[完結] 私を嫌いな婚約者は交代します

シマ

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エピローグ

 クロード様との婚約を破棄してから半年の交流期間を経て、私はヴォルフ様と改めて婚約した。
 正式な婚約を期にヴォルフ様は騎士団を辞めてお父様について仕事を教わっている。お父様も違った視点からの意見は刺激になると言って楽しそう。クロード様は用事があると言って一度も仕事に同行した事はなかった。お父様がヴォルフ様の本気を感じたと言ってニタニタと笑いながら私を見たので、後でお母様にヘソクリの隠し場所を教えましょう。気持ち悪い笑顔を見せた罰ですわ。



「ハリエット」

 自分の仕事が一段落して休憩がてらお茶を楽しんでいた私を呼ぶのはヴォルフ様。クロード様と婚約していた時には見せなかった優しい笑顔でこちらに向かって歩いて来ます。

「ヴォルフ様の分もお願いね」

 後ろに控えている侍女にお茶を頼むと、頭を下げると一度、厨房にお湯を貰いに向かった。私の横に座ったヴォルフ様と領地の事を話す。特産の木の実の加工品以外に、規格外の木の実で草木染めを提案された。
 厨房に行った侍女が戻り私達の前に新しいお茶が出される。温かいお茶を一口飲んで少し落ち着いてから、彼に理由を尋ねた。

「視察に同行した際に子供に悪戯されてね。熟し過ぎた木の実を投げつけられたんだ」

 笑いながらそう話し出した彼は、木の実の汁で汚れた髪を持っていた白いハンカチで拭いたらしい。木の実は黒に近い色だけど、ハンカチは鮮やかな赤紫色に染まっていた。その色の美しさ一目惚れしたと彼は言う。

「まるで君の瞳の様な美しい赤紫色だったんだよ」

 クロード様から血の様だとかお伽噺話の魔女の様だと言われ嫌だった瞳の色。それを彼は意図も簡単に大好きな色に変えてしまう。彼が懐から取り出し白いハンカチは、所々、赤紫に染まっていて今までに見たことの無い色をしていた。

「あの木の実がこんなに鮮やかな赤紫になるなんて……」

「村の人に聞いたら、一度、染まると落ちにくいから大変なんだそうだ」

「落ちにくい……逆に言えば染めやすい?」

「義父殿と相談して来月、染織の専門家に見て貰う事にしたよ」

 クロード様は結婚したらやると言って逃げていたのに、ヴォルフ様は真っ直ぐに向き合ってくれる。とても楽しそうに領地の話が出来る今の関係が、とても有りがたく貴重な時間だと思います。彼が言った様に廃棄している木の実が新しい産業になるなら、領地は更に活気づきます。明るく楽しい未来を一緒に話せる幸せを大切にしながら、彼と一生涯歩んで生きたいと切に願わずには要られない。

「ハリエット、愛してるよ」

「ヴォルフ様……私も貴方が好きです」

 何時も言われる愛の言葉に初めて私が返すと、彼は目を見開いて固まってしまいました。そんなに驚く事かしら?……初めて言ったから?

「……ありがとう」

 頬を赤く染めてはにかむ彼が可愛く見えた事は私だけの秘密です。



end

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