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第3幕 溢れる疑惑
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しおりを挟むシャープペンを走らせる音。
紙を捲る音。
時計の秒針の音。
たまに聞こえる艶を含んだ吐息の音。
静まり返った部屋に様々な音が鳴り響く。
宿題を始めてから一時間ぐらい経過しただろうか──。
蕾に入ったままのなにかは最初こそ違和感があったが、気にならないほどに馴染み幸いにも快感は感じられなかった。けれど腰の位置をずらしたりすると内部を動き、場所が悪いと前立腺を掠め、ビクンと身体を跳ねさせ甘い吐息を漏らしてしまう。
「ぅ……っ、ぁ……っ、悠斗」
「少しは進んだ? ちょっと休憩する?」
「──進むわけないだろ! 俺ちゃんと話すから……」
口調は穏やかだが、悠斗が怒っているのは明白だ。
「そう? なら、なにがあったか瀬菜の口からちゃんと説明して?」
悠斗は俺の瞳をじっと見つめて言葉を待つ。
「柏木さんに告白されて、握手したあとキスされた。俺、悠斗に嫌な思いさせたくなくて……言わなきゃって思ったけど言えなくて。好きな人がそんなことされたら辛い。でも他人から知らないこと聞くのはもっと辛いって、今日実感して……」
視線に耐えられなくなり、俯きながら唇をギュッと噛み締める。
悠斗はため息を吐き出すと、メガネを外しテーブルに置いた。
「……瀬菜は学習能力はちゃんとあるのに、恋愛はまだまだお勉強中だね。もちろん俺もだけど。瀬菜のことになると歯止めが効かなくなっちゃう」
「悠斗……ごめん。騙すつもりはなかったんだ」
「うん、もう嘘はつかないで? 俺が嫌って思うかもしれないことでも、ちゃんと教えて?」
コクンと頷く俺を抱きしめ、頭を撫でてくれる。
額を悠斗の胸に擦り付け甘える。
「素直になった瀬菜がもっと素直になれるように、ご褒美あげるね?」
バッと顔を上げると、妖艶に唇を舐め黒い笑顔を向ける悠斗に嫌な予感がし青ざめる。悠斗から離れようとすると、ブルブルと後孔に収められたものが動き出す。奥へ奥へと粘膜をうねり擦られ、また悠斗の胸に頭を埋めてしまう。
「なんっ……なにッこれ! あっ、ちょっと……まっ、ご褒美じゃないっ!」
「なら、嘘ついたお仕置きにする?」
悠斗のお仕置きという言葉と同時に、ブブブ……と後孔とは別に、ペニスに巻かれたリング部分も震え出す。リングとお尻のものが連動し、綱引きをするように引っ張り合いを繰り返していた。
「あっふあっ、なに、これ……ッ、悠斗……これ、やだぁ……ッ」
悠斗は俺の短パンと下着を膝まで下ろすと、すでに勃ち上がったペニスを人差し指で突つき跳ねさせる。上下に揺れるペニスに合わせ後孔のものが出入りする。
「あぅ……ッ、ハァハァ……ひゃっ!」
「気持ちいい? これね、リングとアナルプラグが繋がっていて、両方振動するんだって。入れてるだけだと拡張だけだけど……色々な使い方ができるね♡」
お前はいつからアダルトショップの店員なったんだ!
そしていつの間に買ったんだ!
悠斗の説明にツッコミたいが余裕がない。自らプラグを取ろうとすると、遮るように両手を恋人繋ぎで塞がれる。床にゆっくり押し倒され仰向けになると、悠斗が俺を覆うように口付けしてきた。
ちゅっ……くちゅっと角度を変えながらキスをされる。舌を吸われ、口腔内を蹂躙されている内に、頭の中が快感で支配される。唇を離すと悠斗が艶のある声で「瀬菜……」と囁いてくる。
「一週間分ちゅうしよ? ん……っ、ん」
「はむっ……むっ……ん……っ、ふぅ……っ」
何度も何度も舌を絡め互いに唇を喰む。久々の渇きを潤わせるように、唾液を送り交わす。キスだけで幸せを感じ、身体もどんどん昂まっていく。
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