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罪025 挿絵
しおりを挟むごきげんよう。冷鉄で冷血にして冷尻な可愛いお尻が自慢の吸血鬼、アビリルですわよ。
さて、私達はペガサスを無事に見つける事ができました。と言うよりは、相手側から私達の邪魔を…、いえ、私達に声をかけて来ました。
真白はホッとしたように肩を撫で下ろし、駄馬に話しかけていますわ。
「そこに居るのは、スノウだよな?」
「あら?この声は、薬草30束の人よね?名前はマシロン!」
「人をマカロンみたいに呼ぶな!俺の名前は真白だって。それより、スノウ。お前、無事だったんだな。安心したよ。」
「ブジ?というよりはアレね、どちらかと言うと、「全然平気だった」と言う方が正しいわよね。むしろ退屈で寝てしまったくらいよ。」
「いや、スノウ…。それを無事だと言うんだが?まぁ、良いや…。」
ペガサスのスノウ…。私を封印しようとした少女…。ですが、どうやら彼女はその戦闘力の強さには沿わない、弱い頭のようですわね…。
まぁ、形はどうであれ、駄馬が見つかって良かったですわね。
しかし、真白は今の状態を、どの様に捉えているのかしら?この男は平気なの?恥ずかしくなくて?
髪は乱れ、服も乱れ、心も身体も乱れたまま。
私、この状態、もう耐えられなくてよ…。
どうして、こんなにも恥ずかしいのかしら?
「所でアビリル。俺は今から変態してこの岩を粉々に砕くから…とりあえず、パンツとズボンを吐くけど良いかな?」
「え?ええ、構いませんわよ!って何故、私にそんな事を聞くかしら?私は別に続きがしたいとか、そんな事は……一言も…。」
この男は何を言いだしますの?
まあ、別に、もう少しこのままでも良かったですのよ。…なんて…言える訳ないですわよ!
今までなら、殿方との行為はスポーツ感覚、そう、軽く汗を流す運動程度の感覚でしたのに…。
ですが、この感覚はそれとは違う。
どちらかと言うと懐かしい。そう、父様への思いと少し似ていますわね。
なんだか、冷え切った心が、春の雪解けの様に身体の奥から緩徐に暖かくなって行きましてよ。
佐藤 真白…。彼は封印されようとした私を何度も救い、私の心に住み着いて、その領域を広げていく。もはや、手遅れですわ。この責任はとって頂かなくてはなりませんわね。
「ちょっと2人とも、岩から離れてくれない?この落石を全部殴り飛ばすわよ。」
突然、駄馬なスノウがとんでもない事を語り始めました。この駄馬…話を全く聞いていませんわね?
彼は足が挟まって動けなくてよ?
「駄馬!何をなさいますの?おやめなさい!」
「アビリルの言う通りだ!スノウ!おまっ、人の話を聞けって!俺が何とかするから!この狭い空間で離れるも何もないだろ?おい?聞いてるのかスノウ?おい?」
スノウは左右の腕を交互に回し、弧を描く!
「はぁあああああ。燃えろ私の中の薬草!」
「おい?スノウ?おまっ、まさか?おい!ちょっ!やめろおおおおお!」
「ひっ。おやめなさい!」
「唸れ!ペガサス流聖剣!はぁぁぁああ!」
「うわぁあああ」「いやぁあああ」
全く最悪の状況ですわよ!
私と真白は岩ごと吹き飛ばされ、そのまま壁に激突。私は心臓部を上手く避けきる事ができましたが、身体には無数の聖剣が刺さりましてよ。
「あんのー駄馬め!」
ふん…。ですが、私はこんなもの痛くも痒くもありませんわよ。
それよりも大変なのは真白の方です。
彼の身体には聖剣が二本も…!
一本は左肩。もう一本は肺辺りに…。
剣は身体を突き抜けてはいないものの、腹から背中までグサリと深く。そして、私の足は勝手に彼の元へと走っていましたの。
「あなた!大丈夫ですの?」
「なぁ、アビリル。お前、顔色1つ変えずに剣を抜いていたよな?不死身って凄いな、と、思わされる瞬間だったよ。」
「そんな事言ってる場合じゃなくてよ!凄い血が出ていますわよ!」
私は咄嗟に彼の肩の剣を抜き、肺に刺さったであろう聖剣を持ち、引き抜こうと心みましたが、これは…剣が深く刺さり過ぎています。
このまま引き抜くのは少し危険かもしれませんわね…。。
すると、真白が蒼褪めた面持ちでボソリと呟きました。
「やばい、意識が朦朧としてきたかも…血を出し過ぎたようだ。」
「ちょっと、これ、一向に血が止まる気配がありませんわよ!」
私は必死で肺に刺さった剣の刺し口に手をかざし、溢れ出る血を押さえていますが、私の手は彼の血で染まっていくばかり。
すると、駄馬が腑抜けた声を出し、私達の前にノコノコとやって参りました。
「げっ…聖剣刺さっちゃったの?」
「この駄馬!どうしてくれますの?彼は普通の人間ですのよ。」
「あ、あの。ワザとじゃないんですけど、そんな睨まないで欲しいの…。」
スノウは少し驚いた顔を見せるも、口を尖らせ冷や汗をかきながらモジモジしています。
それを見て私の怒りは鎮まらず。
「あなたね!どう責任を取ってくださるの?真白が!真白がこのままだと死んでしまいますわよ!」
私は彼を救いたい一心で、もう、最終手段を取ることに致しました。こうなったら、あれしかありません。止む得ないですわね…。真白を……彼を同じ吸血鬼にするしか…もう道はなくって……
「あっ、そんな事しなくても大丈夫よ!私にドーンと任せなさい。蝙蝠さんは邪魔だから、そこどいてくれる?ほらほら、シッシッ!じゃ、まずは剣を抜くよ?せーの!」
「ま、待てスノウ!おい!」
スノウは彼に歩み寄ると剣を力一杯引き抜きました。な、なにをするのこの駄馬!
「うぐぁああああ!」
痛みで踠き苦しんでいる真白。
剣を抜いた傷口から噴水のように血が吹き出しています。駄目、このままでは彼は、彼は死んでしまいますわ。私は必死で傷口を抑えますが、血はとどまる事なく吹き出します。
「はい、そこの蝙蝠さん、手邪魔だから退けてくんないかしら?」
私の手を押し払うように、スノウは彼の傷口へと顔を近づけましたが…ええっ?何をしてますのこの駄馬は?
「んぁあー。んく、ペチャ。ピチャ。んぁあ。」
「あ、あなた!何をしてますの…?」
彼女は口にから唾液を垂れ流しながら、真白の傷口を舐め始めました。唾液の溢れた薄い唇でカプリと咥えるように傷口に吸い付き、その小さな舌でピチャピチャと音を立て舐めるスノウ。
これじゃあ、どっちが吸血鬼だかわかりませんわよ!その卑猥な行為を止めようとする私を右手で押さえ込み、更に舐め続けるスノウ…。
その光景に胸が締め付けられ、胸の奥から込み上げてくる想いを押し殺しながら、ただスノウを見ることしかできませんでした。
そして、スノウはむくりと起き上がると、口に着いた彼の血を拭いながら笑顔で語りだしましたの。
「私って最強で最高よね。見てごらんなさい!もう大丈夫よ!傷は塞がったわよ。」
「え?」
スノウの話では、彼女は聖獣であり、主食は薬草。元々、聖獣である彼女の行使する魔法も、聖剣を創り出す魔法でした。聖なる物を創り出す身体から出される体液、愛液、唾液は全て、回復効果があるらしのです。
詰まる所、彼女に攻撃を与えても、血や粘膜などから体液が溢れ出て身体は直ぐに回復してしまう。
それなりに弱点もあるようですが、相手が魔の者に対しては不死身に近い生物というわけですわね。
彼女はそのまま彼のズボンを下ろし、右足をペロペロとエッチな音を立て、全て綺麗に舐め終えました。
「治し方はあれだけど、この回復力は眼を見張るものがあるな!前より身体が軽い気がするよ。」
と、彼は腰を屈めながら喜んでいました。
どうやらスノウの舌技で下の方もお元気になったようですわね。
全く…、この男は女なら誰でも良いのかしら?
◇◆◇
真白目線
スノウにやられた傷は、スノウが無事に治してくれた。言葉にすると矛盾だらけだが、まぁ、良しとしようか…。
「ふーふんふんふっふふーん。♪あ!薬草ゲットーっ、ここにも、あ!ここにも生えてる♪」
楽しそうに薬草を抜きながら、闊歩するスノウを前に、何だが窮屈なムードの俺とアビリル…。
アビリルはずっと下を向きながら俺と目を合わせようとしない。
余りにも気詰まりな雰囲気に耐えかねた俺は、間の悪いタイミングではあるが、場を誤魔化す為に口を開いた。
「そ、そー言えば、スノウは此処で何をしていたんだ?お前の力なら入り口の岩なんてブン殴って外に出れるただろ?」
それを聞いて、ウンウンと頷くアビリル。
スノウはキラキラした瞳で振り返るとニヤリと笑った。
その刹那、洞窟内に凛々しい女の声が響き渡った。
「スノウ様!余りに帰宅が遅いから心配しましたよ?何をなさっていたのです?ペンダントは見つかったのですか?」
「誰ですの?」
「さぁ、…敵ではなさそうだな。」
俺達の前に現れたのは、頭に一本角を生やした、肩までの髪、執事服を着た綺麗な女性であった。
スノウの仲間か…。
「スノウ…様?様だと?あっ、初めまして、真白と申します。こっちはアビリル。」
執事服の女は俺達を睨みつけると口を開いた。
「貴様等が何者だろうと興味はない。そんな事より、スノウ様!天界が大変な事になっております!天使と堕天使の抗争が始まりました。それに、母君から急いで帰宅しろとの御達しです!」
「えー。あの天使達、まだ喧嘩してるのー?私、行きたくないんですけど?あっ、そうだ!良い事思いついたわ。私ってほんと天才かも!」
ヒッヒッヒと笑いながら俺達を見つめ笑みを浮かべるスノウ。ん?何か…良からぬ事を考えていそうだけれど?
「私の代わりにこの人達が行くわ!そう母上に伝えてくれるかしら?」
ユニコが眉間に皺を寄せ声を荒げる。
「スノウ様!そんな事が許される訳がありません!直ちにご帰宅ください!」
「嫌よ!ユニコ!あなたは少し黙ってて!」
俺達は一瞬、目が点になったが、慌てて反論する!
「は?何言ってんのお前?」
「何故、私達がそんな神聖な場所に行かなくては行けなくて?天使が住むような場所なんて、虫唾が走りますわよ!」
人差し指を振りながら、ジト目でさらに反論するスノウ、いや、この駄馬!
「あなた達は私に借りがあるわよね?階層主討伐、それにさっきは命を救ってあげたわよね?それを今ここで返しなさい!」
「無茶苦茶だ!そもそも、お前は間違ってる!俺の命を救ったのでは無く、俺を殺しかけたんだ!」
馬鹿みたいな顔をして、口に手を当て、笑い出す駄馬。
「ぶぷぷ、クスクスクス。もう、真白っちたらぁ、そんなに渋って…目当てはアレでしょ?もう、えっちなんだからぁー。分かったわよ!仕方ないわね。手伝ってくれたら私とえっちさせてあげるわ!気持ち良いんでしょ?えっちな事、好きなんでしょ?へへん、これで問題はないわよね?」
「問題あるわ!どう捉えれば、そう言う答えに辿り着くんだ?俺はロリコン趣味じゃないし、そもそもお前、まだガキだろうが!」
「あー、ガキって言った!今、ガキって言ったわね?グスン。それなら蝙蝠も見た目はガキじゃない!蝙蝠とはあんなに喘いでえっちな事していたじゃない!洞窟の中に響き渡っていたんすけど?ねぇ?蝙蝠さん?気持ち良さそうだったわね?」
アビリルは目を白黒させて呟く。
「あ、あら、大変、もうこんな時間ですのね?すっかり忘れておりました。私、急用を思い出しましたの。後は貴方達お任せ致しますわね。さ、先に帰りますわね。では…。」
アビリルは青褪めた顔で、無数の蝙蝠となり飛び去っていったのである。
あいつ逃げやがった。
「取り敢えず、一度、館に帰らせてくれないだろうか?妻達も待っているし、行くなら行くで皆も相談しないと。」
「良いわよ!私と、えっちしたければ、必死で何とかする事ね!」
「いや、それは別に…。」
すると、ユニコが頭を抱えて口を紡ぐ。
「はぁ。毎回、毎回、あなたはもう、ほんっとに疲れますね。スノウ様?恐れながら、聞きますけど?えっち なんてした事ありませんよね?あなたは、それがどんなものかご存知なのですか?」
得意満面の笑みを浮かべるスノウ。
小憎たらしい顔である。
「そんなの知っているわよ!私はこう見えても物知りなんですけど?あれよね?ちゅーしながら、服を脱がし合い、裸で舐め合いながら、ベットの上で色んな技を掛け合って戦うのよね?」
「は?…ん…いや、間違ってはいないけれど…」
「確かに…、間違ってはいませんが…。」
こうして俺達は館で話し合う事となったのであった。
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