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結果が出たのは半年後だった。息を切らせて走って来るジーナの様子を見て、今度はいい結果なんだろうなと分かった。
予想通り『アスクレピオス神』の末裔だと分かり、ジーナさんが嬉しそうに伝えてくれた。
「末裔だったのは、父方のお祖父様。ミーナが医療技術に長けていたのも、お祖父様からの指導があったからだと聞いてる。神族の末裔だってことに、ミーナ自身も気付いて無かったけど…」
この結果を聞いて、直ぐに王の説得へと向かった。
この頃はガーディアン養成校の建設も、同盟国への働きかけも、悪魔族との共闘宣言も全て僕が中心となって行っていた。
国内外どちらからの支持率も僕の方が高く『ブルームン国の王はイリヤ』との声も高くなった。それでも、説得迄にはすごく時間がかかった。未だに悪魔族の事を『穢れた血』と呼ぶ国内の重鎮からの猛反発があったから。
ミーナを迎えに行けたのはそれから1年後だった。
ジーナさんやミシアの国王も進言してくれたけど、それでも首を縦に振らない国王に、かなり苛立ちを覚えた。
最終的に「結婚出来ないなら王位を放棄する」と、絶縁状を突きつけた。全ての権利を放棄して、ミーナと一緒になることを望んだ。
今僕がいなくなると、ガーディアンの構想が全て頓挫して、他国からの信頼を無くす事になる。それに、僕はすでに王を超える治癒力を持っていた。治癒魔法への信頼度も、僕の方がとっくに上だった。
ようやく王や、反対していた重鎮も僕が本気であることに気付いて青ざめた。
王はため息と共に「ミーナを王子の妻として認める。ただし、悪魔族とのハーフである事は何があっても公にしない」と、僕に凄んでみせた。
ずっと国交断絶状態だった、悪魔族を天使族の王子が妻として迎えるなんて、これ以上ない友好の証になる。だから公表した方がいいと思ったけれど、ブルームン国の純血主義の思考はそう簡単には変わらないだろうと、考えを改めた。ミーナを守る為に、公表しない事を王に誓った。
こうして、王を説得した次の日の朝早…あまり乗り慣れていないバイクにまたがると、ミーナのいる郊外の海の見える孤児院へと急いだ。ミーナは孤児院で半年間勤めている事をジーナから聞いていた。
そこには時々、エレンさんも手伝いに行ってると、ガイア君からも聞いている。僕以外は何不自由なく、ミーナと会っていたみたいで安心した。
(1人寂しくこの国で過ごしていたわけじゃ無かったなら…それはそれで良かった)
ミーナは、孤児院に移る半年前まで職場を転々としていたとの事だ。ミーナの美しさはどこにいても、どんな格好をしていても隠せない。初めの勤務先『病院』とその次の『生物研究所』では、ミーナを巡って問題が起きた。
病院ではミーナも医師として勤務していたが、夜勤の時に睡眠薬をコーヒーに仕込まれたらしい。
犯人は3人だった。ミーナはコーヒーを飲んだ瞬間に、異変を感じてジーナへ連絡したらしい。幸い眠る前にジーナとオスカが駆けつけて、犯人達を捕まえたから未遂で終わった。
生物研究所では、ストーカー被害に遭っていたらしい。盗聴器や、カメラを仕込まれたようで…。これも、ジーナが内々で処理していたらしい。
流石に捕虜であるミーナが犯罪に巻き込まれたとなると、ブルームン国の沽券に関わる。更にこの時には、ミーナが神族の末裔であることは、僕から知らされていた。そんなミーナに自死でもされてしまったら困る。
…と、ジーナが王に進言してくれたようだ。それで、女性と子供しか居ない孤児院に移ったらしい。
ただ、この事が知らされたのはずっと後の話し。もし、当時の僕がそれを知っていたら、相手を殺してたと思う。
「イリヤが、何しでかすか分からないから教えなかった」
ジーナさんは後々僕にそう言った。初めて聞いた時は腹が立ったけど、今は教えないでいてくれた事に、すごく感謝してる。
もし殺してしまっていたら今の『幸せ』は叶わなかっただろうから。
予想通り『アスクレピオス神』の末裔だと分かり、ジーナさんが嬉しそうに伝えてくれた。
「末裔だったのは、父方のお祖父様。ミーナが医療技術に長けていたのも、お祖父様からの指導があったからだと聞いてる。神族の末裔だってことに、ミーナ自身も気付いて無かったけど…」
この結果を聞いて、直ぐに王の説得へと向かった。
この頃はガーディアン養成校の建設も、同盟国への働きかけも、悪魔族との共闘宣言も全て僕が中心となって行っていた。
国内外どちらからの支持率も僕の方が高く『ブルームン国の王はイリヤ』との声も高くなった。それでも、説得迄にはすごく時間がかかった。未だに悪魔族の事を『穢れた血』と呼ぶ国内の重鎮からの猛反発があったから。
ミーナを迎えに行けたのはそれから1年後だった。
ジーナさんやミシアの国王も進言してくれたけど、それでも首を縦に振らない国王に、かなり苛立ちを覚えた。
最終的に「結婚出来ないなら王位を放棄する」と、絶縁状を突きつけた。全ての権利を放棄して、ミーナと一緒になることを望んだ。
今僕がいなくなると、ガーディアンの構想が全て頓挫して、他国からの信頼を無くす事になる。それに、僕はすでに王を超える治癒力を持っていた。治癒魔法への信頼度も、僕の方がとっくに上だった。
ようやく王や、反対していた重鎮も僕が本気であることに気付いて青ざめた。
王はため息と共に「ミーナを王子の妻として認める。ただし、悪魔族とのハーフである事は何があっても公にしない」と、僕に凄んでみせた。
ずっと国交断絶状態だった、悪魔族を天使族の王子が妻として迎えるなんて、これ以上ない友好の証になる。だから公表した方がいいと思ったけれど、ブルームン国の純血主義の思考はそう簡単には変わらないだろうと、考えを改めた。ミーナを守る為に、公表しない事を王に誓った。
こうして、王を説得した次の日の朝早…あまり乗り慣れていないバイクにまたがると、ミーナのいる郊外の海の見える孤児院へと急いだ。ミーナは孤児院で半年間勤めている事をジーナから聞いていた。
そこには時々、エレンさんも手伝いに行ってると、ガイア君からも聞いている。僕以外は何不自由なく、ミーナと会っていたみたいで安心した。
(1人寂しくこの国で過ごしていたわけじゃ無かったなら…それはそれで良かった)
ミーナは、孤児院に移る半年前まで職場を転々としていたとの事だ。ミーナの美しさはどこにいても、どんな格好をしていても隠せない。初めの勤務先『病院』とその次の『生物研究所』では、ミーナを巡って問題が起きた。
病院ではミーナも医師として勤務していたが、夜勤の時に睡眠薬をコーヒーに仕込まれたらしい。
犯人は3人だった。ミーナはコーヒーを飲んだ瞬間に、異変を感じてジーナへ連絡したらしい。幸い眠る前にジーナとオスカが駆けつけて、犯人達を捕まえたから未遂で終わった。
生物研究所では、ストーカー被害に遭っていたらしい。盗聴器や、カメラを仕込まれたようで…。これも、ジーナが内々で処理していたらしい。
流石に捕虜であるミーナが犯罪に巻き込まれたとなると、ブルームン国の沽券に関わる。更にこの時には、ミーナが神族の末裔であることは、僕から知らされていた。そんなミーナに自死でもされてしまったら困る。
…と、ジーナが王に進言してくれたようだ。それで、女性と子供しか居ない孤児院に移ったらしい。
ただ、この事が知らされたのはずっと後の話し。もし、当時の僕がそれを知っていたら、相手を殺してたと思う。
「イリヤが、何しでかすか分からないから教えなかった」
ジーナさんは後々僕にそう言った。初めて聞いた時は腹が立ったけど、今は教えないでいてくれた事に、すごく感謝してる。
もし殺してしまっていたら今の『幸せ』は叶わなかっただろうから。
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