが片方なくなっていることに気づいたのは、その後でした。
彼の申し出は、わたくしにとってとても有り難いものでした。さっきの方々に絡まれた時、とても怖かったのです。
眼鏡はないし、ろくに前が見えない状態で声をかけられるなんて、思っても見なかったのですから。
助けられた時は師匠が来てくれたのかと思いましたが、ちょっと違うようです。よく似た声のようですが、黒い服は普段師匠は着たがりませんし。
そのせいでしょうか? 彼と一緒に行こうと思えたんです。
そう、確か師匠と初めて出会った時もこんな感じで助けていただきましたっけ。親に決められた婚約者を嫌って神殿に入り、逃げるように故郷から出て来て…。右も左もわからなかったわたくしを白銀亭まで導いてくださった。そして教師の夢を後押ししてくださってずっとそばにいます。わたくしにとって師匠は…。
そこまで考えた時、彼が声をかけて下さいました。
「まあ、走って喉乾いたろ? この先に美味い果実水の屋台があるんだ。行ってみようぜ」
「はい!」
ふふ、本当に師匠みたい。変ですわよね、全く警戒心がわかないんです。いつもと違う服装のせいでしょうか?
「知ってる娘がこれ好きでな。あんたも好きだといいんだが…」
「うわあ! 私もこれ、好きです! その娘とも仲良くなれそうですわ、わたくし」
「はは、いっそ会わせてみてェな」
それから。今まであまり見たことのなかった観光大使の舞台を見たり(ほぼ声だけしかわからなかったのですが)、街頭での演奏を聞いたりと楽しく過ごしました。なんだか、本当に師匠といるようで。
これって、その…世に言うデート、と言うものなのでは…?
そう意識した途端、一気に顔が熱くなってしまいました。だって、それはあまりにも自分から遠いもののようの気がして…そもそも考えたこともなかったのですもの。
えっと…確かにわたくしもちょっとだけ夢見てましたよ? 師匠とデートする、というシチュエーション…。でも、なんだか恐れ多くて! 師匠はわたくしにとって、一番尊敬する方であり敬愛するお方ですもの。
でもこれって…まるでわたくしが師匠に…恋をしているみたいで…。
ぽつり。
頰に落ちて来た雨粒に、わたくしは我に返りました。
「ヤベ、降ってきやがった」
彼はわたくしを促して近くのお店の軒下に入ります。
「結構降ってやがるな…ん? どうかしたか、顔赤いぞ?」
「あ、いえ。なんでもないです!」
雨は、しばらく振り続けました。その間、そのお店に入って雨宿りです。
「いらっしゃい」
「よう、店主。商品見せてもらうぜ?」
「よく言うわ。雨宿りじゃろうが?」
「やっぱバレてたか。いいだろ?」
「仕方ない。隣の可愛いお嬢さんに免じて、ゆっくりして行くがよい」
お店の店主さんとのにこやかな談笑です。
外からは相変わらず優しい雨音。店主さんの方を振り返ると、可愛らしいアクセサリーが並んでいます。
「何か気に入ったもん、あるか?」
「え…?」
「なに、一個くらいプレゼントさせてくれ。ただ雨宿りしただけじゃ悪いからな」
「い…いいんですの…?」
「ここのはそう高くねぇんだよ。それに、ちょいと臨時収入が入ったばっかでな?」
そこに、お店のおじさんの声が割り込みました。
「お嬢さん、気をつけろよ? こいつはこうやって口説くのが上手いんだ。気づいたらあっという間に…」
「こらこらこら店主! 余計なこと言うな」
「なんだ、本当のことだろうが? お前さんがそんな気遣いするってのは、逆に不気味でな」
「けっ、言ってろ!」
いつの間にか外の雨音は消えていました。連れ立って店を出ると、柔らかい風が頰を撫でます。
手の中には、青い石の入った綺麗なペンダントの袋。
「つけてみるか?」
胸元で揺れる小さな輝き。夕焼けに染まった空が静かに沈んでいきます。わたくしの初めてのデートも、もう終わる時間です。名残惜しい気がしますが、ちょっぴり師匠にも申し訳ない気もします…なぜでしょうね?
「気をつけて帰れよ? この街は、狼が多いからな」
「はい。今日はありがとうございました!」
空がすみれ色に変わっていきます。わたくしは彼と出会った広場で別れることにしました。師匠を思わせる、とても素敵な人でした。また、会える時が来るのでしょうか?
すぐそばのコギーさんのお家ではお友達が待っています。お茶会がてら、今日の報告を期待しながら。
お借りしたイヤリングが片方なくなっていることに気づいたのは、その後でした。
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