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王子サンタム主催のパーティで彼との婚約を破棄した私は、追い出されるように会場を後にした。
それも当たり前だ。自分のためのパーティで、王子が、格下の婚約者に婚約を破棄された上に、自分が恥ずかしい命令をしていたことを暴露されてしまったのだから。
周りに信じられるかはわからないが、顔に泥を塗ることくらいはできただろう。
王子相手にこんなことをしてしまったのだから、家にどんな迷惑がかかってしまうかはわからないが、ここは異世界だ。どうなっても楽しく生きよう。
会場の外で待機していた馬車に乗って、自分の屋敷まで戻ることにした。
屋敷に入って出迎えたのは、大勢のメイドーーーではなく、お母様であった。
「あ、貴女、な、なに、なにをした、のか、わかっているの!?!?」
あまりの怒りに、言葉が震えすぎて聞き取りづらいほどだった。
どうやら彼女は、一足先に連絡魔導力術式によって、私が婚約破棄をしたことを知っていたみたいだった。
「ええもちろん、存じております」
「そ、そんな……貴女ねぇ!!!」
パチン!!と大きな音が耳元で鳴ったかと思うと、顔を顰めてしまうような痛み。
体も少しよろめいてしまうほどの強さで、頬を叩かれたようだった。
「貴女が我慢をしていれば、我慢をするだけで、我が家は、安泰で、ああ、あああ……」
そうやって崩れ落ちるお母様を見て心に浮かんだ感情は、可哀想だなぁ、くらいのものだった。
この感情はメリンのものなのか、『私』のものなのかは分からない。
しかし、彼女に対する感情は、存外冷えたものであった。
この調子だと、この家にもいられなくなるかもしれないな……と、今後のことを少し考える余裕すら生まれるほどだった。
それも当たり前だ。自分のためのパーティで、王子が、格下の婚約者に婚約を破棄された上に、自分が恥ずかしい命令をしていたことを暴露されてしまったのだから。
周りに信じられるかはわからないが、顔に泥を塗ることくらいはできただろう。
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会場の外で待機していた馬車に乗って、自分の屋敷まで戻ることにした。
屋敷に入って出迎えたのは、大勢のメイドーーーではなく、お母様であった。
「あ、貴女、な、なに、なにをした、のか、わかっているの!?!?」
あまりの怒りに、言葉が震えすぎて聞き取りづらいほどだった。
どうやら彼女は、一足先に連絡魔導力術式によって、私が婚約破棄をしたことを知っていたみたいだった。
「ええもちろん、存じております」
「そ、そんな……貴女ねぇ!!!」
パチン!!と大きな音が耳元で鳴ったかと思うと、顔を顰めてしまうような痛み。
体も少しよろめいてしまうほどの強さで、頬を叩かれたようだった。
「貴女が我慢をしていれば、我慢をするだけで、我が家は、安泰で、ああ、あああ……」
そうやって崩れ落ちるお母様を見て心に浮かんだ感情は、可哀想だなぁ、くらいのものだった。
この感情はメリンのものなのか、『私』のものなのかは分からない。
しかし、彼女に対する感情は、存外冷えたものであった。
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