異世界で、黒龍の悪いイメージ私が変えて見せます。!

どら娘

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⑬老人と遭遇

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私はあるキレイな湖を背中を丸めながらひたすら水辺に写る私を見ていた。


今の私の周りは森で緑一色で森林浴は良いと聞いた事があるが、
楽しい家族みんなと一緒だったらとても気分がよかっただろう。
空気が清いと言うか、澄んでいて体に染み渡るような心地よさがある。

だが、反対に一人きりと心もとない、広大な土地で無限に広がる
森の深さと静けさが一人ぽっちには逆に怖さも寂しさも際立つ。
そんな中今の私はまさしく一人ぼっちで
湖を見ている私は身体全体が哀愁漂ってるだろう...。




だって私は迷子になったのだ。




そもそも迷子になった理由。
ようやく私も飛べるようになり、体調も落ち着いたので
常日頃、家族でピクニックがしたいと思っていたパパがついに決行したのだ。
黒龍の地の中でも端の方にある広大な森で湖も多くあり癒される憩いの場であった。
そこはパパにとってはとても大切な所で家族と行きたい場所でもあった。
そこにはママの墓があるのである。

ママの大好きだった場所の湖のほとりに石の石柱を置き花畑で囲っているお墓は
手入れがいきとどいており、とてもきれいだった。
しばらく家族でしんみりしながら、近くでのんびりと昼食をみんなで楽しくとった所まではよかった。

昼食の後、父と兄は何やら話をしていて
私は、ようやく空中を漂う事ができるようになったので、
一人で一生懸命に飛ぶ練習をしていた。
そんな中、ロイドとノエルはお互いやんちゃな性格で
じっとしていられず戦いながら遊んでいた。

そしてロイドが魔力でノエルを吹き飛ばそうと最大の魔力をぶつけようとして
ノエルがよけた瞬間、ノエルの後ろ側にいた私は
まるで特大ホームランのように円を描くように吹き飛ばされたのである。




吹き飛ばされて地面に落ちた私は最初は
何が起こったか分からないまま呆然としていたが直ぐに迎えに来ると思い待っていた。
でもしばらくしても、中々誰も来てくれないから
私は飛ぶといえないような波を描くようにユラユラしながら森をさまよった。
とうとう疲れて湖がある所で休憩して静まり返った森の中に一人でいると
不安がこみあげてきてボロボロと大きな涙が流れ泣き出してしまった。

そんな悲しんで泣いている私の後方から突然堅苦しい低い声で話しかけられた。


「おまえは誰だ?何故ここにいる。」

私は首だけ振り向き、泣いていて目を細めた状態で見た。
そこに立っている初老の御爺さんは、淡いスカイブルーの短髪で濃い紫の目で
笑ったら優しそうに見える少したれ目の顔立ちだが
私に向けいている顔は眉の間に線がでていかにも頑固で気難しそうな御爺さんだった。

その御爺さんは杖をつきながら、ゆっくりと私の方へ歩いてきた。
グリップはマリンブルーの色で精密な模様が彫られており
杖自体も高級そうな漆黒な黒の杖を
その御爺さんは、なんと!杖で子供の私を突いてきた。


「誰だと聞いておる...」


何この御爺ちゃん酷いんじゃないの?と私は思って、杖にしがみついた。
いかにも子供の私に向かって杖で突くなんて常識ないんじゃないの!
子供だから話せないかもと思わないのかなあ?
ちょっとイラっと来た私はしがみ付いて離さなかった。

すると、杖で歩いてる御爺さんとは思えないぐらい杖を上下に振りまくったり、
横に振り回したりした。

私はというと、さっきまで泣いていた事は忘れるぐらい楽しんでいた。
私は昔からコーヒーカップとか絶叫マシンが好きな子供だった影響か、
老人とは思えない回し方をしている速さがとても楽しかった。

「ピイー♪」

振り回していた杖が止まると私はもっとしてと
思いながらニコニコしながら見上げた。

「..........!」

御爺さんはさっきまで泣いていて細目だった私ではなく、気分良くなって
パッチリ開いた私の目を見ると、目を見開き急に口を堅く結ぶように強く閉じ
眉間が三本線が出来るぐらいしわを寄せると突然引きはがすように私を
杖から剥がして無造作に放り出して、私をもう一度ゆっくり見ると
信じられないものを見たようなくらい驚愕した顔をすると、
横に頭を振りながらフラフラしながら森の中へ帰って行ってしまった。

私はというと放り出された直後、体を丸めたので、
コロコロと前転するように転がり木にぶつかって止まった。
気性が激しい御爺さんだと思いながら呆然としたが、
ついさっきまで楽しんでいた気持ちが一気に冷めポツンと座っていると
今度は無性に悲しくなってまた更にボロボロ泣き出してしまった。



私が一人寂しく泣いている頃、ノエルは私を探すために必至に飛び回り探していた。
すると、前方から動揺したかのようにフラフラとした
初老の老人がノエルを見ると手を伸ばし、飛んでいるノエルをバッと掴んだ。


「お前は..私の血族か?こんなキレイな青のウロコは...」


「.......」


「......ィ」

しばらくの間無言で見つめあっていたが、
奥の方で微かな声がしたかと思うとノエルは必死に暴れて
手が緩んだ隙を見てノエルは一直線に飛んで行った。
ノエルの後姿をしばらく老人は考え込むような顔でずっと直立不動に立ったまま
ノエルが向かったほうを見ていた。







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