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婚約破棄編
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団長様の言葉に混乱している私を他所に、部屋がノックされ城の従者の方が何かを届けに来ました。フリューゲル様が対応されて何か話をしています。私が座るソファーの向かいでは、団長様と兄が龍人の村に行く為に必要な荷物や手続きを確認しています。龍人の村に行って勉強するのは良いですが、婚約破棄の手続きもまだですし侯爵様が素直に応じるかも分かりません。
そんな勝手に話を進めて良いのかしら?
そんな疑問は直ぐに解決しました。先程、部屋に届いた物は私の婚約破棄の書類でした。既に国王陛下の承認と両親のサインもあり、私と侯爵様がサインをするだけとなっておりました。渡された書類を確り確認してサインをしてフリューゲル様にお返ししました。
「これで宜しいですか?」
「……はい、大丈夫です。侯爵家には、陛下が直接、話をするので安心して下さい」
「ありがとうございました」
侯爵様と会わずに済むと分かって、どこか安堵している自分がいます。侯爵が執拗なまでに執着していたので、本音を言えば二度と会いたく無かったのです。フリューゲル様は書類を届けに行くと言って部屋を出て行きました。
「ルナ、お疲れ様。手続きがすんなり終わりそうで良かったな」
「はい、正直、ホッしています」
そんな兄妹の会話の後、団長様が必要な荷物を書き留めた紙を一枚下さいました。着替えの他に学園の教科書まで書いてあります。あの私の握り拳と同じ厚みの教科書が要りますか……お勉強の為に行くので仕方ないとは思いますが重いですよ。
内心、大きなため息を吐きながら了承すると、団長は私だけはこのまま城の客室に泊まる様に勧めるというか……半ば強制的に言われている気がするけど。そこまでしなくても良いと思うんですけどね。
「しかし、子爵のしかもポンコツ魔法使いの私ごときに大袈裟な気もしますが……」
遠回しに断ろうとして直球になった気もしますが、ここはスルーして兎に角、家に帰りたい。
「ご令嬢は気付いておらんのか。君の魔力は私と同等かそれ以上になった。家を破壊したくないならこのまま残りなさい」
「……はい」
家を破壊?大袈裟なと思って団長様の顔を見詰め返すと、やや怒りというか威圧のある視線を向けられ了承する他ありませんでした。兄も明日の朝には両親と共に迎えに来てくれると言うので、私は諦めて団長様と一緒に宿泊用の客室へ向かいました。
「この部屋だ。ここには結界が張ってある故に多少、魔力が漏れようとも影響ない」
団長様の言葉に安心感はありましたが、いざ中に入ると部屋の豪華さに落ち着きません。しかも、侍女の方々が三名待ち構えていて一人の方の手には着替えまで準備されていました。何かしら……更に大事になっているような、いないような……
「このご令嬢は疲れが溜まっているだろうから、よろしく頼む」
「畏まりました」
侍女の一人が代表して団長様に返事をしています。よろしくって私の何を見てそんな話になっているのよ。
「えっと、団長様、これは一体、何事でしょうか?」
「あぁ、気付いておらんのも無理はないが、魔力を奪われていた疲労が溜まっている。風呂に入ってゆっくり休まれよ」
また、“魔力を奪われて”と言われ自覚のない私は、黙って頷くした出来ませんでした。そのまま侍女の方々にお風呂で磨かれ疲労回復に良いマッサージもして頂きました。全て終わってベッドに横になった私は今日の出来事を振り返っていました。
いきなり婚約破棄なんて言われて驚いたけど、やっと肩の荷が降りたわ。侯爵様には悪いけどずっと解消したかったから……嬉しいわ……
そう婚約破棄は女性にとって不名誉な事ですが、私にとっては幸せな事です。だって、悪口ばかりで何もしない婚約者や嫌味ばかりの侯爵夫人と会わなくて済むから良かったわ。
そんな勝手に話を進めて良いのかしら?
そんな疑問は直ぐに解決しました。先程、部屋に届いた物は私の婚約破棄の書類でした。既に国王陛下の承認と両親のサインもあり、私と侯爵様がサインをするだけとなっておりました。渡された書類を確り確認してサインをしてフリューゲル様にお返ししました。
「これで宜しいですか?」
「……はい、大丈夫です。侯爵家には、陛下が直接、話をするので安心して下さい」
「ありがとうございました」
侯爵様と会わずに済むと分かって、どこか安堵している自分がいます。侯爵が執拗なまでに執着していたので、本音を言えば二度と会いたく無かったのです。フリューゲル様は書類を届けに行くと言って部屋を出て行きました。
「ルナ、お疲れ様。手続きがすんなり終わりそうで良かったな」
「はい、正直、ホッしています」
そんな兄妹の会話の後、団長様が必要な荷物を書き留めた紙を一枚下さいました。着替えの他に学園の教科書まで書いてあります。あの私の握り拳と同じ厚みの教科書が要りますか……お勉強の為に行くので仕方ないとは思いますが重いですよ。
内心、大きなため息を吐きながら了承すると、団長は私だけはこのまま城の客室に泊まる様に勧めるというか……半ば強制的に言われている気がするけど。そこまでしなくても良いと思うんですけどね。
「しかし、子爵のしかもポンコツ魔法使いの私ごときに大袈裟な気もしますが……」
遠回しに断ろうとして直球になった気もしますが、ここはスルーして兎に角、家に帰りたい。
「ご令嬢は気付いておらんのか。君の魔力は私と同等かそれ以上になった。家を破壊したくないならこのまま残りなさい」
「……はい」
家を破壊?大袈裟なと思って団長様の顔を見詰め返すと、やや怒りというか威圧のある視線を向けられ了承する他ありませんでした。兄も明日の朝には両親と共に迎えに来てくれると言うので、私は諦めて団長様と一緒に宿泊用の客室へ向かいました。
「この部屋だ。ここには結界が張ってある故に多少、魔力が漏れようとも影響ない」
団長様の言葉に安心感はありましたが、いざ中に入ると部屋の豪華さに落ち着きません。しかも、侍女の方々が三名待ち構えていて一人の方の手には着替えまで準備されていました。何かしら……更に大事になっているような、いないような……
「このご令嬢は疲れが溜まっているだろうから、よろしく頼む」
「畏まりました」
侍女の一人が代表して団長様に返事をしています。よろしくって私の何を見てそんな話になっているのよ。
「えっと、団長様、これは一体、何事でしょうか?」
「あぁ、気付いておらんのも無理はないが、魔力を奪われていた疲労が溜まっている。風呂に入ってゆっくり休まれよ」
また、“魔力を奪われて”と言われ自覚のない私は、黙って頷くした出来ませんでした。そのまま侍女の方々にお風呂で磨かれ疲労回復に良いマッサージもして頂きました。全て終わってベッドに横になった私は今日の出来事を振り返っていました。
いきなり婚約破棄なんて言われて驚いたけど、やっと肩の荷が降りたわ。侯爵様には悪いけどずっと解消したかったから……嬉しいわ……
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