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第四十五話 奪還の誓い、四つの願い
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ミナが強制召喚された日から、三日が経った。
賢者の間に残されたのは、彼女の髪飾りだけ。
淡い紫の石が揺れるそれを、リュウは肌身離さず胸ポケットに入れていた。
「ミナは……まだ生きている。どこかで、助けを求めてる」
リュウのその言葉に、アリアが呟いた。
「問題は、“誰が”彼女を連れ戻したのか、よ」
「可能性があるとしたら……“次元断層”を操る古代術士の末裔、“時喰らいの巫女”じゃないかって言われてるよ」
アリスが言った。
魔法学院の禁書庫で調べたという。
「ただの伝説かと思ってたけど……ミナちゃんを追ってここまで来た時点で、彼女も何らかの“契約”を結んでるはず。強制転移は、本人の意思じゃ無理だもん」
アウラは目を伏せ、静かに口を開いた。
「……ミナは、“時の血脈”の鍵を持っていた。だからこの世界に干渉できた。そして……その鍵を狙って、誰かが動いた」
「だったら、俺が取り返す」
リュウははっきりと言った。
「彼女は、約束を守った。ただ俺のために、命を賭けて異世界に来てくれた。なら今度は、俺が彼女を迎えに行く番だ」
部屋の空気が変わる。
決意の重さが、言葉ではなく魔力の震えとなって伝わる。
「リュウ、あなた……“時の層”に踏み込むつもりなの?」
アリアが眉をひそめた。
「その先にあるのは、普通の空間じゃない。“記憶と魔力が喰われる世界”。行けば、戻れないかもしれない」
「それでも、俺は行く。だから、力を貸してほしい」
アリスが真っ先に手を挙げた。
「行くよ。ミナちゃんのこと、私……好きだった。強くて、まっすぐで。リュウが惚れるのも分かるくらい」
アリアも黙ってうなずく。
「あなたが選ぶ道なら、私もついていくわ。……後悔はさせないでね」
アウラも言葉少なに立ち上がる。
「闇は、時をも飲み込む。なら、私がその闇を裂いてあげる」
リュウは、彼女たちの強さと優しさに胸が熱くなった。
――自分には、帰るべき世界なんてなかった。でも今、ここに確かにある。
四人で向かうのは、“時間の深層”、次元の谷間に存在するとされる禁忌の地「クロノスの塔」。
そこには、時を超えて命を弄ぶ者がいる。そして、ミナを“鍵”として囚えた張本人が待っている。
夜。
旅立ちの準備を終えたリュウたちは、塔へ続く最後の魔法陣の前に立っていた。
「これが……俺たちの戦いの始まりだ」
リュウがそう言うと、三人の少女たちはそれぞれに頷いた。
「……待ってて、ミナ。今度は俺が、君を迎えに行く」
そして、魔法陣が発動する。光が彼らを包み、空間が裂ける。
その先にあるのは、愛と過去と運命が交差する世界。
異世界の魔法と恋の奇跡――新たな章が、ここに始まる。
賢者の間に残されたのは、彼女の髪飾りだけ。
淡い紫の石が揺れるそれを、リュウは肌身離さず胸ポケットに入れていた。
「ミナは……まだ生きている。どこかで、助けを求めてる」
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「問題は、“誰が”彼女を連れ戻したのか、よ」
「可能性があるとしたら……“次元断層”を操る古代術士の末裔、“時喰らいの巫女”じゃないかって言われてるよ」
アリスが言った。
魔法学院の禁書庫で調べたという。
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アウラは目を伏せ、静かに口を開いた。
「……ミナは、“時の血脈”の鍵を持っていた。だからこの世界に干渉できた。そして……その鍵を狙って、誰かが動いた」
「だったら、俺が取り返す」
リュウははっきりと言った。
「彼女は、約束を守った。ただ俺のために、命を賭けて異世界に来てくれた。なら今度は、俺が彼女を迎えに行く番だ」
部屋の空気が変わる。
決意の重さが、言葉ではなく魔力の震えとなって伝わる。
「リュウ、あなた……“時の層”に踏み込むつもりなの?」
アリアが眉をひそめた。
「その先にあるのは、普通の空間じゃない。“記憶と魔力が喰われる世界”。行けば、戻れないかもしれない」
「それでも、俺は行く。だから、力を貸してほしい」
アリスが真っ先に手を挙げた。
「行くよ。ミナちゃんのこと、私……好きだった。強くて、まっすぐで。リュウが惚れるのも分かるくらい」
アリアも黙ってうなずく。
「あなたが選ぶ道なら、私もついていくわ。……後悔はさせないでね」
アウラも言葉少なに立ち上がる。
「闇は、時をも飲み込む。なら、私がその闇を裂いてあげる」
リュウは、彼女たちの強さと優しさに胸が熱くなった。
――自分には、帰るべき世界なんてなかった。でも今、ここに確かにある。
四人で向かうのは、“時間の深層”、次元の谷間に存在するとされる禁忌の地「クロノスの塔」。
そこには、時を超えて命を弄ぶ者がいる。そして、ミナを“鍵”として囚えた張本人が待っている。
夜。
旅立ちの準備を終えたリュウたちは、塔へ続く最後の魔法陣の前に立っていた。
「これが……俺たちの戦いの始まりだ」
リュウがそう言うと、三人の少女たちはそれぞれに頷いた。
「……待ってて、ミナ。今度は俺が、君を迎えに行く」
そして、魔法陣が発動する。光が彼らを包み、空間が裂ける。
その先にあるのは、愛と過去と運命が交差する世界。
異世界の魔法と恋の奇跡――新たな章が、ここに始まる。
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