【完結】二度目の人生、君ともう一度!〜彼女を守りたいだけなのに〜

トト

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第二章 青春をもう一度

剣術大会と魔術研究発表会

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 そしてルナにも魔具研が最終的に目標としていることが、魔力のない人たちでも使うことができる魔法道具でそれはもしかしたら世の中に発表することはできない代物かもしれないという説明をした。それを聞いたルナは。

「さすがお兄様。身を挺して実験に参加していたなんて、ルナ尊敬の念しかわきませんわ」

 と涙ながらに言ったのだった。
 そうして実験と研究と論文、噂の調査と時はあっという間に過ぎていった。
 そしてユアンにとっての二度目の学術祭が始まった。

 学術祭一日目の午後は騎士学部の生徒による『剣術大会』である。昨年はそれに出るチャンスを逃したキールだったが、今年は心に何の迷いもない、愛するアンリも応援に来てくれているしそれにアスタからは、「優勝できないような奴にやはり妹はやれない」とまで言われているので負けるわけにはいかない。

「キール、今年こそ優勝しろよ」
「当たり前だ」

 いつもの爽やかな笑顔。その瞳は自分が優勝することを確信しているかのように自信にあふれていた。

(昨年とはえらい違いだ)

 それが恋ともわからずに客席いた銀髪に目を奪われて隙を作ってしまったキール。
 でも今はその瞳に迷いはない、剣術以外にできた大切なものにうつつを抜かすのではなくそれも全部ひっくるめてキールはより強くなるため鍛錬を積んできた。
 今のキールは間違いなくこの学園で一番強いに違いない。

 そしてキールはみんなの予想通り『剣術大会』で見事優勝したのだった。
 ちなみに準優勝はレイモンドであった。ほかの選手なら立場的なものが少しは頭をよぎるだろうが、キールは気持ちいいぐらいの圧勝で優勝をかっさらった。

(まぁ王太子も、もし当たったらお互い全力で戦おうと宣言してたしな)

 アンリの熱い声援の横で、アスタが小さく舌打ちをしたのを聞きながらユアンはそんなことを思い出していた。

 そして何事もなく学術祭一日目は幕を閉じた。


「今日の研究発表の資料はこれで全部か?」

 アスタが紙の束をパラパラめくりながらメアリーに尋ねる。

「ローズマリー嬢、魔力石はいくつ作れた?」

 今回デモンストレーションで見せる魔法道具は火属性の魔法石を使った、”火炎放射”に決まった。アレクの”かまいたち”の方が魔力の威力としてはすごいのだが風は目に見えない。やはり観客の目を引くにははっきりと見える方がわかりやすいだろうということだった。

「それじゃあ、魔具研初の研究発表会と行くか」

 アスタの言葉に皆が頷いた。

 魔術研究発表会も滞りなく進んでいった。
 しかし会場に代表であるアスタとローズマリーが現れた時、観客が明らかにざわついた。

(なんだ?)

 客席から二人の発表を見守っていたメアリーも、何かを感じたのかユアンの袖をつかむ。
 しかしそれも一瞬で、すぐにローズマリーのデモンストレーションとアスタの魔法石の加工の仕方で威力が数パーセントか上がるという論文に会場が沸いた。

「お疲れさま」

 会場から控室に帰ってきた二人を迎える。

「アスタ」

 アンリは言葉にしなかったがアスタが頷く。
 ローズマリーも幾分青ざめた顔をしている、ただの緊張というわけではなさそうだ。

「マリー大丈夫?」
「えぇ、大丈夫ですわ」
「この間まで、噂を半信半疑。もしくはまったく意にも介していなかったものたちまでも、ここ何日かで数が逆転してしまったようだ」

 それに今日はローズマリーと接する機会の多い学生ではなく、その保護者や外部の者たちが大勢来ていた。そしてそんな外部の人達にまで、ローズマリーの噂が広まっているということを肌を通して感じられた。

 噂はユアンたちが思っている以上に、広くそして深く広がっているということが分かっ
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