もう一人のオレがみんな美少女で家に住みついてますが何か

第十四話 スプリングシャウト 4

「はぁ……、疲れる。ニンゲンカンケー。」

　五月のゴールデンウィークから大分経ったか、そんな梅雨入りに雨天が増えそうな時分に、何時もなら有り得ない状況にある。

　誰かを使役する立場にある管理職にして、商品開発主任の肩書を背負う峰輿奈津美は、流浪の者を自宅で保護している。

　家にいる時はみんなが割とイイ子にして、ただインターネットビジネスに忙しいか、奈津美としては大いに助かっている。

　無理をして片付けが増えるくらいならと、何もしない方がマシだとでも思うのか、自分自身で管理した方が合っているのか。

　抱えた者達はカワイイ若しくは美人で、元後輩の隣人に城江秀一も面倒を看たくなるし、超本格メイドすらも現れた。

　元はそれなりの資産家に奉じていて、一通りの雑務や家事もこなす上に、護身は愚か戦闘力も有しているのか身に何も無いらしい。

　カワイイ・ラク・萌えまくりと充実しても、社会環境ではそうでは無く多少の無理も承知に、合わない者にも対応している。

　更にこの日も雨天にして止んでも曇天と、尚にして奈津美の神経は磨り減っていて、この様な発言が遂に飛び出して仕舞った。

「早く萌香ちゃんにモフりてぇー。
　シューくんに甘えてぇー。」

　お顔がなんだかマジィ事になって仕舞って、後輩のホワイトギャルな女子社員が緑茶を出しながら、気を遣って仕舞っている。

　仕舞い仕舞って終いにならない様な、どう仕様もなく重いスパイラルの中心に在って、自宅にいる時よりも気が抜けている。

　もう既に後輩社員に甘え始めながら、そのカワイさを物色し始める始末に、オンナの目で味見されながらも何処か期待していたか。

　上司の課長はイケメンにしてラノベ主人公の様な、当たり障りなくもコンプラを意識して、秀一とは違う何かがある。

　課長だけに奈津美よりも管理能力が高い、絵に書いた快適さや立ち廻りに助けられて、管理職のポジションに就けたとも謂える。

　それでも秀一に全力で甘えると極めて、今の峰輿を壊したくもないだけに踏み留まって、帰っても我慢してやっとに絡まる。

　また、やはり課やチームに合わない者もいて、企画案などのウィークポイントを的確に指摘、抉るもあるのか余計に疲れる。

　そして、今宵も雨に打たれて少し濡れながら、我慢の我慢にやっとの帰宅に夕食準備と、やっとの事で俺に絡まりはじめる。