45 / 100
第四十五話 奪還の誓い、四つの願い
しおりを挟む
ミナが強制召喚された日から、三日が経った。
賢者の間に残されたのは、彼女の髪飾りだけ。
淡い紫の石が揺れるそれを、リュウは肌身離さず胸ポケットに入れていた。
「ミナは……まだ生きている。どこかで、助けを求めてる」
リュウのその言葉に、アリアが呟いた。
「問題は、“誰が”彼女を連れ戻したのか、よ」
「可能性があるとしたら……“次元断層”を操る古代術士の末裔、“時喰らいの巫女”じゃないかって言われてるよ」
アリスが言った。
魔法学院の禁書庫で調べたという。
「ただの伝説かと思ってたけど……ミナちゃんを追ってここまで来た時点で、彼女も何らかの“契約”を結んでるはず。強制転移は、本人の意思じゃ無理だもん」
アウラは目を伏せ、静かに口を開いた。
「……ミナは、“時の血脈”の鍵を持っていた。だからこの世界に干渉できた。そして……その鍵を狙って、誰かが動いた」
「だったら、俺が取り返す」
リュウははっきりと言った。
「彼女は、約束を守った。ただ俺のために、命を賭けて異世界に来てくれた。なら今度は、俺が彼女を迎えに行く番だ」
部屋の空気が変わる。
決意の重さが、言葉ではなく魔力の震えとなって伝わる。
「リュウ、あなた……“時の層”に踏み込むつもりなの?」
アリアが眉をひそめた。
「その先にあるのは、普通の空間じゃない。“記憶と魔力が喰われる世界”。行けば、戻れないかもしれない」
「それでも、俺は行く。だから、力を貸してほしい」
アリスが真っ先に手を挙げた。
「行くよ。ミナちゃんのこと、私……好きだった。強くて、まっすぐで。リュウが惚れるのも分かるくらい」
アリアも黙ってうなずく。
「あなたが選ぶ道なら、私もついていくわ。……後悔はさせないでね」
アウラも言葉少なに立ち上がる。
「闇は、時をも飲み込む。なら、私がその闇を裂いてあげる」
リュウは、彼女たちの強さと優しさに胸が熱くなった。
――自分には、帰るべき世界なんてなかった。でも今、ここに確かにある。
四人で向かうのは、“時間の深層”、次元の谷間に存在するとされる禁忌の地「クロノスの塔」。
そこには、時を超えて命を弄ぶ者がいる。そして、ミナを“鍵”として囚えた張本人が待っている。
夜。
旅立ちの準備を終えたリュウたちは、塔へ続く最後の魔法陣の前に立っていた。
「これが……俺たちの戦いの始まりだ」
リュウがそう言うと、三人の少女たちはそれぞれに頷いた。
「……待ってて、ミナ。今度は俺が、君を迎えに行く」
そして、魔法陣が発動する。光が彼らを包み、空間が裂ける。
その先にあるのは、愛と過去と運命が交差する世界。
異世界の魔法と恋の奇跡――新たな章が、ここに始まる。
賢者の間に残されたのは、彼女の髪飾りだけ。
淡い紫の石が揺れるそれを、リュウは肌身離さず胸ポケットに入れていた。
「ミナは……まだ生きている。どこかで、助けを求めてる」
リュウのその言葉に、アリアが呟いた。
「問題は、“誰が”彼女を連れ戻したのか、よ」
「可能性があるとしたら……“次元断層”を操る古代術士の末裔、“時喰らいの巫女”じゃないかって言われてるよ」
アリスが言った。
魔法学院の禁書庫で調べたという。
「ただの伝説かと思ってたけど……ミナちゃんを追ってここまで来た時点で、彼女も何らかの“契約”を結んでるはず。強制転移は、本人の意思じゃ無理だもん」
アウラは目を伏せ、静かに口を開いた。
「……ミナは、“時の血脈”の鍵を持っていた。だからこの世界に干渉できた。そして……その鍵を狙って、誰かが動いた」
「だったら、俺が取り返す」
リュウははっきりと言った。
「彼女は、約束を守った。ただ俺のために、命を賭けて異世界に来てくれた。なら今度は、俺が彼女を迎えに行く番だ」
部屋の空気が変わる。
決意の重さが、言葉ではなく魔力の震えとなって伝わる。
「リュウ、あなた……“時の層”に踏み込むつもりなの?」
アリアが眉をひそめた。
「その先にあるのは、普通の空間じゃない。“記憶と魔力が喰われる世界”。行けば、戻れないかもしれない」
「それでも、俺は行く。だから、力を貸してほしい」
アリスが真っ先に手を挙げた。
「行くよ。ミナちゃんのこと、私……好きだった。強くて、まっすぐで。リュウが惚れるのも分かるくらい」
アリアも黙ってうなずく。
「あなたが選ぶ道なら、私もついていくわ。……後悔はさせないでね」
アウラも言葉少なに立ち上がる。
「闇は、時をも飲み込む。なら、私がその闇を裂いてあげる」
リュウは、彼女たちの強さと優しさに胸が熱くなった。
――自分には、帰るべき世界なんてなかった。でも今、ここに確かにある。
四人で向かうのは、“時間の深層”、次元の谷間に存在するとされる禁忌の地「クロノスの塔」。
そこには、時を超えて命を弄ぶ者がいる。そして、ミナを“鍵”として囚えた張本人が待っている。
夜。
旅立ちの準備を終えたリュウたちは、塔へ続く最後の魔法陣の前に立っていた。
「これが……俺たちの戦いの始まりだ」
リュウがそう言うと、三人の少女たちはそれぞれに頷いた。
「……待ってて、ミナ。今度は俺が、君を迎えに行く」
そして、魔法陣が発動する。光が彼らを包み、空間が裂ける。
その先にあるのは、愛と過去と運命が交差する世界。
異世界の魔法と恋の奇跡――新たな章が、ここに始まる。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!
ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
神楽坂gimmick
涼寺みすゞ
恋愛
明治26年、欧州視察を終え帰国した司法官僚 近衛惟前の耳に飛び込んできたのは、学友でもあり親戚にあたる久我侯爵家の跡取り 久我光雅負傷の連絡。
侯爵家のスキャンダルを収めるべく、奔走する羽目になり……
若者が広げた夢の大風呂敷と、初恋の行方は?
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる