双子の妹の代わりに学園に来ているのですが、どうやら乙女ゲームの世界だったようです。

8

　きれいな格好をさせられ僕は卒業パーティーに出ていた。

　もちろんドレス姿ではなく男性用の正装でだ。

　僕の両脇には王子様とナターシャ様がいて逃げようと思っても逃げることが出来ないでいる。

　「逃げたら子が出来るまで監禁だからな」

　「……監禁は嫌です……」

　僕は知らなかったが、どうやら僕は子が出来る男性なのだそうだ。

　あの後お二人に色々説明され理解したが、気持ちは付いてこない。

　じろじろ見られ身を隠したいが隠すことも出来ずにいると、出入り口の方で何やら騒がしくなった。

　「どうしてわたくしははいれませんの！！！」

　「卒業生とその同伴者様の為の卒業パーティーでございます。在校生は今回入場することはできません」

　「お兄さまの付き添いで来たのに何でダメなんですの」

　我が妹ながら周りが見えていないようで、すごく目立っている。その後ろにはお父様とお母様もいるが注意しないで眺めているだけだ。

　「お兄さまはどこに行ったんですの！！！！」

　王子様の後ろで控えていたお兄さまがわざとらしくため息を付きながらマリーに近づいた。

　「僕ならここにいるよ」

　「どうして同伴させて下さらなかったんですか！！！！」

　「僕は王子の護衛として側にいなければいけないと何度も言ったはずだ」

　「王子様もいらっしゃいますの？」

　マリーは会場の中を見回し王子様の姿を見るや目をハートにしてこちらに近づいて来ようとしたが騎士たちに捕まり近づくことも出来ないでいた。

　マリーは僕にも気が付いたのか何かを喚いているが、遠ざかっていく彼らの声は僕には届かなかった。

　でもお兄さまはいつだってマリーの味方だったのにと疑問が顔に出ていたらしく僕の頭を撫でながら説明してくれた内容がすごかった。