私の大好きなドラゴン

どら娘

文字の大きさ
上 下
20 / 48

オジさんとカミル

しおりを挟む
今日はカミルに会いに行った。
会うなり、満面の笑みで
厭味ったらしく言ってきやがった。

【今日は久しぶりに
 君の内面と外面どちらもおかしい様子が笑えます。
  ぷっふふふ......
 君は不機嫌でそれでいて困ってるような
 摩訶不思議な顔をしてる事を分かっているのかい?

 しかも、君にひっかき傷をつけた強者は誰だい?
 獣や人?ではないだろうし....猫?
 ああ 娼婦ですか?どうせ君に無神経な事を言われてやられたんだろう?
 朝っぱらから、そういう話は僕は聞きたくないんだが...。】


(ちげーよ!相変わらず いらん事ばかり言いやがる....相談だが...)


【正気かい!君が相談?
 天変地異が起きる前触れかもしれない!】

(おい..)

 【はい!冗談はここまで。
  この前も泣き叫んだ子供の親に衛兵に通報された君の後始末をしたし
  僕にできる事は限られてるが、精一杯助言はするよ】


 (子供と暮らしたいんだが....)


【.........................】



【聞き間違ったみたいだ
 もう一度正確に的確に答えてくれないかな
 誰が誰を何処でどうしたいのかを...】


(俺がガキと暮らしたいんだが、
 何より俺のゼガンは気に入っているし、
 だが、拾った所がドラゴンの聖地だから訳ありっぽい
 しかも、何故か話せない..話してる事は分かるみたいだが...
 服の変えやこれから旅もするし...家...】


【ちょちょっと待って!
 つまり、子供を拾って
 なおかつ君の最大注意点・問題のゼガンに気に入られた挙句
 しかもその子供は会話ができない、
 これからも一緒に暮らすにはどうしたらいいか、
 生活面での注意事項などを知りたいという事かい?】


(だからそう 言ってるだろう...)



【....................】


(カミルうーーー)
開けてある窓の外でドラゴンが話しかけてきた。


【........ルカ!ちょっと待って下さい。カイルと話しますから..】


(えーーーっ もういい!!)
カミルの契約ドラゴンのルカは空を飛んで行った。


(おい いいのか?お前のルカが
 いじけて、どっか行ったぞ?)


【いつもの事だし、後で埋め合わせしますから...
 それで?子供が嫌いだったのになんで?】


(俺は確かに子供は面倒で、煩わしい、何より俺を嫌うからな...大人以上に...
 呼ぶ時不便だからライルと名を付けたが、
 ライルは、俺の目を見て話して怖がる事もないし
 不思議な心地よさがある...
 特にゼガンが気に入ってるようだ..
 あいつが心配して俺に八つ当たりして来たんだぜ....)


【あのゼガンが人間に関心を持ったのかい?
 心配って何か怪我でも...】


(それが、昼ライルが遊び疲れたのかメシを食べずに寝てしまって、
 俺が帰った時ゼガンが、
 腹から音が鳴ってる、奇妙なものでも入ったんじゃないか大丈夫かって
 不機嫌に俺に言ってきたんだ....
 ただ、腹が減ってグーって鳴ってるだけで、ハハハ...)


【フフフ...それは、面白い!
 あの真面目そうな声で言ったのかいハハハハハ....】
 でもそれは、信じがたい事だよカイル.......】


笑ったかと思ったら、急に真面目な顔で話してきた。


【まず第一にドラゴンは絶対相棒以外に興味を持たない...
 なのにその子供ライルはあのゼガンと仲良くやってる..
 会話が出来ないのに何故だい?】


(会話はしてないが、どうやら意思疎通は出来てる見たいだ..
 契約者の俺らみたいに念話で...
 よく二人で見つめ合ってるから
 一度ゼガンに聞いたんだが、『答えられない』と言ったんだ。)


【答えられない.....
 ドラゴンの聖地で見つけた事が関係があるのか...

 あそこは、子供が生きていけるところじゃないしね
 色々な種類の強い野生のドラゴンがいるから、
 僕たち契約した人間以外は近寄らないはずだ...
  君に出会えた事がその子 ライル?にとって幸いだね
 一緒に暮らす事は君にとって、とてもいいことだと思うよ

 一番不思議な点は、ゼガンと打ち解けてる点だね..
 契約者以外で打ち解ける事は皆無だし、
 ドラゴンの方から話かければ話せるけど、
 逆(念話)は契約者以外は絶対あり得ない....
 ゼガン以外のドラゴン、僕のルカに会わせて確認してみたいね色々と...
 僕もライルにあってみたいですし...
 よく決心したね君にとっては重大なことでしょう?】



(孤児院に預ける事も考えたが、俺のゼガンを怖がらない事がおかしいから
 しばらく様子を見ようと思ってたんだが...
 どんどん仲良くなってるみたいなんだよなー
 俺が嫉妬しそうな勢いだぜ...変な影響もあるしなー)


【変な影響って_?】


(ゼガンが.............ちゅうしろと言ってきたんだ)


【ゼガンが?ちゅうし?中止?】


(ちゅーだよ!キス)


【..................ぷはっははあははははっははあああああ】
カミルはうずくまり、涙目で机を叩きながら、しばらく震えていた...。

(おい!...........もういいか?)

しおりを挟む

処理中です...