歌う小鳥と魔獣騎士 ~いらないと言われた私が幸せになるまで~

春志乃

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第3話 嵐の来訪

3-3

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「アシュリー伯爵家? クラリスさんが?」

 キャンプ地に張られたテントの中、夕食の席でロナルドはヴィムとコーディに、一昨日、自宅のエントランスで起きた出来事をようやく話すことができた。
 魔獣の討伐自体は何の問題もなく、今日の夕方までに無事に終えていた。今回はホーンラビット(角が生えた兎の魔物だ)の魔獣化個体・ニードルラビットが大量に発生した。毒針を飛ばしてくる厄介な魔獣だが、ランスタートルに比べれば弱い魔獣だ。

「アシュリー伯爵家っていえば、もう十年近く当主が領地で療養中……あ、でも、十年というと丁度、クラリス嬢のお母様が亡くなった年数と合いますね」

「ああ」

「でもアシュリー伯爵家なんて、こういっちゃなんだけど、由緒はあるけど、毒にも薬にもならない家というか……」

「まあな。力があるわけではないからな。なにせ当主が領地に引きこもり切り。その上、彼には娘しかいないから、娘が婿を取るか、その娘が嫁に行って二人以上息子を産むかしないと、爵位を引き継ぐ者がいない」

「領地が割と豊かですし、ご令嬢も美しい方なので婿に立候補する者は多いようですが、どれも伯爵夫人が突っぱねているので有名ですしね……」

 コーディが言った。

「そうなのか?」

 ロナルドは社交にまともに参加できなかったので、その辺の事情に疎いがコーディは「人脈づくりもロナルド様の
ためです!」と社交を積極的に行ってくれていたので、そのあたりにも詳しいのだ。

「これは噂なのですが……アシュリー伯爵は、幼少期からとても『無関心』な人だそうで……」

「そういえばクラリスが言っていた。父親は何もかもに無関心で、そんな彼が唯一興味関心を抱き、執着していたのがクラリスの母だった、と」

「そうなんですね……だとすれば、伯爵夫人は自分の代でアシュリー伯爵家を終わらせたいのでしょうか」

「さあねえ。貴族のことは僕にはよく分からないけど……クラリスさんやその母親にした仕打ちを想えば、爵位没収でも仕方がないと思うけどねぇ」

 皿の上のショートパスタをフォークでつつきながらヴィムが言った。

「クラリスは、そんな過激なことは望まないと思うぞ」

「優しいもんね、クラリスさん」

 ヴィムがふっと苦笑を零す。

「……だが一番の問題は、異母姉が自分の居場所を突き止めたことで、クラリスが『出ていく』と言い出したことなんだ」

「ええ!?」

「それは困るよ!」

 コーディが驚きに立ち上がり、ヴィムがフォークを放り投げた。

「クラリスさんが急にいなくなってしまったら、ロナルドの健康が……!」

「落ち着け。アランとモニカがそばにいるし、本人も自分の魔力が俺にどう作用しているか分かっているから、無断で出ていくことはないと思う」

 ロナルドの言葉にヴィムとコーディは顔を見合わせ、椅子に座り直した。ヴィムがかがみこんで落としたフォークを拾い、洗浄魔法をかけた。

「魔獣襲撃事件があった日、ブルーノ師団長を見送っただろう? あの時、言われたんだ。……幸せをすぐに手放そうとするなって」

「ブルーノ師団長がですか?」

「ああ。……俺がクラリスを手放そうとする理由も分かると、でも、そうしたからってクラリスが幸せになれる保証はないんだと……彼は市井の人々と関わることも多いからな」

 ブルーノは侯爵という高位貴族でありながら、自らも王都の警邏に参加し、率先して現場に関わっていく騎士だ。そのことで根っからの貴族主義の連中には煙たがられているようだが、本人は全く意に介していない。

「……俺が魔獣という脅威から国の治安を守っていられるのは、俺一人の力ではなくて。ブルーノ師団長が王都の平和を守って居られるのも、彼一人の力ではなくて。部下であったり、家族であったり、使用人であったり、そういうたくさんの存在に支えられているから守っていられるんだって、そう教えてくれたんだ」

「そう、だね。僕の研究もみんなの協力あってこそだ」

 ヴィムがうんうんと頷く。

「クラリスのこと、俺が守りたいと思う。他の誰でもない俺の隣で、笑っていてほしいと願ってしまう。彼女を他の誰にも渡したくないと、強く思う。……手放せるなんて、嘘だ。絶対に手放したくない。……俺の隣にいてほしい」

 ロナルドの腕の中で震えていたクラリスの体はあまりに華奢で頼りなかった。
 夜の屋根の上で語らう時、屈託なく笑っていたクラリスの顔に怯えだけがありありと浮かんで、呼吸さえままならなくなって、それでも必死で自分の力で立とうとしていた。

「……もちろんクラリスには相手を選ぶ権利がある。だから俺が選ばれる保証なんてどこにもないが、でも、彼女に選んでもらえる努力をしたいと思うんだ」

 なんだかだんだん恥ずかしくなってきて、熱くなる頬をロナルドは咳ばらいをして誤魔化す。

「……うっ、ううっ、ひっく」

「コ、コーディ?」

 突然、ぼろぼろと泣き出したコーディに今度はロナルドが慌てて立ち上がる。
ヴィムも「どうしたの? どこか痛いの?」とオロオロと問いかけるが、コーディはぼろぼろと大粒の涙をこぼすばかりだ。
 ロナルドは彼の下へ行き、どうした、とその肩に触れる。

「……僕は、騎士養成学校を卒業後、近衛に配属されました」

「あ、ああ。そうだな、コーディは子爵家の長男だから」

 ロナルドは泣きながら話し始めたコーディに戸惑いながらも頷く。
 寄宿学校を卒業後、騎士を目指すものは貴賤問わず皆、騎士養成学校へ入る。そこを卒業して、騎士団へと入団するのだ。
 基本的には本人の志望が優先されるが、貴族の長男は後継問題もあり、比較的安全な近衛に配属されることが多い。
 ロナルドは次男であったのもあるが、なによりも魔獣討伐での魔力放出を目的に自ら第二師団に志願した。

「近衛は本当に、あくびが出るほど平和でした。でも、僕が休暇で領地に戻った時、魔獣が出現しました。隣の侯爵領の森から、討伐隊に追われて逃げてきた、魔獣、でした」

 その時のことはロナルドも覚えている。
 ロナルドは当時、第二師団に入団して四年目の二十四歳。一番隊の隊長職にあった。ヴィムは治療院で魔導治癒医士の資格を取り、入団一年目で、研修がてら同行してきていた。

「うちの領地なんて、隣の侯爵領に比べればシュティーと小鳥姿のシエルくらいの面積の差があります……っ。村が二つと、あとは畑と森と小さな湖一つの小さな領地です。でも、先祖代々、大切に守ってきた土地で、心優しい領民たちが支えてくれている領地なんです……。でも、当時の第二師団師団長は、逃れてきた魔獣に対し討伐依頼をした父に『自分でなんとかしろ』と宣いやがりました……っ」

 コーディの実家である子爵領には野生の魔物や動物の農作物や畜産物への被害対策のために、狩人が二つの村にそれぞれ数人ずついるだけだった。

「魔物や動物を討伐はできても、狩人たちが魔獣を討伐できるわけがないのに……っ」

 くしゃりとコーディが前髪を握りしめた。

「襲撃されたのは、領地境の我が子爵家もある村のほうでした。我が家はかつて砦だった名残で、頑強で……そこに村人たちを避難させて、でも、村も畑もめちゃくちゃで」

 コーディの領地に現れたのは、隣の侯爵領の森に生息するファングボアと呼ばれる猪の魔物の魔獣化個体、シュタルボアだった。
 シュタルボアはファングボア最大の特徴である大きな牙が鋼鉄と化し、それでなくとも牛ほどもある体が三倍にもなる巨体。分厚い脂肪と固い毛皮に覆われ、並みの魔法や剣では太刀打ちできない厄介な魔獣だった。
 その上、もともとが群れで行動する習性がファングボアにあり、あの時は全部で二十五体のシュタルボアが出現。その内の五頭が子爵領を襲った。

「侯爵領内でのシュタルボアの討伐さえ、指揮系統が乱れほとんどできていない状態で、ちっぽけな子爵領に派遣する部隊はない、と言われました……っ。でも、その中で、森の中で被害が止まっている侯爵領と違い、人里に被害が出ている子爵領のためにと命令に背いて助けに来てくれたのが、貴方でした……っ」

 自分が率いる一番隊の有志だけ(と言いつつも一番隊は全員が来てくれた)を率いて、ロナルドが助けに来てくれた。
 少数精鋭。まさにそれだった。
 的確な攻撃と指示により、村を荒らしつくしていた五頭のシュタルボアは、たった一つの隊によってあっという間に討たれた。
 その後、ロナルドはすぐに隣の侯爵領へ戻り、指揮官を引きずり降ろして、懲罰覚悟で自らが指揮官として、乱れ切った現場を整え、その時残っていた十七頭のシュタルボアを打ち取ることに成功した。
 この件で当時の第二師団長は解任され、その功績が認められて、二十五歳の若さでロナルドが師団長に抜擢されたのだ。
 しかもその後、侯爵領と変わらぬ保証を子爵領にもしてくれ、無事にコーディの領地は立て直すことができた。

「僕は、貴方と同じ騎士だったのに、あの時、領地のためにも、領民のためにも何もできなかった……っ。砦の中で村を荒らしつくす魔獣を見ていることしかできなかった……っ。それが悔しくて、でも、同時に貴方に感謝しつくせないほどに感謝して、貴方の下で働きたいと思い、家族の反対を押し切って、転属したんです。そして、事務能力が高かったので、運よく、貴方の事務官になれました」

 師団長になって間もなく、コーディが派遣された。
 騎士になってまだ二年の少年のようなあどけさが残っていたコーディは、ロナルドの事務官たちが、ロナルドの魔力に充てられ魔力酔いを起こして、次々に辞めていく中、ただひとり残った事務官だった。

「僕は、僕の大切なものを救ってくれた貴方に幸せになってほしい。なのに、貴方はそれを諦めるばかりで……っ。だから、だから……っ、クラリス嬢を諦めないと決めた貴方が、僕は、嬉しいんです……っ」

「コーディ……」

「それは僕も同じだよ。僕の恩人である君には幸せになってほしい。僕には恋と愛とかはよく分からないけど、応援はできるし、協力もできるから」

 ヴィムもこちらにやって来て、泣きじゃくるコーディの背を撫でながら小さく笑った。

「僕だって協力は惜しみません……!」

 腕を目に押し付けながらコーディが叫ぶように言った。分かったよ、とロナルドは笑いながらハンカチを差し出す。コーディが「ずみまぜん」とハンカチを受け取り、目に当てる。

「今はとりあえず後片付けをさっさとして、王都に帰らないとな」

「はいっ、がんばりまず!」

 しゃくりあげながら返事をするコーディにロナルドはヴィムと顔を見合わせて、笑ってしまった。
 だが事態はロナルドが想像しているよりはるかに深刻だと、翌日、帰宅した際に知ることになるのをロナルドはまだ知らなかった。


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