最弱にして最強となる冒険者〜龍神の恩恵を授かりし最弱ランクの闘い〜

uyosiの脳内は茜色

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一章 ステータスプレート

5年前の約束

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 昨晩は15年間にして最高の手料理を食べた気がした。
 いつもと変わらない味なのに、母さんの愛が料理に詰まっているのかと錯覚し、たらふく平らげてしまったおかげで寝起きそうそう、お腹の苦しみが俺を襲う。

 ……食べすぎた……。

 すると俺を呼ぶ母さんの声が朝早くに響く。
「レイネちゃん来てるわよー。降りてらっしゃい」
 レイネが来てる? なぜ? 約束してたっけ?
「はい、はーい。少し待って!」
 俺は寝癖激しく、その辺に散らばっていた服を着こなし階段を降りた。

 ──なんと、普段見慣れないお洒落をしたレイネがそこに立っていた。

 見違える程の可愛らしさにフリフリのワンピース、裾から覗かせる白く細い足。腰の括れには可愛らしくもリボンのバンド。白い麦わら帽子は赤茶けた髪とのバランスが取れ、可愛さを際立だせていた。

 小顔な顔は俺の姿を確認するや、頬を少し赤くし何かを待つように俺をじっと見つめていた。
 何を待っているのか俺には少々わからなかったが、そこに母さんがやって来て、俺の脇腹を肘でツンツン。
 ……何だよって思っていた時「褒めてあげなさい」と母さんの小声が俺の耳に届いた。

 …………改めて考えると褒めるのって照れ臭いな。

「──レイネどうしたんだ? 朝早くに?」
 真横にいた母さんは、何やってんの? と言わんばかりの表情を俺に向けた(だって……恥ずかしんです。普通に言えないよ)
 レイネはと言うと、不満を表に小動物の様に頬を膨らませ不機嫌さをアピール。
「別に……暇だったから来たわけだけど!」
「そうなんだ……? レイネ暇なんだ?」
「別に……暇じゃないけど!」

 何とも言えない空気なか、母さんがこの場を制した。

「さぁさぁ、お散歩でもいってらしゃい! ゆっくり出来る時間は少ないんだから」

 そう、母さんが言うように、冒険者になるまで、残り僅かな時間しか残されていない。

 いざなってしまえば、優雅な時間ってのは無くなってしまう。
 
 起点を聞かせた母さんの言葉に便乗し、俺はレイネと外に出かける事にした。

 残念な事に俺の衣装は適当。
 とてもお洒落とは言えない。
 横に並ぶレイネには申し訳無い事をしてしまった気持ちになってしまうが。レイネは気にも留めてないご様子なので別に気にしなくてもいいか、と、俺は開き直り、優雅な時間を堪能し始める。

 そう言えば、5年前は毎日のように遊んでいたなぁー。
 久々だな、こうやってレイネとお出かけするのは……心許ビルグがいないのは残念だけど…………。

「ネイト何処行きたい?」
「そうだなぁー。レイネは行きたい所あるの?」
「うぅーん。あそこ行きたいかな」

 あそこ? あそことは何処なのだろぉーか?
 わからないままレイネの行きたい場所へと足を運んだ。

 
 久々な場所。
 昔3人で良く来た開かれた場所──懐かしい。
【ビルディスタ】を一望できる高台。
 芝生に囲まれ自然特有の風が吹き荒れる心地良い場所。

 レイネはビルディスタを背後に。
「ネイト、覚えてる?」
「何を?」

 麦わら帽子を片手で抑え、ワンピースの裾が風で舞上がる。
 吹き荒れる風でレイネの声は届かなかったが俺にはわかった……わかってしまった! 

 ……正直忘れかけていたって言うより、忘れていた。
 子供の頃の約束だったし……。

「覚えているさ!」
「……なら、絶対だよ。レイネの気持ちは変わってないから!」


 *

 
 ──5年前の告白
 此処で交わした二人の約束。

「──冒険者になる事にする! だから【ビルディスタ冒険者育成学校】に入学する事に決めた!」
「ならレイネもなる! ネイトの夢、レイネが間近で見ていたい」

(良くも平然と言えるな……)
 この時の俺はレイネの言葉にさぞ頬を赤くしただろ。

「レイネには無理だよ! ……女の子なんだし」
「なるったらなるの! それにネイトよりは強いよ、きっと」
「流石にそれは無いだろ……なりたい者とかないの?」
「ネイトのになる事」
「………………なななななに言ってんの?」
「レイネ真剣だもん! ネイトのお嫁さんになるの。ネイトが冒険者になるならレイネが守る」
「二度も言わなくて良いよ、恥ずかしいから……。因みに守るって逆、逆な! 俺がレイネを守るんだって……そうなれば」
「逆? 弱いのにネイトが守ってくれるの?」
「これから強くなるから大丈夫!」
「なら約束しよ」
「約束?」
「ネイトのお嫁さんになる為レイネ頑張る。だからネイトは、レイネを守れる冒険者になって!」
「いまいち意味がわからないんだけど…………? 俺、承諾してないんだけど…………」
「ネイトに決定権はないの。レイネがネイトのお嫁さんになるのは、この瞬間この場所で決定されたの! わかった、ネイト?」
「(何、このゴリ押しは)……あっ、うん。わかった……でも何で……レイネ?」

(真っ直ぐストーレートに言われたらもう圧倒されるよな)
「へぇー(どうしよう)……5年後、5年後も気持ち変わらなかったらパーティー組も、そしたら俺がレイネ守ってやる。そして立派な冒険者になって、誇れる人物になったなら、俺のお嫁さんになってくれよ──レイネ」
「わかった──ネイト約束だよ! もう売約済みだねネイト」
「(ちょっと怖くなるんだが)何処で言葉覚えてきたんだ?)


 *


【ビルディスタ】に吹く風。
 まるで祝福してくれているかのように俺とレイネの空間に風が吹き荒れる。
 麦わら帽子は風に乗り飛び去ってしまう。
 太陽の光の下で露わになった赤茶けた髪は、光によってよりいっそ綺麗に輝きを放つ。

 レイネの美しが賑わい立ち──俺はレイネを女性と認識してしまった。

 レイネ……5年間もずっと思っていてくれたんだ……ありがと。
 でも、此処からが本番……浮かれ気分ではいられない、だからこその一つ目の約束を果たす。
 
「レイネ! パーティー組んでくれないか?」
!」

 最高に輝くレイネの笑顔。
 この笑顔は俺の宝物、誰にも渡したくないな……っと少し独り占めしたくなった。


 そう言えばこの時からなんだよな、ビルグが俺達と連まなくなったのは…………。


 俺は伝えていなかった言葉をレイネに伝えてあげた。
「レイネ帰ろっか! それとな……似合ってるよレイネ」


 * * * * * *
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