【完結】騎士団長に言い寄られて困っています

21

　騎士団の朝は早いが、ハルはベッドからでれなかった。

   抱き枕がわりに抱き締められ、抜け出せないでいた。

   レオン団長が来てくれなければ遅刻確定だ。

   「ありがとうございます。
   まさかあのまま寝ちゃうとは思わなかったです」

   「あいつも追い詰められていたからな、いつもは王太子として毅然とした態度を取っているし、周りの貴族からなめられないようにしてたんだ」

   「…これで少しは仕事の効率がよくなりますね」

   「そうだな」

   あっという間に練習場についてしまい、ハルはいつもの相手と打ち合いの練習をして身体を温めた。

   それから朝食となり、慌ただしく食べ早々には出発していた。

   王都までは馬を走らせれば半日で着くが、馬車を用意しているので一日かかる計算だ。

　その為馬車のまわりを厳重に固められ重要人物が乗っているのがわかってしまうぐらいだが、あえてそうしているとはるはハルは聞かされた。

　なんでも王太子の命を狙っている輩がいるため今回はあえてゆうどう誘導作戦で炙り出すと言っていたが、なぜ自分一人で馬車の中にいなければいけなかったのが疑問に思う。