私の大好きなドラゴン

どら娘

文字の大きさ
上 下
34 / 48

天敵認定

しおりを挟む
私は赤いドラゴンの条件をしばらく考えたが、
赤いドラゴンが言ってた事は
寂しいって言ってたし、お花の事も言ってた?
喜ばせるものが、うかばない。
あー分からなくなってきた。

しばらくして、自分の思うままに考えて正直に話そうと
赤いドラゴンの所へ行った。
私はまるで、プロポーズをするかのように、
赤いドラゴンに渡すように上にかざしながら目と目を合わせて言った。



【ねえ赤いドラゴンさん。私は何も持ってないし、何も出来ないです。
 私は国も故郷も家族も友達もましてや、
 お金も物も名誉も権力も何も私にはないし
 しかも、私は子供でしてやれる事が無いです。 
 ”もの”はやることは出来ないけど
 私があげられるものは、私の時間です。
 あなたと違って私は寿命が短い分、私にとって大切な私の時間を
 赤いドラゴンさんの寂しいときは傍にいます。
 もし、契約した後で相棒の人と喧嘩した時も話し相手になるし
 赤いドラゴンさんが話したくない時は、ずっと待ってます。
 ダメ?でしょうか】



しばらく私と赤いドラゴンは見つめ合ったが
赤いドラゴンが一番最初に言った事は疑問だった。

 (私は赤いドラゴンなのに何で白の花をもってくるわけ?
  意味があるのかしら?)


私も、そう思いながら選んだんだけど、やっぱりそう思うよね....。
でも、怒ってる分けじゃないみたいなので思うままに私は言った。


【私にとっては特別なの。私の故郷の国の国旗の色で、
 (この世界にはないかもしれないけど。)
 私の国は、”赤”と”白”は国の象徴の色なの”日の丸”って言って特別で
 忘れられない組み合わせの色なの。
 それに、赤いドラゴンだから赤いものをあげるのって平凡すぎるでしょ。
 私にとっては大切な色の組み合わせだから、
 あなたとの縁も大切にする事を誓う意味もこめて選びました。】



(あなたの花束、
 白のクローバー【あなたを思っています。約束】って意味だったかしら?
 偶然にしても、運にしても気に入ったわ!
 何より私は平凡とか普通とかが一番嫌いなの!
 あなたの、ありのまま何も無いとハッキリ言う正直さも、
 赤のドラゴンの私に ”白”の花束の贈り物の斬新さも、その思いも気に入ったわ。
 しばらくは遊んであげる。
 あと、名前を決めて頂戴!
 赤いドラゴンさんは聞いていて他の赤いドラゴンと同列だし耐えられないわ。)



【名前って契約する人が決めた方がいいんじゃないの?】



(まあほとんどのドラゴンはそうかもしれないけど前例が無い訳じゃないわ
 それに、私はみんなと同じが、一番嫌だわ。
 私は”昔から”とか規則とか囚われない新鮮さと自由が一番だと思うわ。)



【でも、契約する人の方が普通?何でしょ、契約する人も楽しみにしてるかも...
 後悔しないの】


(もう!私が決めた事だし自分の責任は自分で取るわ!
 私に後悔なんて無いし、私が選ぶ契約者はそんな小さな事
 気にする器が無い奴はまず絶対に選ばないもの。それに契約していないのに
 契約した後のことなんて考えたって無駄だわ。
 私は”今”を精一杯面白く、自由でありたいの。)
 
赤いドラゴンは真剣なまなざしで、私を見つめながら言った。

【分かった。.......”サクラ”はどう?】


(ちなみにサクラは聞いたことがないけど意味?はあるの)

【私の国の象徴の花の名前で色も赤と白を合わせたピンクの色で
 ”精神の優美”という意味もある花の名前よ。
 赤いドラゴンさんは見た目以上に心が強くて綺麗なイメージがあるからつけたの。
 いいでしょうか?】

(気に入ったわ!私の見た目がとても素晴らしいのは
 誰でも分かる事だけど、私の心の”優美”さに気付けるあなたは最高よ!
 ありがとう。私はサクラでいいわ。これからしばらくよろしくね!)


【これから、よろしくお願いします。
 いっぱい遊ぼうね。】
 

 この時の私はドラゴンにとって”しばらく”が
 不通に私の一生分だとは全然気づいていなかった。
 



それからサクラの首を滑り台にして遊んだりしていた。
カイルことオジさんが迎えに来た頃は私は疲れ切って寝てしまっていた。
カイルが赤いドラゴンを見ると

(私はしばらく、この子と一緒にいる事にしたから。)

簡潔に赤いドラゴンは言った。


【ライルが望むんだったらいいが..。
 俺たちの住処に来るのか?ゼガンと上手くいくといいが。】


(あなたのゼガンの機嫌なんて関係ないわ。
 私はこの子と約束もしたし
 名付けもしてもらって、”サクラ”って名前も付けてもらったの。
 誰がなんて言おうと私はライルと一緒にいるんだから。)


そのあとオジさんが少し心配していたゼガンとサクラの対面は意外にも
円満に終わった。
なぜなら、サクラがゼガンを気に入ったからである。

(私実は、硬派な男が好きなのよねー。ゼガンは年下だけど無口でいて
 ライルを可愛がる不器用なやさしさがタマンナーイわ。
 ギャップ萌え。可愛いんだからー。)

【お兄ちゃんそう言ってるけど】

(............。)

(照れちゃってー。そんなあなたも好きよ。)

(.......。)

とにかく上手く?やっていけそうで何よりである。
完全に無視してるお兄ちゃんをサクラことお姉さんが必死に口説いてる光景が日常になってきた。
そんな日がしばらく続いたある日、
これでもかと言うくらいにサクラと口論する相手が来たのである。



その日はとても日差しがよく日向ぼっこをしていたサクラを見たドラゴンの
第一声にサクラは睨んだ。


(君誰なの?何でここに居るんだよ。
 ただでさえ君、図体でかいんだからさー
 邪魔なんだけどー どいてくんない?
 それに君厳ついんだからさー重苦しいんだけどー
 僕みたいに優美でスラッとスレンダーな僕の引き立て役なら使えるけど
 風景に対して君は赤くてチカチカしてうざいんだけどー)



(あんたこそ誰なのよ。
 聞く前に自分から名乗りなさいよ!
 偉そうにしないで頂戴。私に喧嘩売ってるわけ?
 あんたみたいにひ弱な体と比べないでくれる?
 あなたは、見た目が薄すぎて全然見えなかったわ
 ドラゴンの癖に存在も薄いんじゃないの?)


(君こそ、ふざけたしゃべり方が胡散臭いんだけど
 臭くて鼻がもげそうだよ。さっさと失せてくんない?
 で脳みそないんじゃないの?
 全部体に栄養がいってるからそんなしゃべり方なんじゃないのー。)

 
(あんたこそ、その腐りきった性格が臭すぎるんだけど。
 自分がひ弱で足りなくて私の素敵なボディと比べて
 卑屈になるのはいいけど、陰気臭い匂いを振りまかないで頂戴!)


うっわーこの二匹のドラゴンはお互いがおしゃべりなのか
すごく辛辣な言い合いになってる。
でも、こんだけ話が弾んでるのは意外と気が合うんじゃないの?
ちょっと聞いてたらとても息が合ってる...漫才なんじゃないかってくらい。
ふふふふっ私はこの場違いな殺伐した空気の中、笑ってしまった。

((ライル))

掛け声まで息ぴったりだ!
ハハハハハ私はおなかを抱えてしゃがみこんで笑ってしまった。

しおりを挟む

処理中です...