私の大好きなドラゴン

どら娘

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少年と女の人と...........。

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私は何とも言えないので、首をかしげてこの少年を見た。
私は声を出そうとしてみた。
「あ...う...ん」
(えっ?なんか前より声が出るような気がする?...。)

必死に声を出そうとしてる私を見て少年は頭を掻きながら
思い出したように慌てて言った。

「ああーごめん。
 そういえばお前話せねえんだったなあ。
 聞いても分からないよな。
 俺が知ってるのはドラゴンと契約したら
 意思疎通ができるって聞いた事があるからさあ~。
 でも、お前らお互いの言ってることがわかるんだろ?
 だって、まるで話してる風に見えるぜ。」

「う...ん。」
(何かやっぱり前より出せるようになったかも....。)

「すげーなあ!俺憧れてたんだ。 
 でも、実際ドラゴンが現れたら腰が抜けて何も出来なかった。
 お前が倒れなかったら、怖くてどっか必死に逃げてたかもしれねーから
 ある意味、助かったような気がするよ。
 こんな機会なんて一生にあるかないかって感じだしな。
 まあ、ゆっくり病気を治せよな。」

そう少年が私の頭をワシャワシャと撫でながら言った。
すると、奥の方からゆったりとした足取りで来た女性が
まったくと言ってるような顔で

「もう、カイン女の子なんだから髪をグシャグシャニしたら
 ダメでしょう?優しく撫でてあげなきゃ。
 これだから、男って駄目なのよ。
 女の子には優しくしないといけないって、いつもいってるでしょ。」

「アン姉ちゃん。いいんだよ。
 俺に近づく奴なんてアン姉ちゃんぐらいしかいねーよ。」

カインと呼ばれた少年はそっぽを向きながら、
手はグーにして、きつく握りしめていた。
すると、アン姉ちゃんこと優しそうなお姉さんは
少年の座っていたそばでひざまずき、グーにしていた手の上に自分の手を重ねて
少年の頬にもう一つの手を持っていき、悲しいような切ないような顔で言った。

「何言ってるの...。この女の子とだって普通に話してたじゃない。」

「こいつも、黒髪だろ!だから俺と一緒だし.....。」

少年がとっさに言ったらハッとしたように、私の方に振り向いた。
私は意味も分からず、首をコテンとしながらバツの悪そうな少年を見た。
ここでは、どうやら黒髪が何か悪い象徴みたいだ。

「俺...。何か飲み物もってくる。」
バタバタと足音を立てながら逃げるようにカインと呼ばれた少年は部屋から出て行った。


「ごめんね...。ちょっと今反抗期みたいだから...。
 あ!そんなことより、自己紹介がまだだったわね。
 さっきの子は、カインで私はアンよろしくね。
 この家はアランおじさんと、カインの家で私はたまに手伝いに来てるの。
 私はここの場所より離れた所の村に住んでいるわ。
 よろしくね........。あなたは何処か遠くから来たの?
 転移の森の方から来たってカインが言ってたから.....。
  あっ!そういえば、話せないとカインが言ってたわね。
 ごめんなさい。でも、アランさんも良い人だし安心していいわ。
 女の子だし、着替えとかは手伝うわ。」

アンさんはそう言うと私を引き寄せ抱きしめた。
(やわらかい...。)
女性特有の柔らかい感触がお母さ見たいでホッとした。
オジさんはゴツゴツしてたなあ....。
私は自然と涙が流れギュッとお姉さんの服をつかみながら眠りについた。




ふと目が覚めて見ると夜みたいで真っ暗だだった。
私はちょっと喉が渇いたので、周りを見渡してみるが無さそうだ。
(水.....探してみようかなあ、でも知らないお家だしなあ)

私は恐る恐るドアを開けてみると
真っ暗な廊下が薄気味悪い感じだが勇気を振り絞って歩いてみた。
ウロウロとしているうちに居間?みたいな所に行きついた。
そこには薄暗いながらも暖炉があり、小さなテーブルの上には
チョコンと小さい蝋燭1本の炎が頼りなく揺れていた。
(誰もいないのかなあ?蝋燭の火がついてるから誰かいると思うけどなあ)

スーッと寒気がしてブルっと体が震えたので暖炉の前に行き
私は立ったまま、暖かいなあと思いながら暖炉の前で手をかざしていると
ふと大きな暗い影がさしたので、振り向いてみると最初に目がしたのは
どでかい足がズドンと立ちはだかっていた。
私は恐る恐る下から上へギコギコと音が鳴ってるんじゃないって思うぐらい、
ぎこちなく見上げるとそこには、ボサボサの髪で脇ぐらいはまで伸びていて
目は鋭いうえに、めくれている袖から見える筋肉がゴツイと主張して
ド・でかい男が私を見下ろすように立っていた。
ビックリしすぎて、まるで目が落ちそうなほど大きく目を開き
足がカクンとして、尻餅をついてしまった。

オジさんも最初出会った時も怖かったが、
この男は、とても機嫌が悪いのか足をトントンと鳴らしながら
不機嫌な顔を前面に出して、私を見下ろす姿が今までで一番怖かった。



「さっ...く」
すると、目にも見えない速さで大男は私に近づき私の口に手を当てた。

「だまれ、奴が来るだろっ...」
低い.......とてつもなく低ーい声の男が耳元で脅すように言った瞬間。
恐怖で頭の中がパニックになって私はサクラを呼んだ。
なになにー怖いよう。誰このヒゲモジャ巨人ジジーはあああああ。






「ちっ.......遅かったか。」



 
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