最弱にして最強となる冒険者〜龍神の恩恵を授かりし最弱ランクの闘い〜

プロローグ

龍神・ヴラデュリラ・ネオリカ

　白髪に染まった髪を長く垂れ流す幼き少女。
　容姿端麗に風景と同化し神秘的な美しさを放つ。
　
　対して死を痛感した青年は、見知らぬ場所に天国だと勘違いをするが、即座、幼き姿を偽る少女に否定される。

　口調に声帯は生意気にも我儘な少女をかたどり、仕草動きが子供その者。
　だが──語るその少女は龍神と名をはぜる。

《龍神・ヴラデュリラ・ネオリカ》かつて世界を魔神から救ったとされる龍神の一人。その力は、人の手に余る程の計り知れない力。
　かつての英雄もそうだった……。
　龍の力により身を滅ぼし今は亡き英雄とし大人から子供へと語り継がれた。


　青年はその龍神を前に、疑い深い表情を見せる。
　意味解した龍神は納得のしない青年に哀れなき瞳を向け、知り得ない過去を語り、そして新たな主人あるじと青年を選択し契約を交わす。
　証とし掌に刻む《龍伯りゅうはくの魔眼しるし》

　焼かれる熱さに青年は痛みに悶えるが、龍神と語る少女はその姿を静かに見つめ、再び戦場へと送り返す。

　
　青年は再び瞼を開けた。
　そこには、恐ろしきも到底相手に出来るはずもない魔獣が目の前の冒険者を襲おうとしている、先程青年を葬ったそれが……。

　体は勝手に動き、冒険者の前に立ちはだかる。
　何かが出来るわけでもなく、何も抗う術もなく、ただ闇雲に体が反応したのだろ。その反面、短剣を握る手足は震え上がり、ただ殺されに急いだに過ぎない。

　死にたくないそう思う気持ちが青年を突き動かしたのか、青年の前には謎の紋章が浮き上がり、周囲は固唾を飲んだ。

　そして青年は力尽き、目覚めた時には自室のベット。
　まるで夢だったのではないかと言う錯覚に苛まれるも。

（フライヤが倒したのか）……そう解釈し、助かった命を撫で下ろし、冒険者としての恐ろしさを痛感する。


　＊　＊　＊　＊　＊　＊