「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?

白井

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ろうそく一つだけの薄暗い部屋の中でなんと3人もの大男が(小さな小屋の中で非常に窮屈そうだ)こちらをギロリと睨みつけていたのだ。
木こりや休憩といった雰囲気ではない。

「なんだァ嬢ちゃん…。一人かい?」

暗褐色の髭の大男がにたりと笑う。
前歯が数本無かった。
警戒していたのはどうやら警護隊が他にいるかどうか確かめていたのだろう。
リリア一人だと分かると途端に下卑た笑いが浮かんだ。

「おいおいお前ら見ろよ、黒髪黒目だぜ」

(さ、山賊だ。殺される……!)

「こいつ、ここらで噂の『無加護』の嬢ちゃんじゃねえかァ?まだ生きてたんだな」

「ま、無加護でも女は女だ。どっかの物好きか、見世物小屋でも買い取ってくれるだろうよ。その前にちょいと味見でもすっかな」

「俺たちも呪われるかもしれねえぞお?」

「ちがいねえ!ぎゃっはっは!」

小屋が壊れるんじゃないかというほどの笑い声が響く。
大男たちはそれぞれ手に斧やロープを持って、既に目の前の少女がいくらで売れるかを楽しみにしているようだ。

逃げなきゃ、と思ったがリリアの足はすくんで動かなかった。
だいたい逃げた所で歩幅が違う。すぐ追い付かれるだろう。

(万事休すってやつね)

やはり無加護の自分では不運に見舞われる定めなのだろう。
今まで無事だったのは精霊の加護のある人々が沢山いる、あの村が守ってくれていたのだろうか。

(ああ、失って初めて気づくっていうけど本当だわ)

リリアの短い人生の走馬灯がちらちらと見え始めた。

「さあて、そんじゃやるか」

髭もじゃの大男が斧の背を向けて振りかぶる。
リリアには全てがスローモーションで見えた。

ああ、素晴らしい…とは言えないけれど精一杯生きた人生でした。
精霊様、せめてなるべく痛くないように安らかに逝かせてください!

リリアは思わず目を閉じて精霊に祈った。
自分に加護がない事は分かり切っているが、それでも死の直前に奇跡が起きないかと願ってしまう。

「精霊様!お願いです!最後の最後にどうか奇跡とお慈悲を!」

リリアがそう叫んだ瞬間。



ゴオッ



突如暴風が小屋を襲った。



「ふむ、まあ奇跡くらいなら構わんがな」


そして、その場に不釣り合いな程、凛とした声がリリアの隣から響く。
静かな声だがどこまでも透き通るような。
聴いた耳から全身がゾクゾクとうち震えるような、あるいは爽やかな風のような声だった。

「えっ……?」

思わずリリアが目を開けると目の前で今にも斧を振り上げていた大男が倒れていた。
いや、よく見ると三人とも倒れている。

「怪我はないか、乙女」

またさっきの声だ。声はリリアの右隣から聞こえる。
一体誰なんだろう、別の山賊だろうかと、現実逃避にのろのろ顔を声の方に向けようとする。

しかしあまりに色々起こりすぎてリリアの身体は言う事をきかなかった。
ぐらりと視界がまわって足の感覚がなくなる。

「乙女!?」

腕と背にしっかりした感覚があった。
頭に衝撃も来ないので支えてくれたのだろうかとリリアが考えていると。
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