転魔教師~異世界転移した魔王、元の世界に戻るため召喚者の家庭教師になる~

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第2章 海洋国家オルヴァート編

89限目「待望のご馳走、王女の情報」

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 3人で食堂へ向かうと、アスダンと町民達が大勢待っていた。
「グレン、お待たせした!最近は漁に出れない日が続いていたので豪勢なものとはいかないが、料理長が腕を振るってくれた。是非味わっていってくれ!」

 テーブルに着くと、アスダンがエールを手にして挨拶を始める。
「本日をもってクラハは港町として息を吹き返すことができた!これもグレン達のおかげ。我々はこの恩を忘れず、明日から力強く生きていこうじゃないか!
 グレン一行万歳!クラハ万歳!」皆が飲み物を掲げ大合唱する。

「さぁ、料理が来た。遠慮なく食べてくれ!」港町ということもあって漁師が多いせいか、皆豪快な飲みっぷり食べっぷりである。町が解放された喜びも合わさってのことかもしれないけども。

 料理が運ばれ、テーブルの上はあっという間に埋め尽くされてしまった。
 アスダンはああ言っていたが、十分豪勢だぞ?

 港町だから当然ながら魚料理がメインだ。白身魚のカルパッチョに、野菜が色鮮やかな揚げ魚のあんかけもあるな。お、こっちはミソで煮込んだものだ。昔食べたことがある。何とも懐かしい。
 肉料理もあるようだ。あっちはミソに付け込んだ豚肉を焼いたやつか!香ばしさとほんのり甘い味が酒に合うんだよな!勿論ライスとの相性も抜群だ。

 アスダンはシェステとカーラに料理の説明をしてくれていた。シェステは目を輝かせながら、カルパッチョを頬張っている。とても美味しいのだろう。例のごとく頬が落ちないように押さえている。
 カーラはミソ料理に興味津々らしい。青魚のミソ煮を食べて満足そうだ。

 そして、少し遅れて運ばれてきたのは、おぉこれは!魚の刺身じゃないか!大皿に盛られた刺身はとても華やかだ。
 アスダンによれば、あの後急ぎ近場で魚を獲ってきてくれたそうだ。新鮮な魚の刺身。ショウユをつけて食べれば極上の味だから、食べないと損である。

 ただ魚を生で食べる習慣がある地域は結構限られるので、初めてという人(特にシェステ)は勇気がいるだろうと思ったのだが……、そんな心配は全くの杞憂でした。ノリノリで食ってました。美味しいそうです。俺も食うか!

 雪見酒もよかったが、魚料理と合わせて飲む酒も、うん美味い!昔旅した❝ヤマト❞でのことをふと思い出す。元の世界に帰ったら久しぶりに訪ねてみようか。

 一通り料理の説明を終えたアスダンが俺の隣に座る。
「グレンはこっちの酒が好きなのか。飲む姿がなかなか様になってるぞ?」徳利を持ち盃に酒を注いでくれた。
「勿論エールやワイン、他の酒も好きなんだが、どうも俺はこっちの方が一番好きらしい」

「それで❝話❞の件だが、後で部屋を用意する。それでいいかい?」
「あぁ、それで頼む」小声でやり取りをする。
「料理を楽しんでもらって何よりだ。くれぐれも飲み過ぎないようにな」
「ははは、それはお互い様だろ?」二人で笑うと、アスダンは席を立ち、賑やかに盛り上がる仲間達の所へ戻っていった。


 いやはや、久しぶりに魚料理を堪能できた。料理長にミソとショウユを分けてもらったので、今まで以上に料理のバリエーションが増えるぞ。ふふふ、ライスを食べる機会も増えそうだな。ライス好きとしてはたまらないぜ!

 さて、そろそろ食事会も終わりだ。はは、シェステも満腹で少し眠そうだ。
「カーラ、シェステも流石に食べ疲れただろう。部屋に連れて行って休ませてやってくれ」

「グレンは?」
「あぁ、アスダンと話があるから先に寝てても構わないよ」カーラは快諾すると満足そうにお腹を押さえるシェステをエスコートして部屋へと向かった。

 よし、じゃメインディッシュと行きますか。徳利に残った酒を飲み干すと、俺もアスダンがいる部屋へと向かう。


 コンコンコンと3度ノックする。
「グレンだ、アスダンいるかい?」
「あぁ、入ってくれ」ドアを開けると、アスダンがソファに腰かけていた。
「まだ飲めるかい?お前と話すために我慢してたんだ。一緒にどうだ」アスダンは徳利を持って俺を酒席に誘う。

「そうだったのか。俺も飲み足りないと思ってたところだ。その誘いありがたく受けよう」俺もソファに座ると盃に酒が注がれ、お互いに献杯する。

「さて、何から話そうか。グレンはオルべリアを目指すつもりなんだろう?」
「あぁ。元々はザナン国王に真っ先に謁見を申し込むつもりだったんだが。残念だ」

「ザナン様はその人柄は言うに及ばず、為政者としても尊敬に値する人物だった。それだけに、国民全員が残念に思っているはず」話を聞く限りザナン国王はよほど人徳厚き人物だったらしい。今回の突然の譲位、国民は納得できていまい。
 アルバレイというやつの狙いは何なんだ?

「確か、王女がいると聞いたんだが」
「一人娘のクシナ様のことだろう。陛下に似てとても聡明な方でな。本当ならクシナ様に後を継いで欲しかったのだが……。
 譲位後行方が分からないらしい」

 契約者の死亡に続いて、王女も行方不明か……。安否だけでもどうにかして知りたい所だ。
「王女の行方が分からないというのは、どこからの情報なんだ?」

「実はな。譲位後いなくなった王女を探すために、新国王が賞金を懸けてるのさ。誰が協力するかよって話だ」アルバレイも探してるのか。ならば、行方不明というのは、新国王から身を隠しているということなのかもしれない。

「となると、俺から会うのはかなり難しい……そういうことだよな。
 だが、俺は何としても王女に会わなければならないんだ。何か知らないか?」アスダンはこの要求を想定していたらしいのだが、首を傾げたり何かを言おうとして頭を振ったり、どうも悩んでいるらしい。

 しばらくそういう事を繰り返していた彼だが、どうやら意を決したらしい。
「はぁ~。本当は紹介したくはないんだが、他ならぬグレンの頼みだ。
 実は王女の居場所を知っているかもしれない人物に心当たりがある。が、ほんと偏屈な爺さんでな。素直に教えてくれるかは分からんのだ」
「誰なんだ?その爺さんは」

「名はアスラ。以前ザナン様の元で衛士長筆頭だった男だよ」
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