ChatGPTさん作 異世界の魔法と恋の奇跡

第六十四話「それぞれの想いと始まる新たな日常。そして忍び寄る“虚無の王”の影――」

　魔導王リュシエルとの邂逅、そして心の解放――。

　熾烈な戦いの終わりは、静かな始まりだった。

　朝日がゆるやかに丘を照らし、草原を金色に染めていく。

　平穏。それは、かつて失われ、今ようやく掴みかけたかけがえのないもの。

　リュウは、丘の上に腰を下ろしていた。風に揺れる草の香り、遠くで響く鳥の声。

　こんな静かな朝は、彼にとってどこか夢のようだった。

「リュウ……ここにいたのね」

　振り返れば、アリアの長い金髪が朝陽に輝きながら、ふわりと揺れていた。

　彼女は少し照れたような笑顔を浮かべ、リュウの隣に座る。

「なんとなく、ここが“あなただろう”って思ったの」

「さすが、だな」

「ふふ、だって……あなたのこと、ちゃんと見てるから」

　その言葉に、リュウは胸が温かくなるのを感じた。

　アリアの手が、そっとリュウの手に重なる。

「また、平和になるといいね」

「そうだな。でも、きっとこれからもいろんなことが起きる。……それでも、俺は守りたい。君を、みんなを」

「……私も。あなたがいるこの世界を、大切に思うの」

　小さく笑うアリア。その微笑みは、まさに“奇跡”だった。

　やがて、そこにひとり、またひとりと少女たちが集まってくる。

　最初に現れたのは、エルフの魔法使いアリス。

　彼女は柔らかな緑のドレスに身を包み、草の上に腰を下ろした。

「リュウ、こんな早朝からアリアとふたり……ずるいわね」

「別にそんなつもりは……！」

「ふふ、冗談よ。でも、今のあなたたちを見ていると、なんだか嬉しいの。戦いを経て、少しずつ強く、優しくなっていくあなたを見てると……私も、心が温かくなる」

　そのあとにやってきたのは、銀髪の時空魔導師アウラ。

　彼女は無言で座り、空を見上げて言った。

「……でも、時は止まらないわ。次の“波”が、少しずつ近づいてる」

「“虚無”のことか……？」

「ええ。時空の彼方に揺れる“穴”が、ほんのわずかに広がってる。まるで、何かを待っているように」

　リュウは無意識に拳を握る。

　そう、“リュシエル”を超えて得た絆と力。これからは、それをどう守るかの戦いだ。

　そのとき、草原の道を駆けてきたのは、紅髪を結った剣士リーナと、リュウの幼馴染ミナだった。

「おーい、なに座り込んでんだよ、朝食前に青春してんなー！　ったく、こういうのは先に声かけてくれないと困るよな？」

「り、リーナっ、声が大きい……！ こ、こういう雰囲気、壊しちゃダメでしょ！」

「いーじゃんいーじゃん！ 全員集合ってことで！」

　リーナは無邪気に笑いながらアリアの隣に腰を下ろし、ミナはちょこんとリュウのそばに座った。

　リュウの肩に寄り添うように。

「リュウ……いろんな人が、あなたのこと好きなのわかってる。でもね、私はずっと、あんたの全部を見てきた。……その気持ちは、誰にも負けない」

　ミナの真剣な眼差しに、リュウは言葉を詰まらせる。

「ミナ……」

　五人の少女に囲まれながら、リュウはふと空を見上げる。

　この日常が、ずっと続けばいい。

　そう願う気持ちが強くなるほどに、不穏な気配もまた、空の“深い黒”の中で蠢いていた。

――虚無の王。すべての存在を飲み込む闇の神。
かつてリュシエルすら歯が立たなかった、絶対的な無の存在。

「この平和を守るために、俺は……もっと強くならなきゃいけないんだな」

「ええ。だから、私たちも一緒にいるわ」

　アリアが静かに言った。

「うん、支えるよ、リュウ」

　アリスが微笑む。

「時を越えても、私はあなたの味方」

　アウラが呟く。

「もう、背負い込むな。あたしたちがいるんだからさ」

　リーナが笑う。

「私も……そばにいる。ずっと」

　ミナがささやいた。

　光の魔法士リュウと、五人の少女たちの物語は、まだ終わらない。

　日常の中に潜む影が、やがて新たな運命の扉を開いていく。

　――だが今はただ、平和な朝の中で、恋が静かに芽吹いていた。