山椒魚

らくがき猫

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狐の尻尾1

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どうでもいい嗜好の話だ。
私は動物の尻尾が好きだ。フワフワしていたり。シュッとしていたり。もふもふしていたり。
自分にはないからかとても興味深い。そして心惹かれる。その中でも狐の尻尾が特に好きだ。


私の好みを知っている友人は先日北海道に行ったときにキタキツネのぬいぐるみを買ってきてくれた。それも尻尾が極端に大きいぬいぐるみだ。一応ストラップにもできるようになってるらしく首の後ろあたりから長めの紐が出ていた。つけると首をつままれてぶら下がってるような格好になるわけだ。よく見ると背中に何か大きめのポケットのようなものがついているが手を入れるだけでもぎりぎりの広さ。
「背中のポケット、これ何入れるためのなの。小さすぎない?」
友人は私のスマホを指さしながら答える。
「この狐はスマホケースらしいぞ。」
どうも友人は受け狙いのためにこのケースを買ってきたのだが私がやたら気に入って弄り回しているので様子を見られていたらしい。
この長い紐もつないだままポケット部分にスマホをしまえるように長いようだ。
「持ち歩くには大きすぎるけど飾るにはちょうどいいだろ。」
家に置くお土産としても使えると思って買ってきたようだが、残念なことに私はこの子が気に入ってしまった。
そのため友人は飲み会の時や一緒に出掛けるとき年甲斐もなくぬいぐるみを抱く私とともに行動をすることになってしまう。



ぬいぐるみをもらってから何度目かの飲み会の時この子のどこがそんなにいいのかを聞かれた。愚かなものよ。
その後30分にわたり私の尻尾への愛と情熱を語り続け友人がへばった頃にコンちゃんを称えよ!と宣言して掲げる。
「名前まで付けたよこいつ。」



「ああ。ほんとにキツネ家に来ないかな。」
大きめのソファーの上で転がりながらキツネのしっぽをいじりながら思わず声に出していると彼がいう。
「そんなにキツネが好きなのかい?」
「犬も猫も好きだけど尻尾は断然キツネが最高!」
そう私が答えると彼はとても満足げに一言つぶやいた。そして大騒ぎの数日が始まる。
「それはよかった。願いがかなったね。台所で君を待ってるよ。」
横を見るともう彼はいなく台所へ向かってみるとキツネが座って首を傾げたような格好でこっちを見ていた。
明日はとりあえずこの子のご飯を買いに行こう。名前何にしよう。
「じゃなくて!どういうことなの!?」
思わず大声を出してしまうが結局彼は出てこなかった。
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