【完結】夜を舞う〜捕物帳、秘密の裏家業〜

トト

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ネズミ小僧2

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 予告状を出すのも、金持ちをばかりを狙うのも、貧乏人を狙うよりスリルがあるから。
 悪いことをしている者の方が警戒心も強い、その警戒の輪をかいくぐり、さらに闇に隠されている悪事を世間にばらすのは、面白いから。
 自分たちは頭がいいと思って、悪事を働いている者の裏をかき、叩きのめすのはなんて気持ちいいのだろう。
 強いものが屈辱の表情を浮かべ、あざ笑っていたものたちにあざ笑い返されるときのあの表情、思い出すだけでゾクゾクする。
 自分は世間が騒いでいるような正義の味方じゃない。それは自分が一番わかっている。

 目をつぶってでも歩いて行けるほど、屋敷の見取り図はネズミ小僧の頭の中に入っていた。
 煙が晴れてきて、まだ立っている用心棒たちを手早く鎮める。
 それでも鋭い太刀筋で切りかかってくる相手にはネズミ小僧も、懐に隠していた短刀で応戦する。
 相手の刀に自分の短刀を滑らせながら相手の懐まで忍び込むと、顎に一撃。
 振り上げられた刀はそれが振り下ろされるより早く、間合いに入り腹を狙う。
 致命傷にならない程度に痛めつける。

「あった、あった」

 目的の部屋に忍び込むと、そこにあった金銀財宝、値打ちのあるものだけを素早く見抜くとさっと袋に詰める、そして隠し帳簿もパラパラとめくり、懐にしまう。

「ついでにネコ娘の目的も果たしてやるか」

 自分は悪人だ。
 しかしネコ娘がこの安久田の賭博場を次に狙うと知った時、思わずこの場に来てしまっていた。
 ネコ娘のことだ、きっと娘たちは助け出す。でもきっとまた奪われて、己の無力さを知るだろう。
 そして全て終わって、ネコ娘が助けた娘たちが再び法により安久田の手に連れ去られたら、何食わぬ顔で今度こそ自分が全てを解決し、安久田とネコ娘が悔しがる顔を拝んでやろう、誰が一番この江戸で賢いのか見せつけてやろう。そんな風に思っていた。
 しかし、ネコ娘の目を見て気が変わった。

「大っ嫌いなネズミに助けられて、事件が解決する。ネコさんの屈辱で歪む顔、ゾクゾクするね」

 心底嫌そうに顔を歪めながら、協力を承諾した時の顔を思い出しニヤリと笑う。
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