婚活をがんばる枯葉令嬢は薔薇狼の執着にきづかない~なんで溺愛されてるの!?~

白井

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溢れるほどの2

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 一緒に馬車に乗り込んだ時点で不思議に思っていたが、なぜかハウンドもグレアム家で一緒に降車した。

「まさか家の中までくるの?」

「ご説明が必要かと思いまして。外で待てというのならそれでもかまいませんが」

「目立つから絶対だめ」

 実質的な脅しだ。

(当たり前だけどこの男、顔の良さを自覚しているわね)

 ハウンドを連れ帰るとおそらくブリジットが暴れるような気がする。
 しかしさっきの騒動でなにかが、絆のようなものが切れたステラとしてはそれもいいかと思ってしまっている。


 グレアム家は外から分かるほど慌ただしそうだった。

「どうしたのかしら」

 ドアを開けると目の前が真っ白い。
 その奥で阿鼻叫喚の悲鳴が聞こえる。

「おや、大変そうですね」

 ハウンドは楽しそうに喉で笑い、軽やかな動作で積み上げられた箱を通路の外側に積み上げなおしていく。
 
 白いものはなにかの箱のようだった。
 そしてその大量の箱の山は奥の方まで続いていた。
 廊下も階段もダイニングも箱で溢れかえっている。

 使用人が箱の下敷きになっていたり、疲弊して座り込んだりしている。
 怪我はないようだがどうしたことだろうか。

 ちらりとハウンドを見ると、まるで知っていたかのように動じていない。
 ただステラが歩きやすいように道を作ってくれている。

 リビングルームにも箱が積まれていたが、そこは少しだけ様子が変わっていた。
 真ん中にたくさんのドレスや宝石に囲まれたブリジットがいて、冷や汗をかいて同様している両親がいた。

「ど、どうしたのかしら。なにがあったのです?」

「あ、ああステラ! なにがあったはこっちが聞きたい。いったいこれは……ん?」

「ご無沙汰しております。グレアム卿」

「誰だお前は!」

 父親はひっくり返りそうな勢いで叫ぶ。
 場違いな男が急に現れたのだから当然かもしれないが、威厳はない。

(ご無沙汰……? 父とハウンドはどこかで会ったことがあるのかしら)

 劇場のパトロンとして名を連ねたことでもあるかもしれない。
 父親は平民を見下しているが、貴族の関わる文化に対しては見栄を張るときがある。

(それにしては、ハウンドの様子がおかしい気もするけれど)

 彼から父親に対して、いやこの家全体に対してうっすら嫌悪感のようなものを感じる。
 笑顔を張り付けて表に出さないようにしているようだが、ステラを見る時の瞳と温度が全く違う。
 その違いの意味がわからなくて、ステラは困惑した。 

「ステラァ……? なに帰ってきてるのよ」

 父の大声でブリジットも気づいたらしい。
 睨みつけるように声の出所を見据え……固まった。

 ステラに対してではない。

 隣にいるハウンドを見たからだ。
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