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目覚め
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朝のすがすがしい朝日とともに窓から
差し込んだ光が部屋に降り注いで私はまるで守られているかのような
やわらかい空気に包まれながらそっと目を開けた。
そして一番に目に入ったのは
癖っ毛で所々にピンピンはねている真っ黒い髪で
目はパッチリで釣り目気味でガキ大将的なやんちゃな雰囲気の
少年の顔のドアップだった。
「大丈夫か?もう熱が引いたみたいだが、何も食べていないんだ。
きついだろう?」
私は動こうとしたが、
体中が火照って熱く体が重く思うように動かなかった。
目線を少年へ戻すと少年がのぞくように見て
おでこに手を当てながら言った。
私は、誰かに似てるような気がしてじーっと少年を見た。
「動くなよ!
お前3日間熱が出て寝こんでたんだぞ。ゆっくり寝てろよ。
そうそう、お前といた赤いドラゴンは
たぶん今は狩りに行ってるみたいだ。
後で戻ってくると思う。安心して待っていればいい。」
(あ...あオジさんに似て.....る.....。)
オジさんに何処か雰囲気が似てるせいか私は安心してホッとした。
私は思わず、はにかむような笑顔をその少年へ向け、
腕をあげ、少年が私のおでこにかざした手を
精一杯強く握ったまま、眠りについた。
その少年はその笑顔を見た瞬間、ポッと顔を赤くしながら、
無理に振りほどけられない手を見つめ、
握り返しながらその傍らに座った。
「なっ 何も出来ねーじゃねえ.......か。」
聞こえるか聞こえないかの、ちっちゃな声で
悪態つきながらも口元は微笑み、そしてしっかりと
手を握り締め私の傍らで、一緒に眠りについた。
そして、次に目が覚めたのは昼過ぎごろで、
目を開けて周りを見渡していると、
開けた窓から無理やり顔を入れようとしたサクラと目が合い、
サクラが顔を下げ、サクラの顔しか窓から見えない状況で
唸り、余程心配したのか、頭全体に響くような大きな声で
サクラが話しかけてきた。
「ライル大丈夫なの!
死んだかと思ったわ!
全然話しかけても応答がなかったのよ!
心配したんだから ここの人間達が助けてくれたのよ。
たまたま良い人間で良かったわ。ろくでもない奴だったら面倒だもの。」
(人間”達”?って複数?......)
すると、奥から小走りに来たような音がして
少年がドアをパッと開け私と窓から覗くサクラを
両方見たかと思ったら再度サクラに視線を向けながら少年は話しだした。
「物音がして、また窓を壊したかと思ってきたらやっぱり
お前のドラゴン森から帰ったんだな。
本当に大変だったんだぜ。
ずっと窓を突きやがって何度も壊れてしまったんだぜ。
何度も何度もこのドラゴンに説明してやっと落ち着いたんだ。
相当心配したんだな。
張り付くようにずっとお前を見ていたんだぜ。
早く元気になってやれよ。
なにより、俺の家を壊されちゃ困るしな。」
(迷惑かけちゃダメじゃないサクラ....。)
私はまったくと思いながら、うろんな目でサクラを見た。
「しょうがないじゃない。
ここの木のくず切れは、壊れやすいんだもの。
これでも精一杯力加減してたのよ。
だいたい、そんな木のくず切れはどうでもいいのよ!
人間の子供はひ弱だからすぐ死んでしまうものだから
ここ何日か気が気じゃなかったのよー。
外敵からは抹殺して守れるけど、
人間の病気は私にはどうしようもないもの。
それに私は、心が繊細なのよ。この何日かで心配で心がボロボロで
私の鱗が輝きがくすみだしたし 私も少しはゆっくりしたいわ。
だから早く体を治してちょうだい。
どうせ、ここが何処か分からないと動きようがないし
どうやらドラゴンの聖地よりずっと北の国みたいだし....。」
サクラがたまりにたまった思いをぶつけるように話す心配した姿を
密かにうれしくもあり、申し訳ないと思いながら
私は苦笑いしながら聞いていた。
「ねえサクラ、家なんだし窓を木のくず切れ扱いはダメだよ........。
でも心配かけてごめんね。早く元気にならないとね。
それにしてもサクラが分からないなんて
サクラがいた国の何処かって分けでもないのよね....。」
「私がいた所はもっと暖かい地域だし、
雪はめったに降らないから、正反対の所かもしれないわ。
もう!先のことはどうにかなるわ!
だから体を休めて、治してちょうだい。」
「でも、ここの人に世話になりすぎるのも
駄目だから早く出ていかないと......」
「ライルの体が完全に治してから出ていかないといけないわ!
きっと居させてくれるわ。
何よりこれから先は長い旅になりそうだし
色々と調達したほうがいいかもしれないし、今頃
私たちが来ないから御ばば様もきっと探してくださると思うけど。
きっとライルの事を心配してるわ。」
「私?サクラもでしょ。」
「何言ってるの!最強に強い私のことは心配するわけがないわ!
体の弱い人間の子供のライルしかきっと心配してないわ。
まあー私が一緒だと思ってるから少しは安心してるとは思うけど。
それに、カイルやゼガンが知ったらきっと死に物狂いで探してくれるわ。
一日でも早く帰って安心させてあげるためにも早く体を治しなさい!」
「そうね.........。」
私とサクラが心の中で長い間しゃべってる間、
私の顔はコロコロと表情を変え、サクラも興奮したような顔をしているのを
この少年は不思議な顔をしながらも黙って、こちらをじっと見ていた。
私とサクラは少年が見ている事もまったくもって気にしていなかった。
ひと段落して私とサクラが目線を外したら様子を見ていた少年が
おもむろに話し出した。
「なあ........お前たち話してるよなあ。
契約していないのに何で分かり合ってるんだ?.............。」
差し込んだ光が部屋に降り注いで私はまるで守られているかのような
やわらかい空気に包まれながらそっと目を開けた。
そして一番に目に入ったのは
癖っ毛で所々にピンピンはねている真っ黒い髪で
目はパッチリで釣り目気味でガキ大将的なやんちゃな雰囲気の
少年の顔のドアップだった。
「大丈夫か?もう熱が引いたみたいだが、何も食べていないんだ。
きついだろう?」
私は動こうとしたが、
体中が火照って熱く体が重く思うように動かなかった。
目線を少年へ戻すと少年がのぞくように見て
おでこに手を当てながら言った。
私は、誰かに似てるような気がしてじーっと少年を見た。
「動くなよ!
お前3日間熱が出て寝こんでたんだぞ。ゆっくり寝てろよ。
そうそう、お前といた赤いドラゴンは
たぶん今は狩りに行ってるみたいだ。
後で戻ってくると思う。安心して待っていればいい。」
(あ...あオジさんに似て.....る.....。)
オジさんに何処か雰囲気が似てるせいか私は安心してホッとした。
私は思わず、はにかむような笑顔をその少年へ向け、
腕をあげ、少年が私のおでこにかざした手を
精一杯強く握ったまま、眠りについた。
その少年はその笑顔を見た瞬間、ポッと顔を赤くしながら、
無理に振りほどけられない手を見つめ、
握り返しながらその傍らに座った。
「なっ 何も出来ねーじゃねえ.......か。」
聞こえるか聞こえないかの、ちっちゃな声で
悪態つきながらも口元は微笑み、そしてしっかりと
手を握り締め私の傍らで、一緒に眠りについた。
そして、次に目が覚めたのは昼過ぎごろで、
目を開けて周りを見渡していると、
開けた窓から無理やり顔を入れようとしたサクラと目が合い、
サクラが顔を下げ、サクラの顔しか窓から見えない状況で
唸り、余程心配したのか、頭全体に響くような大きな声で
サクラが話しかけてきた。
「ライル大丈夫なの!
死んだかと思ったわ!
全然話しかけても応答がなかったのよ!
心配したんだから ここの人間達が助けてくれたのよ。
たまたま良い人間で良かったわ。ろくでもない奴だったら面倒だもの。」
(人間”達”?って複数?......)
すると、奥から小走りに来たような音がして
少年がドアをパッと開け私と窓から覗くサクラを
両方見たかと思ったら再度サクラに視線を向けながら少年は話しだした。
「物音がして、また窓を壊したかと思ってきたらやっぱり
お前のドラゴン森から帰ったんだな。
本当に大変だったんだぜ。
ずっと窓を突きやがって何度も壊れてしまったんだぜ。
何度も何度もこのドラゴンに説明してやっと落ち着いたんだ。
相当心配したんだな。
張り付くようにずっとお前を見ていたんだぜ。
早く元気になってやれよ。
なにより、俺の家を壊されちゃ困るしな。」
(迷惑かけちゃダメじゃないサクラ....。)
私はまったくと思いながら、うろんな目でサクラを見た。
「しょうがないじゃない。
ここの木のくず切れは、壊れやすいんだもの。
これでも精一杯力加減してたのよ。
だいたい、そんな木のくず切れはどうでもいいのよ!
人間の子供はひ弱だからすぐ死んでしまうものだから
ここ何日か気が気じゃなかったのよー。
外敵からは抹殺して守れるけど、
人間の病気は私にはどうしようもないもの。
それに私は、心が繊細なのよ。この何日かで心配で心がボロボロで
私の鱗が輝きがくすみだしたし 私も少しはゆっくりしたいわ。
だから早く体を治してちょうだい。
どうせ、ここが何処か分からないと動きようがないし
どうやらドラゴンの聖地よりずっと北の国みたいだし....。」
サクラがたまりにたまった思いをぶつけるように話す心配した姿を
密かにうれしくもあり、申し訳ないと思いながら
私は苦笑いしながら聞いていた。
「ねえサクラ、家なんだし窓を木のくず切れ扱いはダメだよ........。
でも心配かけてごめんね。早く元気にならないとね。
それにしてもサクラが分からないなんて
サクラがいた国の何処かって分けでもないのよね....。」
「私がいた所はもっと暖かい地域だし、
雪はめったに降らないから、正反対の所かもしれないわ。
もう!先のことはどうにかなるわ!
だから体を休めて、治してちょうだい。」
「でも、ここの人に世話になりすぎるのも
駄目だから早く出ていかないと......」
「ライルの体が完全に治してから出ていかないといけないわ!
きっと居させてくれるわ。
何よりこれから先は長い旅になりそうだし
色々と調達したほうがいいかもしれないし、今頃
私たちが来ないから御ばば様もきっと探してくださると思うけど。
きっとライルの事を心配してるわ。」
「私?サクラもでしょ。」
「何言ってるの!最強に強い私のことは心配するわけがないわ!
体の弱い人間の子供のライルしかきっと心配してないわ。
まあー私が一緒だと思ってるから少しは安心してるとは思うけど。
それに、カイルやゼガンが知ったらきっと死に物狂いで探してくれるわ。
一日でも早く帰って安心させてあげるためにも早く体を治しなさい!」
「そうね.........。」
私とサクラが心の中で長い間しゃべってる間、
私の顔はコロコロと表情を変え、サクラも興奮したような顔をしているのを
この少年は不思議な顔をしながらも黙って、こちらをじっと見ていた。
私とサクラは少年が見ている事もまったくもって気にしていなかった。
ひと段落して私とサクラが目線を外したら様子を見ていた少年が
おもむろに話し出した。
「なあ........お前たち話してるよなあ。
契約していないのに何で分かり合ってるんだ?.............。」
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