訳ありエルフを嫁にするため、現役復帰を決意した元賢者の俺

ささやんX

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第七章 後妻の秘密

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 まあ、それは納得できる。私はともかく、セルケトは即拘束される事案だからな。
 おそらく昨晩の事件を帝国騎士団<北神>の管理事案でまだ、とどめているらしい。
 だから娘のリベリアは統括本部としてではなく、ガレスがリベリアを私の娘として何らかの理由をつけて誘った気がする。
 ただし、好意かどうかは別だ。娘を使って、セルケトと私の仲を裂きたかったのかもしれない。いわゆる親離れを計った気がする。行商のおばさんを泊めているのを娘が実際見たら、まぁね。
 そこにいたのが娘と同じくらいの容姿のセルケトさんだ。
 これでガレスの想定が外れた。
 これは私もなんだが、リベリアがセルケトに嫉妬と言うか対抗意識を持ったのだ。
 それを悟ったガレスは、改めて考えた末の言動がこれだろう。
 単に私への足枷が二人に増えた事を私に再認識させるだけかもしれない。
「それで何が聞きたい?」
 とりあえず尋ねた。私の現役復帰はしょうがない。ならば条件交渉しかない。
 ガレスは一瞬驚いたようだが、セルケトさんの事ですがと切り出した。
「まず、その名前なのですが、その筋で有名な工作員と同じ名前で驚きましたよ」
「何が言いたい?」
 胃の中が急に冷たくなった。ガレスの言わんとしている事は予想が付いた。
「セルケトというのは個人の名前ではなく、複数の優秀な工作員の総称ではないかと思っています」
 確かに<セルケト>が、偽名なのは、昨晩の敵小隊の隊長も言っていた。
 その言を信じるなら、複数人いると思う。ただし、あいつはセルケトさんをおばさんとしてのみ知っている口ぶりだった。ここは、彼女に尋ねないと私にもわからない。
「そうなのか」
 ガレスの意見は、私にハニトラを仕掛けたセルケトさんもその一人ではないかと言う。神出鬼没の<セルケト伝説>が、実は複数人の仕業なら納得できると言うのだ。
 今日、ガレスが会った彼女に大物感がなかったという事だろう。
 とりあえず、皆が彼女を小物扱いしてくれたほうが早期釈放の可能性が上がると私は判断した。
「私が惚れて結婚を申し込んだのは、あのエルフの女性一人だ。寝返らせたのは、私にとって児戯、たった数日だったからな」
 自慢げに大嘘をついた。
 時間の長さは問題じゃない、彼女のために私が何をしたかだ。
 ほぅっと、ガレスは驚いて私を見る。
「後学のために、どういう手法を使われたかをご教授いただけませんでしょうか?」
「そんなこっぱずかしい事は言えないな、結局、ここだな」
 もちろん指差したのはハートだ。
「失礼しました」
 もちろん相性もあるだろうと、指の向きを変えてみせた。
(そっちは実際は知らないけどな)
 ガレスは、なるほどと苦笑してくれたが、これは娘には使えないネタだな。
 それでも、このくだりは、想定Eに入っているので、すらすら言葉が出た。
 ガレスには、私の発言が想定されたものでないと思わせる事は欠かせない。
 こいつは見かけはイケメンだが、狡猾さもあるからな、気は許せない。
 ドンっと小屋の扉の開いた音がして私達は振り返った。
 リベリアが真っ赤な顔をして、こっちに向かってくる。
 どうも雪の上が苦手のようで髪が上下に揺れていっそうひょこひょこ感がある。
 そして私の眼の前に来て私を見上げた。
「どうした?」
 娘は私の質問を無視して、ガレスに失礼っと言う。
 そして、私の手を引いて彼からから遠ざかろうとした。
 ガレスは肩をすくめただけなので、私はそのまま娘と遠ざかる。
 彼も検分している団員の方へ歩き始めたのが見えた。
 少なくとも、今は娘と揉める気は無いらしい。
 結局、私は誰もいない庭の端っこまで連れていかれた。
 そこで娘は赤い顔を深呼吸して抑えて小声で言った。
「お父様、あんな事までしてあのエルフが欲しかったのですか?」
 庭で検分していたはずの娘がいつの間にか、小屋の中にいたようだ。
 しかも、セルケトさんと話していたらしい。
(何を吹き込まれたのやら…)
「まぁ、セルケトが言ったのは、誇張もあるだろうが」
(それにしても、我が娘ながら、可愛いな)
 自然と頬が緩んだ。
「何を笑っているの、おかしい事に気が付きませんか?」
 リベリアは、顔を真っ赤にして正拳が私の胸を打った。
 続けてもう一発、ちゃんと訓練を受けたヤツだ。思った以上に重い。
「パンッ!」
 さすがに次は右手で受け止めて正解だった。
 手加減はしているだろうが、あばらをヒビが入れるに十分だ。
 お転婆もとい騎士団に入った娘の成長に驚きながらも、彼女の文句を聞いた。
「再婚するなら、それ相応のご婦人もいるでしょう?なのに…」
 なのに、はやっぱり見かけが若いエルフが気にいらないのか。
「これじゃハニートラップじゃないですか!」
(まあ、最初はね)
「でもさ、彼女は私の味方だよ、私を愛している」
その言葉に娘の顔が真っ赤になった。
そして彼女の言葉には容赦なかった。
「そうでしょうか、彼女の狙いはお父様の財産狙いでもそう言えますか?」
「…」
「…娘の私から言いにくいのですが、彼女、お父様の精を吸っています」
 小屋の中で、セルケトさんは、娘に完全にマウントを取りに行ったと思う。
 未経験の娘に何を言ったか、想像がつく。
「1000回吸ったら、異種族でも子ができると言ってました」
 あっけなく、私の想像は外れた。
「えっ、そうなの?」
 慌てる私に娘が追い打ちをかけてくる。
「ハーフエルフがインテグリフ家の跡継ぎだなんて、信じられません」
 セルケトさんがひ~ひ~ふっ~と出産するシーンを想像してしまった。
 普通は、赤子を抱き抱えるセルケトさんの笑顔だろうが…
「えっ、まさか…」
 異種族間で子供が出来にくいのは知っている。
 だから、まあ、無防備で…、変な汗が出てきた。
 賢者の私が知らないって、知らないからと言って否定もできない。
 さすがに視線を逸らして、指で回数を数えるわけにはいかない。
 でも、少なくとも、体力的に見ても3年以上先のはずだろう。
 それより、娘に尋ねたい事がある。
「私って、財産以外は、魅力が無いのかな」
「…だから、ご婦人と言いました」
 こう言っちゃなんだが、この国のご婦人は恰幅のいい女性ばかりなんだよなぁ。
 大半が、後家さんと、やたらプライドもでかいご婦人が多い。
 そりゃ自分の年齢を考えれば、言える立場ではない。
 別の話として国の方針としても戦争で旦那を無くした後家さんや、その家督の維持を目的としている。もはや、色々と綻びが見える施策だよな。
 そんな方針を誰が作ったって?ああ、少しは加担した覚えがある。
「そ、そうだった」
「お父様、安心してください。お父様は素敵ですから」
 そう言えば、小さい頃、娘は私の嫁になるって言ってたっけ。
「あ、ありがとう」
「はい、私がお母さまの後を継いで、お父様の妻になります」
「は、はい?」
 た、確かに、この世界では、近親者同士の結婚は普通にある。
 血の繋がりが大事な世界だからな。が、私には抵抗がある。
「私が正妻で、セルケトさんは愛人でいいじゃないですか」
これは、娘にとって妥協案だろうか。
 誰だ?娘をそそのかしたヤツは!
「お父様とお母様の愛の結晶の私が再度、その血をお父様と濃くします」
「ま、待ってくれ」
「私なら、来年末にも、子供が産めますよ、お父様」
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