私の大好きなドラゴン

どら娘

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少年との出会い

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「サクラここがどこか分かる?」

「私は来たことが無い所みたいだわ。
 それに、このチビも一緒みたいだけどこんな時に寝てるのかしら?
 とても肝が据わったおチビさんだこと。」

そういえば、紫のドラゴンも一緒だったことを思い出した。
ふと見ると確かに眠ってるみたいに目を閉じてスース―と寝息が聞こえてきた。
私は紫のドラゴンの傍までサクラに下ろしてもらい
触って見ても特に変な感じはしなかったし、
何より寝息が気持ちよさそうだったから大丈夫そうだ。


ぶるっと寒さで、震えながら周りを見てみると
ここは、傾斜があるのでどこかの山?に居るのは分かるけど、
見渡す限り白銀の雪が積もっている。
でも、薄着の私には寒い風や雪が降っていないだけまだマシかもしれない。
何せ春の気候っぽい森林からここ山岳地帯の雪山に来て温度差が激しい。

すると、サクラが私の襟を口でつかみお腹のあたりに下ろして
ペンギンの赤ちゃんみたいに私を翼で覆って丸まった。

「私の魔力でどうにかあなたが座ってるところは暖かくできるわ。
 でも、ずっとって訳にはいかないわ。何処か見つけないと私はいいけど
 あなたが危ないわ。
 どうしようかしら土地勘が無いし食料や着るものがいるわね。
 それにライルさっきからきつそうにしてるわ大丈夫?」

サクラとこれからどうしよう話をしていると
サクラが突然首を動かし警戒したそぶりをみせたので
私を翼で覆われてる隙間からのぞくと、
そこにはポカンと口を開け目を見開いて立ちすくむ少年がいた。


「ドドドド.........ドラゴン?」

その少年は我に返ると余りの驚きで尻もちしてしまい、
後ずさりして、結局近くの木に背中を預け震えていた。

私はサクラの翼の隙間から様子を見ていて
気の毒になったのでちょっとだるい体を動かし
隙間から出て少年の近くまで来た。
その少年は私を見てこれでもかって位目をパチリと開けた。


「お前.....俺と一緒の黒髪?誰なんだ。お前の相棒のドラゴンなのか?」


(どうしよう、ドラゴンとは話せるけど人間とはしゃべれないよ....。)
私は首を振った。口をパクパクさせ、首をもう一度振った。


「しゃべれねーのか?
 相棒じゃねーのにドラゴンといて平気なのか?
 お・襲ってこねーよな。?」

相次ぐ質問に私は何度もコクンとうなずいた。


「だいたい、なんて格好してるんだよ。
 こんな雪の中薄着だなんて馬鹿じゃねーのかお前っておい!」

私はさっきから、ものすごく体がだるく感じて
それに疲れて力が入らなくなってきた。体がフラフラとゆれて?
頭もクラクラしてきた。

「おい!大丈夫か!」


私が覚えてるのここまで、
暗闇の中私はとてもだるく熱く苦しかった。




私が倒れている頃、少年とサクラは対峙して睨みあった。
グルっとサクラはうなりながら少年を睨み、
普通の子だったら逃げていくだろうこの場面で、
この少年はまるで、絶対一歩も引かないと言ってるかのように
サクラと対峙して目をそらずににらんだ。


「お前が、こいつを大事に思ってるのは伝わる。
 だが、お前はドラゴンで、こいつの世話は無理だ。
 俺はこいつを助けたいだけだ。
 絶対害を与える事は絶対しないと誓う。
 だから俺の家に連れていくがいいか?。」


サクラは急に少年へ近づき、少年もビクっとしながらも
踏ん張って逃げずに我慢した。
すると、サクラは魔力を放出して、
ライルをふんわりとした光が包むと
体が空に浮き、自分の背中に乗せた。


「っすっすげードラゴンの魔力か?」
少年は目を輝かせてその光景に見入った。

そしてサクラは、少年に了承を伝える様に一歩下がり
頭を一度軽く下げ先に行くように促した。


「俺の家はすぐそこだ。お前も来るのか?
 来るんなら絶対大人しくしてくれ
 家を壊されたらたまったもんじゃない。
 そういえば、後の紫のドラゴンはそのままでいいのか?」


サクラは紫のドラゴンを軽く見たが
早くしろとでも言ってるかのように尻尾をパタっと促すように振った。


 「仲間じゃないのか...。大丈夫だよな...。」


紫のドラゴンが起きたら暴れるんじゃないかと不安になりながらも
少年は早足で帰宅につくのであった。



 
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