婚活をがんばる枯葉令嬢は薔薇狼の執着にきづかない~なんで溺愛されてるの!?~

白井

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運命の始まり4

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 地下室に来てくれたのはセシリアだった。
 マリオンが屋敷中の注目を集めている間に馬車に乗せ、ステラの回復のためにバーンズ家で療養させるよう侍女に手配したのだ。

 馬車を見送ったセシリアはそのままグレアム邸でマリオンの空虚な仕事が終わるのをのんびり過ごし、馬車が戻るのを待つだけだった。
 閉じ込められている間きちんと大人しくしていたステラは栄養を摂るとみるみる回復していったが、どちらかというと安全な場所にいるという心理的な要素が大きかったようだ。

 そうして、落ち着いたステラは助けるよう指示したのはハウンドだということを知ったのだった。
 今日のこともその時に聞いた。

 『パーティーが開かれるのでお好きなように着飾ってください』と言われ困惑したのは記憶に新しい。

 どうしたらいいのか分からなかったので、以前は着ることも考えられなかった薔薇色のドレスを着たいと言ったらマリオンがはりきりにはりきったのだ。
 名目上ではブリジットのドレスを手掛けている時期だったが、そもそも作るつもりもなかったし代金も受け取っていないのでまるまるステラに注力することができたらしい。

 マリオン至上最高の出来栄えのドレスを、最高の淑女が着ていることにマリオンは言葉では言えないほどの充足を感じていた。

「裏切り者! みんな私のこと馬鹿にしてぇっ!」

 全てを理解したブリジットは変わらず暴れようとし、さらに深く抑え込まれた。
 腕は折れそうに歪み、みしりと音が聞こえても意に介さず抜け出そうとする姿は異常なものだった。
 かつての婚約者デリックはじりじりと後ずさる。背中がどんと群衆にあたりハッとして人込みに紛れようとするが、観客たちがそれを許すわけはない。

 むしろ背中を強く押され、ブリジットの横に倒れ込んでしまった。
 嘲笑が二人を包む。

(あの時と立場が逆転したわね)

 ハウンドと出会った、あの悪夢のパーティーと真逆だ。
 あの時の屈辱を、彼らは今身に染みて理解しているのだろうか。
 自分の時のようにここから彼らを助ける人は現れるだろうかと見回すも、観衆は目を細めて社交界で煌めいていた若星たちをおもちゃにしているだけだった。
 過去と同じなのは、静まり返ったホールでハウンドが動くということだけ。

「これで……勝ったつもり?」

 うめくような声に視線をやると、ブリジットと目が合った。

「別に今までだって勝負はしていないわよ。あなたが勝手に私が負けたことにしていただけだわ。でも、そうね」

 ステラは一際声を落とした。

「あなたのそういう姿って初めて見るわ。だから少しだけすっきりしたかも」

 彼らに家族としての愛情がないことが分かったのだ。

(多少溜飲を下げてもいいわよね)

 
  
「私からも一つお話をよろしいですか?」
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