婚活をがんばる枯葉令嬢は薔薇狼の執着にきづかない~なんで溺愛されてるの!?~

白井

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舞踏会3

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 華やかに着飾った人々の間に紛れるのは簡単だった。
 ちらりと後ろを見ると、ステラが離れたことでチャンスと思ったのかハウンドはあっという間に女性に囲まれたようである。

 ステラはほっとして緊張を解き、そこではじめて自分の体が強張っていたことに気付いた。

 怖かった。
 ハウンドが、ではない。

 ハウンドに見つめられて動けなくなった自分が怖かったのだ。
 もし彼の視線に絡めとられてのぼせ上がってしまったら……彼が何者であっても、その先に待つのは破滅だ。
 落ち着いて立ち止まると、窓ガラスに顔の赤い自分が映っていた。

 今日の装いは以前ハウンドがつけてくれたティアラをベースにしている。
 どこから手を付けたらいいのか分からなかったのだ。
 小ぶりなティアラと、ペールグリーンのドレス。

 似合わないだろうと派手なものを避けてティアラ以外のアクセサリー類は少ないため、薔薇の胸元のブローチが目立っている。

「お嬢さん、大丈夫?」

 声をかけられて振り返ると二十代半ばくらいの男が立っていた。

「きみ、あの男と一緒にいた子だろう? 振られたのかい?」

 侮辱的な言葉に思わずむっとする。
 たしかに自分では彼に釣り合わないだろうが、知らない人からそんなことを言われる筋合いはない。

 しかし同時に納得もしてしまった。
 さっきは少し、少しだけ舞い上がってしまったもののやはり外から見たらそうなのだ。

「そんな薔薇までつけて健気なのに可哀そうだよな」

「ふられたわけではないわ。ダンスが苦手なだけよ」

「それは男が悪いんだよ。俺のリードなら平気だって。知ってる? 俺すげえ上手いんだぜ」

 男の馴れ馴れしい態度に嫌悪感が募る。
 しかし男性の方からダンスに誘われるなんて、もうないかもしれない。
 そう思うと邪険にするのも気が引けた。
 丁度音楽も終わり、次のダンスのために人が流動的になっている。

(これも経験なのかしら)

 困惑しながらもステラは差し出された手をとろうとした。
 しかしそれは叶わなかった。

「言ったでしょう。今日は私とだけ、と」

「ハウンド! どうして……」

 ステラがのばした手は、横からハウンドが奪ってしまった。
 ぽかんと目を丸くしている男を差しおいて、そのまま音楽に乗るようにホールの中央に躍り出る。
 ホール中の視線が集まっているのは勘違いではないだろう。

「私ダンスは苦手なのよ。せっかく今日はじめてのダンスなのにあなたが恥をかくからやめたほうがいいわ」

「さっきあの男と踊ろうとしていませんでしたか?」

「そ、それはあの人がダンスは得意だっていうから……」

「そうですか。私は彼より上手い自信がありますよ」
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