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⑥ロイドの憂い

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食後は部屋に戻って
メイドは、私の体をキレイにふきベッドへ置くとすぐに出て行った。
ベッドにはノエルもいた。

私は体を慣らすため、食後の運動をするために歩いてみたが、
ふかふかのベッドが、歩きずらく、
しかも、ノエルも真似して私の後ろから着いてくるので余計に歩きずらかった。
2匹並んでベッドを歩いてる所へ、


ロイドが大きい声で「ノエル・モナ!寝てるか?」と言いながら部屋へ入ってきた。

寝ていても大きな声で起きるんじゃないかって思いながら私は首をかしげた。



「何歩いてるんだ?運動したいのか!じゃあ遊ぼう
 昨日は父上と一緒に寝たが
 今日は俺と一緒に寝る日なんだぞ!明日は兄上だ」

私をヒョイと抱えたロイドは上へポンと投げ続けてノエルも投げた。

「ピィー」

「..........」

ロイドは私とノエルをお手玉みたいに落ちたら投げるを繰り返した。
最初は怖いと思ってたが、ロイドは雑に見えるが優しく抱き留めてくれ
投げる時もフワっと優しく投げている事に気づいたら、むしろ
楽しくなってきた。
すると、ノエルは空中に舞ってる間に翼を広げたりしてるうちに、
飛べる?というより、少ない時間だが、空中でとどまれるようになった。

「ノエルは大丈夫そうだな!練習したら飛べるようになるよ!」


ロイドはそう言いながらもノエルにぶつからないように、
片手で私を投げ、ノエルも最初は空中でとどまっていたが、
力尽きて落ちたら、ロイドはまた投げるを繰り返ししていた。

(ずるいー私も飛べたらいいのにー)

私は空中で、もがいて動いたが、元が人間なのか
翼を動かす?感覚も分からず空中でジタバタした。

「モナ無理するなーこの遊びは空中を飛ぶ感覚を感じるためだし
 はしゃぎ過ぎたら疲れるぞー」

私が落ちたら今度は投げずに右手で脇に挟んで顔をのぞきながら言ってきた。
その頭上でノエルは空中を漂いながらそーっとロイドの左手に落ちて乗った。
ロイドは給仕をするウエイトレスみたいに、
右手にモナ左手にノエルを乗せ両方を交互に見つめた。


「ピィ?」と私は頭を傾きフラフラさせながら次兄の顔の良さにウットリ見入って
     あんなに翼を動かせなかったが、その時は翼を軽く羽ばたいていた

「........」ノエルは無尽蔵みたいに1ミリも動かずただ座っていた。

「プッ  お前ら双子なのに全然違うなー笑える...
 モナは体を揺らしながら笑う所が母上にそっくり....
 ノエルは全く父上や兄上俺と似てないなー
 たぶん母上の父、祖父の青龍公に似ているぞー仏頂面で、
   無口で感情が読めない所...
 お前たち二人がきっと青龍公と父上を仲直りしてやれるかもしれないな...
 俺や兄上は父上似だから難しいから...

 亡くなった母上が最後に言ったんだ
 (ごめんなさい...お父さま)って.....」

明るくイキイキしてるロイドが悲しいのに笑ってる顔で言ってたから
私は、わざと急に体を丸めてうずくまった。

「モナどうしたんだ?」

ロイドは慌ててノエルを床に優しく降ろした後
私を見ようと顔を近づけると私は、ロイドの顔を翼を広げて包み込み
頭をさするように、翼を動かした。
そしてノエルは必死に飛んで行きロイドの頭に乗って座り込んだ。


「...........」
しばらく私は兄の頭をさすり、
ノエルはロイドの頭の上で犬が伏せをしているように座ってそれぞれに
慰めるように温もりを分け合った。


「よーし寝よう!」

しばらくすると、ロイドは何も無かったようにベッドへ行き座った
私はロイドに抱えられていたから見上げたら

「ピウィ!ピー」震えながら私は笑っていた。

カッコイイ兄の頭の上に彫刻のように背筋よく座ってる
ノエルと兄の姿が面白かったのだ....


「なんか重いと思ったら...ノエルか」
片手で摘まんでポイっとベットへ置くと私を真ん中にして、
ロイドは「二人とも愛してる」とキスして言って眠りについた。

子供のくせに”愛してる”だなんてセリフ可愛いんだからー
亡くなったお母さんを思い出したら
私だったら泣いちゃうけど
兄は子供なのに意外と強がりの性格?
男のプライド?でも、カッコイイなー
私はとても幸せいっぱいに包まれながら眠った。





その日の夜
「様子はどうだった?」

「とても仲睦まじいご様子でした。
 旦那様が昔ロイド様へされたように、
 モナ様ノエル様を空中へ飛ばしながらモナ様には魔力も一緒に送り
 はしゃいでいらしたようです。ノエル様はコツをつかんだらしく、
 あの頃のロイド様のように空中で漂うことが可能になったそうです。」


「ラルクは生まれて一か月間飛ばず、ある日突然自然と飛んだが、
 ロイドのようにすぐ飛ぼうとする当たり、
 ノエルも動くことが好きなのかもしれぬな。」


「はい、そのようです。恐れながら...
 その後、モナ様ノエル様を見て、サラ様を思い出されたようで
 ノエル様は青龍公に似ている...と
 それから、サラ様の言われた言葉を思い出されたようです。」


「...義父上に、ノエルは似ているな.....
 確か、......................................................
(ごめんなさい お父様).............だったな」


 
そう一言いったあと、しばらくの間沈黙が続いた。
ルイとサラは恋愛結婚で、
サラの父親である青龍公に反対され勘当されながらも、結婚した。
その後、ラルク・ロイドが生まれてからも連絡や会いに行ったが、許してくれなかった。
サラは青龍公が男で一つで育てた一人娘だった。

静かで冷静沈着だが、悪く言えば無口で根暗な頑固一徹の青龍公と違い
真逆ともいえるサラは、天真爛漫で何よりも空を飛ぶこと等、
動き回ることが大好きな明るい妻だった。
その家族の溝は最後の最後まで譲歩もなく
サラ....青龍公にとって娘の葬儀にさえ顔を出さなかったぐらい徹底ぶりだ。



その沈黙を破ったのも本人であるルイであった。

「ロイドは..........大丈夫か」

ラルク・ロイド共には父親似で
よく二人とも(母上に似ていたら違ってたかも....)と言っていた。
特にロイドは中途半端な黒に近い紺の色を持ち、もっと青ければ...と
どうしようもない事で悩んでいた。
何よりイキイキとしてハツラツとして明るい所はサラに似ているのに...

セバスは静かにゆっくり返事をした。

「モナ様ノエル様がお慰めされて元気におなりでした。」


「父親なのに私は役立たずだ。言葉も発せない小さき子達でさえ
 ロイドの心を守ってやれるのに......。」


「父親の愛はあなた様しか出来ません。
 坊ちゃんに出来る事をなされたら良いのです。」


「............セバス...は無いだろう私は4人の父親だぞ?」


「はいでございます。
 旦那様がすべき事はご自分が一番分っているのでしょう?
 申し訳ございません。出過ぎたことを申しました。
 罰として一日断食致します。失礼いたします。」


セバスはお辞儀して部屋を出ようとした。


「待て!セバス罰としては軽いし一日では足りない。
 ...........私に仕える事、以上」

「.......かしこまりました。旦那様」
セバスは深くお辞儀をしながら出て行った。







朝私は目覚めると、ある共通点を
ロイド兄さん....ノエルはあなたに





目覚めると右からロイド兄さんにしがみつかれ
左からはノエルが私を覆うように翼を広げて包み
苦しく目が覚めたのだ。
二人そろって寝相が悪ーーーーーーーーーーい。






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