訳ありエルフを嫁にするため、現役復帰を決意した元賢者の俺

ささやんX

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第六章 これからの事

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日射しが出ているとはいえ雪の積もった山の中はさすがに冷える。
庭には騎士団の野営用のテントが一張りとその側に焚火が見える。
ここにきた団員の半数が忙しく庭で作業をしている。
死んだ敵兵の検分と、開いた穴の修復作業を行っている。
残りの団員は敵の残党等の確認のために山に入ったそうだ。
私達は検分している団員の間を縫って歩きながら話す。
「悪いね、寒い中、手間を増やして」
これはガレスにでなく、団員に対する心からのねぎらいの言葉だ。
彼らは山の中腹にある駐屯地へ行く途中なのだ。
昨日のセルケトさんと雪山ハイキングでは右に曲がった山道を真っすぐ行けばいずれ駐屯地にたどり着く。
この山小屋の無駄に広い庭は、騎士団が山に入る前の休憩地として貸している。
私は彼らが今日来るのを知っていたから当初はセルケトを逃すつもりだった。
敵もそれを知っていたので焦って昨晩の私の拉致強硬策に打って出たというわけだ。
その結果、運よく私は妻を得る事になった。
「今更ですけれど、一人くらい捕虜も欲しかったですね」
ガレスは、暗にセルケトを尋問しなくてはならなくなったと言っている。
「多勢に無勢でね、隠し玉の狂戦士化するしかなかった」
「賢者が狂戦士化ですか?それは想定外ですよね」
「そうだろ、だから虚を突けて効果的だった」
この嘘をずっとつき続けることになる。
「なるほど」
ガレスは私の嘘に気がついているのかは分からない。
「これからどうなる?」
「隣国との事ですか?御夫婦のことですか?」
そうか私とセルケトさんの事だけを考えていたが、普通そっちだよな、思わず苦笑する。
現役を退いたという事で立ち位置が変ったということだ。
「一小隊を帝国の領地に越境させた皇国にどう対応する?」
「ただし返り討ちにしたのは貴方だ」
心中より穏やかではないのは、明らかに皇国のほうだな。
「皇国が早々に報復する可能性は高いか」
「まあ、そうでしょうね。だから避難も兼ねてです」
「事態は悪化するのは、武闘派には歓迎か?」
国政の事は一般人には話せないとガレスははぐらかす。
「さぁどうでしょうか」
「お前の所の団長は武闘派のあのハゲだろう、なら言うまでもないか」
「それは分からないですね、ただ貴方は隠居のままは難しいでしょうね」
私の現役復帰は、やはり交渉材料の一つらしい。
「やっぱり難しいか」
目の前に庭に作った露天風呂が見えてきた。
ガレスが露天風呂に貼った氷をつつくと簡単に割れた。
その割れた氷の破片を一つ取って眺めている。
「氷が薄いですね、それと少し甘い匂いもしますね。」
ガレスはうらやましいと小さな声で言いながら氷を足下に落として割った。
単なる推測だろう、こいつに過去視の能力はないはず。
「ここは娘さんには調査はさせませんよ、ここは戦いには関係ない」
「恩に着るよ」
今のところ、ガレスは私にとって敵ではないらしい。もっとも今のところはだ。
「ところで穏健派は容認か?」
「どうですかね」
ガレスは遠くを見て少し考えて口を開いた。
「実は団長にちょっと前にお孫さんができまして、すっかり毒が抜けたというか何というか」
「えっ、そうか」
笑いが込み上げてくるのを抑えるのに苦労する。あいつに孫か。
「貴方もリべリアさん次第ですよ」
「それはどういう意味だ?」
私は気色ばんだ。
「適齢期という事です」
「…」
ガレスは単に一般論を言っただけかもしれないが…
「それより貴方の奥様、セルケトさんとおっしゃいましたね」
一瞬ひやっとしたが、可愛いエルフの女性で、本当に嬉しそうですねと言う。
「ただ、今の状況では、彼女を貴方の奥様とは帝国が認める事はないでしょうね」
普通の声でガレスは私に告げた。
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