私の大好きなドラゴン

どら娘

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笑うは怒る?

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翌朝目が覚めた私は昨夜が夢のようで恐る恐る暖炉がある部屋を
コッソリ覗くようにドアから顔だけ出してみた。
すると、突然後ろから昨日いたカインという少年が声をかけてきた。

「お前何してんだよ。.....おはよう!」

私は肩があからさまにビクッとさせ後ろを振り向くと
昨日と打って変わって清々しい笑顔で挨拶してきた。

「早く中へ入れよ。兄貴しかいないから」

カインは私の背中を押しながら部屋へ入り、こっちだと手を握って
4人座れるテーブルへ連れていき一番手前に座るよう促してる時に
昨夜の大男が奥の台所らしき所から食事をちょうど持ってきた所に居合わせた。


「よっ起きたか?チビ」

私は声のしたほうを見ると、朝で明るいせいか
大男の髪が茶髪で濃いブラウンの目をしていた事に気が付いた。
昨日と変わらずボサボサの髪でいて、
やはり目つきは悪くぱっと見怖いが、見た目とは裏腹に
大きな手で私の頭をポンポンとして椅子を引いてくれて
意外と面倒見がよく優しいのが感じられ
私はニコッとして目を見ながらペコっと頭を下げながら挨拶した。

「おは.....ご...ざ...ます」
2文字前後は声が何とか出るようになったみたいだ。
私は一生懸命声を出そうと振り絞って途切れ途切れに挨拶した。

再度頭を押さえながら軽い調子で話してきた。
「無理して話さねーでいい、それよりメシにしよーぜ。」


私と大男の挨拶をただジーッと見ていたカインは
私と向かいに座った大男が椅子に座ったら話しかけてきた。

「.................。
 兄貴を見てもびっくりしねーって事は兄貴といつ会ったんだ?
 昨日お前すぐ寝てたよなあ」

そう言いながら私の隣に座った。
私は隣を見ると黒髪で黒目で色白なヤンチャ風で釣り目のカインと目を合わせながら
昨夜の事を思い出しながら首をコテンとしながら私は言った。

「よ.....る?」


大男は少年カイルを茶化すように笑いながら話しかけた。

「お前は相変わらず一度寝たら起きないぐらい爆睡してたからな嫌、ふて寝か?」

少年は恥ずかしいのかごまかしながら
唾を飛ばす勢いで、早口にまくしたてるように言った。

「寝てただけだよ!ふっ...ふて寝じゃねーよ」

「あ~はいはいメシだ早く食べろチビ共!」

「ふん!....でかい兄貴にとっては全部チビだろう....」

この二人は仲が良いのが、とても伝わってくるぐらい楽しそうだった。
見ていた私は微笑んでいると突然大男が私に向かって言った。


「そういえばチビお前名前なんて言うんだ?」

「ラ....イル」.

「ライル?男みてーな名前だな。
 こんなに可愛い顔なのに、変わってるなあ。」

私は面と向かって可愛いと普段から言われたことがないし
この男からは冗談でも無い真顔で言われたので、私はポフッと顔が真っ赤になった。
恥かしくてモジモジして目を潤ませながら、ふと横から視線を感じたので
頭一つ分ぐらい上のカインに下から上目づかいで見ると

「....お前.....あ赤くなって気持ち悪いぞ」

「お前馬鹿だなあ~そこは、可愛いと素直に言えばいいのに。嫌わるぞ。
 チビこれ以上可愛い顔してるとカインが惚れるからメシだメシ!」

「バッ...なっ.....い...ってんだよ。」

小さい声でボソッと言ったかと思うと
カインまでほのかに赤くなりながらごまかす様に朝食を勢いよく食べ始めた。



お昼になるとアンお姉さんがやってきた。
するとなぜか大男は一切話さなくなった。

アンお姉さんが「こんにちは」といっても「ああ」しか言わないのである。
不思議に思いながらも私はお姉さんの方を見ると私の髪を軽く触ると

「さっきカインに聞いたわ!
 ライルって名前なのね。きっと男のように元気に育ってっていう意味なのね。
 そうそう! 女の子だから私の小さい頃の服が合ったから持ってきたわ。
 それに見て!リボンも持ってきたのよ。」

一瞬ライルの名前をつける時のオジさんがうっすらと思い出して胸が苦しくなった。
するとアンお姉さんはすぐに私の顔にかかった前髪と一緒にチョコンと一束にまとめて結んでくれた。
長めの前髪も一緒に束ねたのでおでこが出て視界も開けた。

「せっかく可愛い顔なんだから見せないと。
 あなたの紫の目とピンクのリボンがとても似合うわ。
 もっと髪が伸びたら色々な髪形ができるわね。だから元気を出して!」

私がオジさんのことを思い出したとき悲しい顔をしたのを見て
アンお姉さんは私をギューッと抱きしめた。


「あり....とう」

「さあ!私が持ってきた白のワンピースも着てみて絶対似合うわ!」

私はお姉さんに着替えを手伝ってもらい
リボンも今度は蝶々結びで結んでもらった。
私は女の子らしい格好にテンションが上がって
居間に駆け込み近くにいたカイルの手を握りいった。

「どう?」

カイルは目を見開くと一歩下がり私の手を振り払うと頭を掻きながら言った。

「か... ッ可愛く見えるよ」

すると、後ろからゆったりと歩きながら来たアン姉ちゃんに頭をバシッとたたかれ

「もう!可愛く見えるじゃなくて可愛いでしょ!
 何恥ずかしがってんのよ男らしくスパッと言いなさいよ。
 まったくもうこれだから男は....
 私もうそろそろ帰るから、ちゃんと優しくしてあげなさいよ!」

「言われなくたって、わかってるよ!」

「アランさんに迷惑かけたらダメよ。」

「しつこいんだよ!じゃーな」

カイルは追い出すようにアン姉ちゃんを外に出した。
(アランさんって誰?だろう......)

私はふと疑問に思ってるとサクラが読んでる気配がして私は外に行った。

「ライルがなんかものすごく喜んでる声がしたから来てみたら
 あら、可愛いじゃない!似合ってるわよライル」

「そうでしょ!」

私は本当に女の子っぽくスカートをちょっと持ってくるっと回って見せた。
そうしてる間に大男とカインが出てきて言った。

「おい!とっても可愛いが、可愛いだけじゃ飯は出てこねーんだ
 今日は天気も良さそうだし森に出かけるぞ~
 ついでに木の実をとるから手伝え!」

私は首を縦にしながら
あっ!と先ほど疑問を持ったことを思い出し大男の裾を引っ張って尋ねてみた。

「あ...らん....だれ?」

「はあ?俺だけど?カインと俺しかいねえんだから
 分かるだろ?」

私は動きが止まりその傍ら、サクラが思いっきり笑いながら


『ぷっ.......この不細工でボサボサ頭の野暮ったいこの大男の名前なの?
 アランって名前は何処かの国の悪い奴らを神々しい爽やかな笑顔で
 倒した強い美青年の騎士の名前で
 あやかって笑顔の絶えない綺麗な子になるよう良く付けられる名前だけど...
 ハハハ名前負けしてんじゃないの?
 爽やかな名前なのに顔とあってないわ~ 」


サクラが私もちょっとだけ思ってしまった事を
隠すことなく惜しみなく話すので、でも失礼だと思い
噴出さないように妙な顔になりながらも笑ってごまかした。


(笑っちゃダメ.....今見ている口が悪いボサボサの大男が余計に
 サクラが言った美青年ってゆう単語に
 相反して私の中でツボにはまりそうでや....ば....い)

私は服の裾を持っていた手が笑いそうでプルプルとするのを我慢していると
大男が髭と髪で、よく見えないがものすごく笑って怒ってるような顔を向け
しゃがみ込んで私の両ほほをタコの口になるくらいつぶした後、
そこら辺にあった牧や農具をサクラに手当たり次第にぶつけ始めた。



「急に何やってんだよ兄貴!」
慌てながらカイルがアランという大男に叫んだ。


「なぜか...........無性に馬鹿にしたような感じがした....このドラゴンに」

その間もサクラも軽くかわしたり尻尾ではねつけようとしていたが
アランという大男は腕が立つのか強いのか綺麗にかわしていた。



(ひえーサクラの言葉が分からないハズなのに...すごい...)
私はめちゃくちゃ寒気がしてさっきまでの笑いが消えてなくなった。

しばらくして、私の前にしゃがみ込み目線を合わせると
2度言うが顔が髪とひげで見えないが、”とても神々しい笑顔”で
私を見て優しく言い聞かせるように頭をなでながら言った。

「なあ~ライル、アランと呼びたいだろう?」



「....はい」

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