勘弁してください、僕はあなたの婚約者ではありません

りまり

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 大けがをおい陛下に助けられたまでは良かったのだが、その後はそのまま王宮に連れてこられたのだ。

 王宮の一室に案内されケガが治るまでそこで養成するようにと陛下自らお声をかけてもらった。

 「すまんな、あいつらは側近とは別に王杯候補なんだ」

 「そうだったんですね。
 僕は友達として一緒にいたつもりでしたが……殿下にはそうは見えなかったのですね」

 「そのようだな、このまま学園にいても変わらず虐められるぞ」

 「わかりました。
 このまま退学でいいので私を家に帰して下さい。
 この国も出ていきます」

 「……そこまで言ってない……」

 陛下は何故か焦りだしたが、僕の気持ちは固まった。

 「もともと冒険者をしてましたのでこの国を拠点にしなくても他の国を拠点にすればいいだけです」

 「何故そうなるんだ、君は世界中に10人もいないと言われているSランク冒険者だよね。
 そんな子をみすみす国から出すわけないでしょ」

 何を言っているんだこの人は?

 学園に通えない以上自分はこの国を出て他に拠点を移して冒険者家業をするだけなのに何故止められなければならないんだ?

 自分の王杯を取られそうになったからってあれじゃダメじゃん。

 王杯候補も止められないなら意味ないしね。

 こんな国とっとと出ていくに限る。

 「言いたいことは分かる。
 だがもうしばし待ってくれ」

 了承しかねたが渋々了承した。

 
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