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地鳴り編
第22話 ずっと一緒だ
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※本日、朝7時に幕間を更新しています。
目を開けると、朝陽が眩しかった。
「ん……あさ?」
「わふ?」
横で寝ていたポンタが寝ぼけ顔で返事をしてくれた。
寝起きでぼんやりする頭が徐々に覚醒するにしたがって、記憶がなんとなくよみがえって来る。
おじさんとおねえさんが、キノコモグラの討伐に行って、それが魔獣化して、おじさんが怪我をしたと報せが入ったのだ。
瑠偉はおじさんに、お薬を届けに行かなきゃ、と思ったような記憶はあるけれど、どうやって届けたんだっけ、と首を傾げる。
なんだかあの時、ルイは半分、透明だった気がするし、ポンタも大きかった気がする。
「……ゆめ、かな?」
部屋の中には誰もいない。
自分の手のひらを見てみるが透けてもいないし、横にいるポンタは瑠偉が乗れるわけもないくらいに、いつも通り小さい。
ガチャっとドアが開いて、瑠偉は勢いよく振り返る。
「あ、おはよう。起きたのね、ルイくん」
「おじさんとおねえさんは?」
ソファから飛び降りてシェリーに駆け寄る。
「丁度、帰って来たからルイくんを呼びに来……」
瑠偉は最後まで聞かずに部屋を飛び出した。ポンタが慌てて後から追いかけて来る。
廊下を駆け抜け、階段の頂上に立つとエントランスにたくさんの人に囲まれたその姿を見つけた。
「おじさん! おねえちゃん!」
金色と紫色の眼差しが瑠偉を見つけて柔らかに細められた。
「ルイ!」
「『風よ』!」
ふわりと風が吹いて、瑠偉の体が浮かび上がった。瑠偉が必死に伸ばした手をおねえさんが受け止めてくれて、おじさんがおねえさんごとルイを抱きしめてくれた。
「ふっ、うっ、うわぁぁぁぁん……!」
おじさんとおねえさんが、ちゃんと温かくて、力強くて、帰って来てくれたことが嬉しくて瑠偉の目から勝手に涙が出て来る。
「怖かったわね、ごめんね」
おねえさんが頬にキスをしてくれて、おじさんが瑠偉の頭をわしゃわしゃ撫でてくれる。誰かに抱っこされたポンタが傍にきて瑠偉の頬をべろべろ舐める。
瑠偉は涙を止めようと頑張るけれど、涙はなかなか止まってくれない。するとおねえさんの細い手が瑠偉の頬を優しく撫でていく。
「寂しかったんだもの、たくさん泣いていいのよ」
「留守番、頑張ったからな。偉いぞ、ルイ」
「ふぇぇぇぇ……」
やっぱり涙は止まらなくなる。くんくん、とポンタが心配そうに鼻を鳴らしているのが聞こえる。
でも、瑠偉はどうしても二人に伝えたい言葉があるのだ。
涙でぼやける視界でも綺麗な金色と紫色はよく見えた。
「ふ、うっ、ひっく、ふっ、お、おか、ぐすん、おかえり、なさい」
金色と紫色が消えて、ぎゅうぎゅうと苦しいくらいに抱きしめられた。
「ただいま」
「ただいま、ルイ」
「わんわん!」
おねえさんごと、ルイとポンタまで抱きしめられる。
その腕の中は、やっぱり安心しかなくて、瑠偉は再び眠ってしまうまで、おねえさんとおじさんの腕の中で声を上げて泣き続けたのだった。
*・*・*
「寝ちゃったわ」
「気を張ってたんだろうさ」
腕に抱えたルイをロザリーが愛おしそうに見つめている光景にレオも目を細め、涙で濡れたやわい頬を指の腹でぬぐってやる。
「とてもいい子で待っていたんですよ」
ポンタを抱えたシェリーが教えてくれる。
「そうか。じゃあ、何かご褒美あげないとな」
「何がいいかしら。もちろん、ポンタもね」
「わんわん! わん!」
ポンタが何かを要望している。犬語は分からないが、同じ牙を持つ者同士、通ずるものはあるので、多分、きっと間違いなく「肉」と言っている。
「レオさん、ロザリーさん、本当にご無事で何よりです」
シェリーの言葉にレオは「おじさん、疲れたけどな」と苦笑を零す。
「一回、体の中の血がほとんど出てっちまったからよ。この後、とりあえず医者行って来いって、バージに帰されたんだよ」
「ええ!? だだ、だ、大丈夫なんですか!? いや、大丈夫じゃないですよね!?」
エントランスに戸惑いと驚愕の声が上がって、レオは手で耳を塞ぐ。
「お前ら親子は揃いも揃って、声がでけぇ……」
「す、すみません。実はレオさんの負傷の報せが入った後、お医者様に待機してもらっているんです! すぐに医務室に!」
「お、そりゃいいや。正直、おじさんも年だからさ、もうマジで疲れちゃってんだよ」
「私も魔力が空っぽだったから、さすがにもうちょっと寝たいわ。私は怪我もないし、ルイと一緒に寝てるわね」
「おう。俺も医者んとこ行ったら。寝るから」
「はーい。さ、ルイ、一緒に寝ましょうね」
ロザリーはルイを抱えて、借りている休憩室へと去っていき、ポンタがそれについて行った。こっちだよと彼なりに案内しているつもりなのか、ロザリーの前をぴょんぴょんと進んでいく。
「レオさんは、こっちに! 早く!」
「大丈夫だって、ロザリーが造血魔法かけてくれたし、寝たし。あ。起きたら、肉喰いてえ。生肉がいい」
「それはあとです! ほらこっちですよ!」
青い顔でわたわたしているシェリーに連れられ、レオはギルド内の医務室に連れて行かれる。冒険者ギルドは、仕事柄怪我が多いので大体はちょっとした医務室があるのだ。
ただそこは冒険者ギルドなので、とにかく体が丈夫な冒険者たちは、魔法使いや医者の卵たちの治癒魔法の練習台にされることが多いのだが、今回は魔獣討伐の怪我と言うことで、病院から医者を手配してくれているようだ。
しかしながらその後、中にいた医者(初日にルイを見てくれたレオと同年代の男だ)に、レオは「無茶をしすぎにもほどがある」としこたま説教を受けながら、治療を受けるはめになった。いくら大丈夫だと言っても医者は「僕は冒険者と騎士の『大丈夫』は信じない主義なんです」とばっさりと切り捨てられた。
なんだか余計に疲れた気がする治療を終えて、レオは休憩室に帰る。
ベッドではロザリーがルイを抱きしめるようにして、気持ちよさそうに眠っていて、唯一、起きていたポンタが出迎えてくれた。
「わふ?」
「おう、ちゃーんと治療してもらってきたぜ。お前も寝るか?」
ポンタは、ぴょんとベッドの上に飛び乗って、ルイの頭の近くに丸くなった。
レオもロザリーが魔法で綺麗にはしてくれたが、汚れた服を脱ぎ、軽くシャワーを浴びて着替えてから、ベッドに寝ころんだ。
ロザリーごとルイを抱きしめる。
「……しっくりくるな」
だとすればこの感覚が、あのおじいさんの言う「正解」なのかもしれないと思いながら、レオも再び眠りの世界へ旅立ったのだった。
「おじさん、おきて、あさだよー」
ルイの声に目を開ければ、まばゆい朝陽に目がくらむ。
レオは、くぁっとあくびを一つして体を起こした。腹の上にいたらしいポンタが転げ落ちて、ルイの腕におさまった。
「……あー、今、何時だ?」
だいぶ眠った感覚はあるのに、朝陽が眩しいということはそんなに眠っていないのだろうかとレオは首をひねる。時間の読み方を教えていないので、ルイは「えっとね、あさだよ」と教えてくれた。
「レオ、丸一日、寝てたのよ」
トレーを手にロザリーがやって来て、ベッドに腰かけた。どうぞ、と渡されたグラスの中身は氷入りの水で、レオは「ありがとさん」と言って受け取り、口をつける。
丸一日寝ていたらしいレオの喉はカラカラで、あっという間にグラスは空になってしまった。
「おかわりは?」
「頼む」
ロザリーが水差しを傾け、グラスは再び満たされる。
「おじさん、だいじょうぶ?」
「おう、寝すぎて、頭が重いが、体は元気だな」
おかわりの水をちびちび飲みながら答える。
「昨夜、様子を診に来てくれたお医者様が『回復が早すぎる』って驚いてたわよ」
「丈夫なのが俺の取り柄だからな」
苦笑するロザリーにレオは笑って返す。
「ロザリーは、どうだ? 体は大丈夫か?」
「ええ。私はあの後、昼過ぎに起きて、ルイと一緒にごはんを食べたり、一度、宿に戻ってマージさんたちにも無事を伝えてきたわ。そのあとは、細々と討伐の確認作業ね。……ちなみに四年前の討伐でもらった聖水のおかげってことにしてあるから」
ロザリーに耳打ちされて、レオはグラスに口をつけたまま頷く。
聖魔法のスキル持ちだなんて知られたら、面倒以外の何者でもない。何度も言うがレオは面倒ごとは嫌いなのだ。
「キノコモグラのほうは?」
「モグラちゃんは、サウロさんが、おおはしゃぎで平原でそのまま解体しているわ。爪はやっぱりいい素材になりそうだけど、お肉はちょっとね。でもね、かなり大きな魔結晶が無傷で採れたの。あれは良い素材だわ」
魔獣からは魔結晶という素材が稀にとれる。その上、体内のどこにあるかは同じ種類の魔獣でも異なるので、運がよくなければ巡り合えない素材だ。強力な魔法薬や魔道具の燃料として、高値で取引される。
「昨夜、地鳴りはあったか?」
「いいえ。あれだけ起こっていた地鳴りもぴたりと止んだわ。原因はモグラちゃんで間違いなかったみたいね」
「そうか。じゃあ、依頼完了だな。……でも魔獣の後処理とか、色々あるか。地面に大穴空けちまったしな」
「あれ、皆が『どうやったんだろ?』って悩んでたわよ」
「んなもん、地面ぶん殴ったに決まってんだろ。俺の持ってる魔法のスキルじゃ、穴は開けらんねえしよ」
けらけらと笑って言えば、ロザリーは「本当に、脳筋なんだから」と呆れたように溜息を零した。
ふと、ルイが静かなことに気づいて顔を向け、レオは目を見開く。
「ル、ルイ、どうしたの!?」
ロザリーが水差しをサイドボードに置いてベッドに上がり、ルイの隣に膝をつく。
ルイは黒い大きな瞳に涙をいっぱい溜めていた。まばたきをすれば、あっというまにこぼれてしまうだろう。
「どうした、ルイ」
レオもグラスを水差しの横に置いて声をかける。
ルイはお腹の前で手をぎゅうと握りしめて俯いた。その拍子にぽとんと落ちた涙がルイのズボンにシミを作る。
「……じしん、なおったから、オレは、ここで、おわかれ? あしたは、いっしょじゃない?」
小さな震える声で問いかけて来るルイをロザリーが抱き締める。レオも起き上がって、ルイの目の前に座り直した。
「なあ、ルイ」
レオはルイの小さな手を取った。
ルイの片手に両方収めてもまだ余ってしまう、小さくて細い、子どもの手。
「おじさん、初めて一緒に風呂に入った日にルイに言ったな。ルイとポンタが幸せに暮らせる場所を見つけてやるって」
「……ぅん」
か細い声が頷く。
「あれ、おじさんとロザリーのところじゃだめか?」
ルイが勢いよく顔を上げた。
黒いまん丸な目がレオを映し出す。その澄んだ目の色にレオはこれまでにないくらい緊張しながら、口を開く。
「おじさんと、ロザリーと、それでルイとポンタと家族になろうぜ」
「…………おじさんとおねえちゃんが、おとうさんとおかあさんになるの?」
一緒にいられることへの期待とその言葉への恐怖がルイの心を蝕んでいる。
身分証について説明した時、レオが保護者になるならお父さんになって、自分を殴るのかと聞いてきたルイを思い出す。
「いや、えーっと、そういうわけじゃなくて」
「ねえ、ルイ」
ロザリーが言葉選びに悩むレオに代わって口を開く。
「おかあさんってね、ほかにも色んな呼び方があるのよ。代表的なのは、ママだけど、おふくろとか、母さんと母ちゃんとか、色々あるの。もちろん、ルイがいいなら、お姉ちゃんでもいいけれど、私は貴方を愛する母親になりたいわ」
「……オレが、テレビでみたママは……こどもが、だきついてもおこらなかったから、ぎゅってしてたから、ママがいい」
ロザリーがぱぁっと顔を輝かせ、ルイをぎゅーっと抱きしめる。白い薔薇の花びらが溢れんばかりに舞い散って、甘い香りが強くなる。
「今日からルイは私の可愛い息子のルイよ」
「……ママ」
「なぁに、ルイ」
少し言いなれない恥じらいが滲む声でルイがロザリーを呼べば、ますます花びらの勢いが強くなる。
「ロザリー、このままだと花びらで窒息死だぞ」
「だって勝手に出ちゃうんだもの」
「……いいにおい、する」
「わふわふ」
ポンタは花びらで水遊びでもするかのように飛び込んだり、もぐったりしている。
強い感情の下にこぼれた花人族の花びらは、いつものようにすぐに消えてはなくならないのだ。
「じゃあ、ルイ、レオのことは何て呼びたい?」
「……おとうさん、は、こわいからやだ」
ロザリーの花びらの匂いを楽しんでいたルイの表情が陰る。
レオはもし、異世界を渡ることが出来たら、ルイの苦しみや、悲しみや、恐怖の分、ルイの父親を殴って来るのに。圧倒的な力の前にひれ伏す恐怖を植え付けてやりたい、と、意地の悪いことを考えてしまう。
「じゃあ、私がママだから、自動的に『パパ』でどう?」
「パパもおとうさんの、よびかた?」
「ええそうよ」
「……じゃあ、パパがいい」
小さな手がレオの手をきゅっと握り返した。
その瞬間、レオが考えていた親父呼びだったり、父ちゃん呼びだったりという案は、心底、どうでもよくなってしまった。
「そうだ。今日から俺が、ルイのパパだ」
レオがにかっと笑って言えば、ルイが数拍の間を置いて、口をひらく。
「おじさんとおねえちゃんが、パパとママになって、かぞくになったら、あしたも、いっしょ?」
「明日も明後日も一か月後も半年後も十年後だって、ずーっと一緒よ」
「なあ、ルイ。俺とロザリーとポンタとお前で、冒険しようぜ。ずっと一緒にな」
ルイの中にその言葉が染み込んで、じわじわと実感が代わりに湧いてくるのが、だんだんと晴れていく表情から伝わって来る。
「うん! オレ、パパとママとポンタとぼうけんする!」
ぱっと花咲くように笑顔が開く。
ずっとずっと見たかったルイのなんの陰りもない子どもらしい満面の笑みにレオは「おう!」と返事をしながら、ロザリーごとルイを抱きしめた。
目頭が熱くなるのを二人に顔を埋めて誤魔化す。ロザリーが鼻をすすった音がレオの耳には届いた。
「なら、最初の冒険は、キノコモグラの跡地でも見に行くか」
「うん!」
ルイが元気よく頷く。
レオは鼻をすすって、色んなものを誤魔化して顔を上げる。ロザリーもルイに気づかれないように指先で涙をぬぐって、腕の力を緩めた。
「ねえ、ルイは私とレオが討伐に行った夜は、どうやって過ごしてたの?」
「えーっとね、オレ、おじさん……パパがケガしたってきいて、おくすりとどけようとおもって、なんかね、おおきいポンタにのったゆめをみたの」
どうやら幼いルイは、あの現実離れした体験を夢だと思っているようだ。
ロザリーに目配せすると、彼女はかすかに頷いた。
「そうか。実はな俺もすごく大変で倒れた時、夢を見たんだ。ルイが来てくれて、薬をくれて、それで元気になった。んで、無事にキノコモグラを討伐できたんだ」
「オレ、パパのゆめのなかにいったのかな? だってね、ゆめのなかでね、オレ、はんぶん、とうめいだったんだよ。ポンタもね、すごくおおきかったしね。でもね、オレ、とうめいになれないし、ポンタだってちいさいままだもん。おくすりもね、ポシェットのなかにあったの」
ルイの視線がポンタに向けられる。ポンタは花びらの上で腹を上にして、くねくねしながら背中をこすりつけている。
「魔法ってね、そういう不思議なことも起こるのよ。でも、きっとルイがとても心配してくれたから、レオに元気を届けてくれたのかもしれないわね」
「パパ、オレがゆめにでて、げんきでた?」
「おう。言ったろ? そのおかげで、元気が出て討伐できたって」
そう返せば、ルイは「そっか」となんだか照れくさそうに首をすくめた。可愛いが過ぎて、誘拐されないか心配になってくる。
わしゃわしゃとルイを撫でながら、レオは自分の腹をさする。一番、重要な問題が片付いたら、忘れていた空腹を思い出した。
「あー……腹減った」
「なら朝ごはん、食べに行きましょうよ。今日は起きるだろうと思って、待ってたのよ。ルイも貴方が起きる少し前に起きたばっかりだし」
「オレもおなかすいた」
レオの真似をしてお腹をさするルイに、ははっと笑ってレオはベッドから降りる。
「顔だけ洗わせてくれ。髭もそらねぇと」
頬に触れればぼさぼさの無精ひげがチクチクする。ロザリーが「ルイも着替えましょ」と声をかけているのを背に、レオは身支度するか、とぐっと伸びをしたのだった。
目を開けると、朝陽が眩しかった。
「ん……あさ?」
「わふ?」
横で寝ていたポンタが寝ぼけ顔で返事をしてくれた。
寝起きでぼんやりする頭が徐々に覚醒するにしたがって、記憶がなんとなくよみがえって来る。
おじさんとおねえさんが、キノコモグラの討伐に行って、それが魔獣化して、おじさんが怪我をしたと報せが入ったのだ。
瑠偉はおじさんに、お薬を届けに行かなきゃ、と思ったような記憶はあるけれど、どうやって届けたんだっけ、と首を傾げる。
なんだかあの時、ルイは半分、透明だった気がするし、ポンタも大きかった気がする。
「……ゆめ、かな?」
部屋の中には誰もいない。
自分の手のひらを見てみるが透けてもいないし、横にいるポンタは瑠偉が乗れるわけもないくらいに、いつも通り小さい。
ガチャっとドアが開いて、瑠偉は勢いよく振り返る。
「あ、おはよう。起きたのね、ルイくん」
「おじさんとおねえさんは?」
ソファから飛び降りてシェリーに駆け寄る。
「丁度、帰って来たからルイくんを呼びに来……」
瑠偉は最後まで聞かずに部屋を飛び出した。ポンタが慌てて後から追いかけて来る。
廊下を駆け抜け、階段の頂上に立つとエントランスにたくさんの人に囲まれたその姿を見つけた。
「おじさん! おねえちゃん!」
金色と紫色の眼差しが瑠偉を見つけて柔らかに細められた。
「ルイ!」
「『風よ』!」
ふわりと風が吹いて、瑠偉の体が浮かび上がった。瑠偉が必死に伸ばした手をおねえさんが受け止めてくれて、おじさんがおねえさんごとルイを抱きしめてくれた。
「ふっ、うっ、うわぁぁぁぁん……!」
おじさんとおねえさんが、ちゃんと温かくて、力強くて、帰って来てくれたことが嬉しくて瑠偉の目から勝手に涙が出て来る。
「怖かったわね、ごめんね」
おねえさんが頬にキスをしてくれて、おじさんが瑠偉の頭をわしゃわしゃ撫でてくれる。誰かに抱っこされたポンタが傍にきて瑠偉の頬をべろべろ舐める。
瑠偉は涙を止めようと頑張るけれど、涙はなかなか止まってくれない。するとおねえさんの細い手が瑠偉の頬を優しく撫でていく。
「寂しかったんだもの、たくさん泣いていいのよ」
「留守番、頑張ったからな。偉いぞ、ルイ」
「ふぇぇぇぇ……」
やっぱり涙は止まらなくなる。くんくん、とポンタが心配そうに鼻を鳴らしているのが聞こえる。
でも、瑠偉はどうしても二人に伝えたい言葉があるのだ。
涙でぼやける視界でも綺麗な金色と紫色はよく見えた。
「ふ、うっ、ひっく、ふっ、お、おか、ぐすん、おかえり、なさい」
金色と紫色が消えて、ぎゅうぎゅうと苦しいくらいに抱きしめられた。
「ただいま」
「ただいま、ルイ」
「わんわん!」
おねえさんごと、ルイとポンタまで抱きしめられる。
その腕の中は、やっぱり安心しかなくて、瑠偉は再び眠ってしまうまで、おねえさんとおじさんの腕の中で声を上げて泣き続けたのだった。
*・*・*
「寝ちゃったわ」
「気を張ってたんだろうさ」
腕に抱えたルイをロザリーが愛おしそうに見つめている光景にレオも目を細め、涙で濡れたやわい頬を指の腹でぬぐってやる。
「とてもいい子で待っていたんですよ」
ポンタを抱えたシェリーが教えてくれる。
「そうか。じゃあ、何かご褒美あげないとな」
「何がいいかしら。もちろん、ポンタもね」
「わんわん! わん!」
ポンタが何かを要望している。犬語は分からないが、同じ牙を持つ者同士、通ずるものはあるので、多分、きっと間違いなく「肉」と言っている。
「レオさん、ロザリーさん、本当にご無事で何よりです」
シェリーの言葉にレオは「おじさん、疲れたけどな」と苦笑を零す。
「一回、体の中の血がほとんど出てっちまったからよ。この後、とりあえず医者行って来いって、バージに帰されたんだよ」
「ええ!? だだ、だ、大丈夫なんですか!? いや、大丈夫じゃないですよね!?」
エントランスに戸惑いと驚愕の声が上がって、レオは手で耳を塞ぐ。
「お前ら親子は揃いも揃って、声がでけぇ……」
「す、すみません。実はレオさんの負傷の報せが入った後、お医者様に待機してもらっているんです! すぐに医務室に!」
「お、そりゃいいや。正直、おじさんも年だからさ、もうマジで疲れちゃってんだよ」
「私も魔力が空っぽだったから、さすがにもうちょっと寝たいわ。私は怪我もないし、ルイと一緒に寝てるわね」
「おう。俺も医者んとこ行ったら。寝るから」
「はーい。さ、ルイ、一緒に寝ましょうね」
ロザリーはルイを抱えて、借りている休憩室へと去っていき、ポンタがそれについて行った。こっちだよと彼なりに案内しているつもりなのか、ロザリーの前をぴょんぴょんと進んでいく。
「レオさんは、こっちに! 早く!」
「大丈夫だって、ロザリーが造血魔法かけてくれたし、寝たし。あ。起きたら、肉喰いてえ。生肉がいい」
「それはあとです! ほらこっちですよ!」
青い顔でわたわたしているシェリーに連れられ、レオはギルド内の医務室に連れて行かれる。冒険者ギルドは、仕事柄怪我が多いので大体はちょっとした医務室があるのだ。
ただそこは冒険者ギルドなので、とにかく体が丈夫な冒険者たちは、魔法使いや医者の卵たちの治癒魔法の練習台にされることが多いのだが、今回は魔獣討伐の怪我と言うことで、病院から医者を手配してくれているようだ。
しかしながらその後、中にいた医者(初日にルイを見てくれたレオと同年代の男だ)に、レオは「無茶をしすぎにもほどがある」としこたま説教を受けながら、治療を受けるはめになった。いくら大丈夫だと言っても医者は「僕は冒険者と騎士の『大丈夫』は信じない主義なんです」とばっさりと切り捨てられた。
なんだか余計に疲れた気がする治療を終えて、レオは休憩室に帰る。
ベッドではロザリーがルイを抱きしめるようにして、気持ちよさそうに眠っていて、唯一、起きていたポンタが出迎えてくれた。
「わふ?」
「おう、ちゃーんと治療してもらってきたぜ。お前も寝るか?」
ポンタは、ぴょんとベッドの上に飛び乗って、ルイの頭の近くに丸くなった。
レオもロザリーが魔法で綺麗にはしてくれたが、汚れた服を脱ぎ、軽くシャワーを浴びて着替えてから、ベッドに寝ころんだ。
ロザリーごとルイを抱きしめる。
「……しっくりくるな」
だとすればこの感覚が、あのおじいさんの言う「正解」なのかもしれないと思いながら、レオも再び眠りの世界へ旅立ったのだった。
「おじさん、おきて、あさだよー」
ルイの声に目を開ければ、まばゆい朝陽に目がくらむ。
レオは、くぁっとあくびを一つして体を起こした。腹の上にいたらしいポンタが転げ落ちて、ルイの腕におさまった。
「……あー、今、何時だ?」
だいぶ眠った感覚はあるのに、朝陽が眩しいということはそんなに眠っていないのだろうかとレオは首をひねる。時間の読み方を教えていないので、ルイは「えっとね、あさだよ」と教えてくれた。
「レオ、丸一日、寝てたのよ」
トレーを手にロザリーがやって来て、ベッドに腰かけた。どうぞ、と渡されたグラスの中身は氷入りの水で、レオは「ありがとさん」と言って受け取り、口をつける。
丸一日寝ていたらしいレオの喉はカラカラで、あっという間にグラスは空になってしまった。
「おかわりは?」
「頼む」
ロザリーが水差しを傾け、グラスは再び満たされる。
「おじさん、だいじょうぶ?」
「おう、寝すぎて、頭が重いが、体は元気だな」
おかわりの水をちびちび飲みながら答える。
「昨夜、様子を診に来てくれたお医者様が『回復が早すぎる』って驚いてたわよ」
「丈夫なのが俺の取り柄だからな」
苦笑するロザリーにレオは笑って返す。
「ロザリーは、どうだ? 体は大丈夫か?」
「ええ。私はあの後、昼過ぎに起きて、ルイと一緒にごはんを食べたり、一度、宿に戻ってマージさんたちにも無事を伝えてきたわ。そのあとは、細々と討伐の確認作業ね。……ちなみに四年前の討伐でもらった聖水のおかげってことにしてあるから」
ロザリーに耳打ちされて、レオはグラスに口をつけたまま頷く。
聖魔法のスキル持ちだなんて知られたら、面倒以外の何者でもない。何度も言うがレオは面倒ごとは嫌いなのだ。
「キノコモグラのほうは?」
「モグラちゃんは、サウロさんが、おおはしゃぎで平原でそのまま解体しているわ。爪はやっぱりいい素材になりそうだけど、お肉はちょっとね。でもね、かなり大きな魔結晶が無傷で採れたの。あれは良い素材だわ」
魔獣からは魔結晶という素材が稀にとれる。その上、体内のどこにあるかは同じ種類の魔獣でも異なるので、運がよくなければ巡り合えない素材だ。強力な魔法薬や魔道具の燃料として、高値で取引される。
「昨夜、地鳴りはあったか?」
「いいえ。あれだけ起こっていた地鳴りもぴたりと止んだわ。原因はモグラちゃんで間違いなかったみたいね」
「そうか。じゃあ、依頼完了だな。……でも魔獣の後処理とか、色々あるか。地面に大穴空けちまったしな」
「あれ、皆が『どうやったんだろ?』って悩んでたわよ」
「んなもん、地面ぶん殴ったに決まってんだろ。俺の持ってる魔法のスキルじゃ、穴は開けらんねえしよ」
けらけらと笑って言えば、ロザリーは「本当に、脳筋なんだから」と呆れたように溜息を零した。
ふと、ルイが静かなことに気づいて顔を向け、レオは目を見開く。
「ル、ルイ、どうしたの!?」
ロザリーが水差しをサイドボードに置いてベッドに上がり、ルイの隣に膝をつく。
ルイは黒い大きな瞳に涙をいっぱい溜めていた。まばたきをすれば、あっというまにこぼれてしまうだろう。
「どうした、ルイ」
レオもグラスを水差しの横に置いて声をかける。
ルイはお腹の前で手をぎゅうと握りしめて俯いた。その拍子にぽとんと落ちた涙がルイのズボンにシミを作る。
「……じしん、なおったから、オレは、ここで、おわかれ? あしたは、いっしょじゃない?」
小さな震える声で問いかけて来るルイをロザリーが抱き締める。レオも起き上がって、ルイの目の前に座り直した。
「なあ、ルイ」
レオはルイの小さな手を取った。
ルイの片手に両方収めてもまだ余ってしまう、小さくて細い、子どもの手。
「おじさん、初めて一緒に風呂に入った日にルイに言ったな。ルイとポンタが幸せに暮らせる場所を見つけてやるって」
「……ぅん」
か細い声が頷く。
「あれ、おじさんとロザリーのところじゃだめか?」
ルイが勢いよく顔を上げた。
黒いまん丸な目がレオを映し出す。その澄んだ目の色にレオはこれまでにないくらい緊張しながら、口を開く。
「おじさんと、ロザリーと、それでルイとポンタと家族になろうぜ」
「…………おじさんとおねえちゃんが、おとうさんとおかあさんになるの?」
一緒にいられることへの期待とその言葉への恐怖がルイの心を蝕んでいる。
身分証について説明した時、レオが保護者になるならお父さんになって、自分を殴るのかと聞いてきたルイを思い出す。
「いや、えーっと、そういうわけじゃなくて」
「ねえ、ルイ」
ロザリーが言葉選びに悩むレオに代わって口を開く。
「おかあさんってね、ほかにも色んな呼び方があるのよ。代表的なのは、ママだけど、おふくろとか、母さんと母ちゃんとか、色々あるの。もちろん、ルイがいいなら、お姉ちゃんでもいいけれど、私は貴方を愛する母親になりたいわ」
「……オレが、テレビでみたママは……こどもが、だきついてもおこらなかったから、ぎゅってしてたから、ママがいい」
ロザリーがぱぁっと顔を輝かせ、ルイをぎゅーっと抱きしめる。白い薔薇の花びらが溢れんばかりに舞い散って、甘い香りが強くなる。
「今日からルイは私の可愛い息子のルイよ」
「……ママ」
「なぁに、ルイ」
少し言いなれない恥じらいが滲む声でルイがロザリーを呼べば、ますます花びらの勢いが強くなる。
「ロザリー、このままだと花びらで窒息死だぞ」
「だって勝手に出ちゃうんだもの」
「……いいにおい、する」
「わふわふ」
ポンタは花びらで水遊びでもするかのように飛び込んだり、もぐったりしている。
強い感情の下にこぼれた花人族の花びらは、いつものようにすぐに消えてはなくならないのだ。
「じゃあ、ルイ、レオのことは何て呼びたい?」
「……おとうさん、は、こわいからやだ」
ロザリーの花びらの匂いを楽しんでいたルイの表情が陰る。
レオはもし、異世界を渡ることが出来たら、ルイの苦しみや、悲しみや、恐怖の分、ルイの父親を殴って来るのに。圧倒的な力の前にひれ伏す恐怖を植え付けてやりたい、と、意地の悪いことを考えてしまう。
「じゃあ、私がママだから、自動的に『パパ』でどう?」
「パパもおとうさんの、よびかた?」
「ええそうよ」
「……じゃあ、パパがいい」
小さな手がレオの手をきゅっと握り返した。
その瞬間、レオが考えていた親父呼びだったり、父ちゃん呼びだったりという案は、心底、どうでもよくなってしまった。
「そうだ。今日から俺が、ルイのパパだ」
レオがにかっと笑って言えば、ルイが数拍の間を置いて、口をひらく。
「おじさんとおねえちゃんが、パパとママになって、かぞくになったら、あしたも、いっしょ?」
「明日も明後日も一か月後も半年後も十年後だって、ずーっと一緒よ」
「なあ、ルイ。俺とロザリーとポンタとお前で、冒険しようぜ。ずっと一緒にな」
ルイの中にその言葉が染み込んで、じわじわと実感が代わりに湧いてくるのが、だんだんと晴れていく表情から伝わって来る。
「うん! オレ、パパとママとポンタとぼうけんする!」
ぱっと花咲くように笑顔が開く。
ずっとずっと見たかったルイのなんの陰りもない子どもらしい満面の笑みにレオは「おう!」と返事をしながら、ロザリーごとルイを抱きしめた。
目頭が熱くなるのを二人に顔を埋めて誤魔化す。ロザリーが鼻をすすった音がレオの耳には届いた。
「なら、最初の冒険は、キノコモグラの跡地でも見に行くか」
「うん!」
ルイが元気よく頷く。
レオは鼻をすすって、色んなものを誤魔化して顔を上げる。ロザリーもルイに気づかれないように指先で涙をぬぐって、腕の力を緩めた。
「ねえ、ルイは私とレオが討伐に行った夜は、どうやって過ごしてたの?」
「えーっとね、オレ、おじさん……パパがケガしたってきいて、おくすりとどけようとおもって、なんかね、おおきいポンタにのったゆめをみたの」
どうやら幼いルイは、あの現実離れした体験を夢だと思っているようだ。
ロザリーに目配せすると、彼女はかすかに頷いた。
「そうか。実はな俺もすごく大変で倒れた時、夢を見たんだ。ルイが来てくれて、薬をくれて、それで元気になった。んで、無事にキノコモグラを討伐できたんだ」
「オレ、パパのゆめのなかにいったのかな? だってね、ゆめのなかでね、オレ、はんぶん、とうめいだったんだよ。ポンタもね、すごくおおきかったしね。でもね、オレ、とうめいになれないし、ポンタだってちいさいままだもん。おくすりもね、ポシェットのなかにあったの」
ルイの視線がポンタに向けられる。ポンタは花びらの上で腹を上にして、くねくねしながら背中をこすりつけている。
「魔法ってね、そういう不思議なことも起こるのよ。でも、きっとルイがとても心配してくれたから、レオに元気を届けてくれたのかもしれないわね」
「パパ、オレがゆめにでて、げんきでた?」
「おう。言ったろ? そのおかげで、元気が出て討伐できたって」
そう返せば、ルイは「そっか」となんだか照れくさそうに首をすくめた。可愛いが過ぎて、誘拐されないか心配になってくる。
わしゃわしゃとルイを撫でながら、レオは自分の腹をさする。一番、重要な問題が片付いたら、忘れていた空腹を思い出した。
「あー……腹減った」
「なら朝ごはん、食べに行きましょうよ。今日は起きるだろうと思って、待ってたのよ。ルイも貴方が起きる少し前に起きたばっかりだし」
「オレもおなかすいた」
レオの真似をしてお腹をさするルイに、ははっと笑ってレオはベッドから降りる。
「顔だけ洗わせてくれ。髭もそらねぇと」
頬に触れればぼさぼさの無精ひげがチクチクする。ロザリーが「ルイも着替えましょ」と声をかけているのを背に、レオは身支度するか、とぐっと伸びをしたのだった。
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