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そら汰★

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 彼女、イヤ今はもう元カノの芹香と別れて既に一ヶ月が経過していた。
 二、三日寝れば凹んだ気持ちも復活すると思っていたが、俺は彼女に結構本気だったらしい。それが彼女からしたら『重い』ということに繋がるのかもしれない。
 自分に対して渇いた笑いを投げると、胸がモヤモヤと締め付けられ、哀しみに吐き気すら覚える。
 ケラケラと談笑する友人達の側に居るのが辛くなり、ひとり席を立ち「先に帰るわ」と声を掛けて教室をあとにした。

 そのまま真っ直ぐに家に帰っても余計にどんよりとしそうで、何気なく構内を散策する。
 気付けばお気に入りの角度で校舎を眺められる中庭に自然と足を向けていた。
 大きな木の木陰に腰を下ろすと、俺の気持ちと同じような少し冷たい風が枯れ葉を転がし、そよそよと中庭を通り抜けていく。
 衣替えをしたにせよワイシャツ一枚では肌寒い。そよ風にぷるりと震えると、確かこんな時期だったな……と過去を思い出していた。

 丁度一年前にこの木の下で告白されたんだよな。

 好きと言われたことが素直に嬉しかった。
 可愛らしい芹香は頰を赤らめて『好きです……付き合ってください』と言ってきた。
 初めて告白されたことに舞い上がり、そこまで彼女のことを知らなかったが、一生懸命な健気な姿に即答し俺達は恋人になった。
 それが実は自分が二番煎じで、簡単に別れてと言われ終わりを迎えてしまうとは……。

 はぁー……呆気ねぇ。
 今は赤の他人でハイさようなら。
 縁ってなんなんだろなぁ……。

 校舎を見上げていると、ツーっと涙が零れ出す。センチメンタルに浸る自分が気持ち悪いと思いながら、立てた膝に顔を埋めて鼻をすする。


「ねぇ~。今日こそ芹香のお願い聞いてよ~」
「お願いって……この間それは聞いたでしょ?」
「そうだけど、もう一回いいでしょ?」
「駄目だって。期待されても困るから」

 知った声を聞き、ビクッと肩を跳ねさせてしまう。なんという間の悪さだろうか。
 今一番会いたくなかった人物に、この場をどう乗り切ろうかと青褪めながら冷や汗を垂らした。

 ど、どうしよう……。
 今立ち上がったらきっと注目されるし、このまま蹲ってても注目されるし……。
 なんで今日に限って俺ボッチなんだよ~!!
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