前世を思い出した巫女は神のもとに行きたい

だるま

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二人の夢

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「?指名してもらえれば神殿で会えますよ?」

「いや、その…二人で…そう!ここで!ここでまた会おう!」

カイン様が顔を赤くしている。
「私とまた会いたいということなのでしょうが、神殿ではまずいのですか?」

「他の人もいるから…」
ごにょごにょ…

何やら事情があるのでしょうか?
相手は領主さまのご子息。無下な扱いもできませんね。

「わかりました。それではここでいつお待ちしていればいいですか?」

カイン様の顔は相変わらず赤いけれど、私が了承したことで喜んでくれているようだ。

「じゃあ今度は来週!ここで!いつもこの時間にいるのか?」

「ええ。勤めが終われば基本自由なので。夕刻の鐘がなるまではここにおります。」



そして私達は、この場所でたわいない話をしては過ごすようになった。







会うようになって2年が過ぎたころ、カイン様は成人し立派な男性になっていった。
きっと素敵な女性と婚姻の話がでるでしょうね。

なんでしょう?そんなことを考えると胸がツキンと痛い……
私は病気なのでしょうか?




「やぁサニア。」
今日はカイン様の方が先に待っていてくれた。
私は彼と過ごす時間は気に入っている。時間はあっという間に過ぎてしまう。いつまで続けられるのかわからないけど。それまでは大切にしたい。



話してる間、カイン様の顔を凝視していたようだ。

「どうしたの?俺の顔に何かついてる?」

「いえ、大人になったなと思いまして。」

「もう、かれこれ2年かぁ。
君も女性らしくなったね。」

「女性らしく?それは身体の成長のことでしょうか?」
私は自分の身体を見てみる。

「ぶっっ相変わらず素直にとるなぁサニアは。」

「?」

「いや。それもサニアらしいところだよ。」

「褒められているのでしょうか?ありがとうございます。」

「はははっ真面目!その顔わかってないし。」

「からかっているのですね。」

「はぁ…サニアといると退屈しないよ。」

「それはどうも?普段神殿ではこんな会話しないので私にはわかりませんけど。」

「本当に神殿の話は窮屈そうだね。外に興味はないの?」

「妹などは外とも交流することはあるようですね。
私は、神殿か、この聖域しかおりませんので外の人間とは会ったことはありませんね。」

「外に出たいとは思わないの?」
それは何度目かのカイン様からの質問だ。
この2年カイン様は、外の話をしてくれる。時には目新しいものを持ってきて見せてくれることもある。
それを見るたび、私は違う世界のことだと割り切るようにしていた。
そんな反応をみてカイン様はいつもそう質問してくるのだ。

「外の世界は私には縁がないものです。カイン様が持ってきてくれるものは勉強になりますが…」

「そう…」
残念そうにするカイン様。
私は彼の求めている答えがわからない。いや、考えていないだけなのだろう。

「サニアの世界は本当にここだけなんだね。」

「今更です。私はここでしか生きていけません。ここからは出ていけません。出て行くときは死んだとき、魂が神のもとに行く時だけですよ。」

「巫女の鏡のようだね。
でも、俺は寂しいなか。」

「寂しいですか?」

「ああ。君にはもっと色んなものを見てほしい。感じてほしいと思っている。そんな狭い世界ではなく。」

「私には許されないことです。」

「そうだね。神殿の掟が厳しいのはわかるよ。」

「掟…そうですね。私はその掟に従って生きているだけなので、いつかは近い血縁者と婚姻することになると思いますし。」

「えっそんな話が出ているか!」
私の両肩を掴んで焦ったように聞いてきた。

「いえ、いつかはと言ったでしょう?まだそんな話は出てませんよ。」

「そうか…よかった…」

「?」
何がよかったのでしょうか。彼が安堵した様子がわからない。




ぎゅっ

私の両肩を掴んでいるカイン様の手に力が入る。

「?」

「サニア。あの……
俺はサニアが好きなんだ。」

「ありがとうございます。どうしたんですか突然。」

「意味わかってないな。
人が告白してるのに。」

「告白とは、懺悔ですか?」

「誰に対して謝ってるんだよ。
知らないか?俺がしてるのは愛の告白だよ。」

「愛の告白……」
愛?私に?カイン様は私が好きだと……好きとは?

「私には……わかりません。」

「すまない。急に…困惑させただけだった。」

沈黙の中神殿の鐘が鳴る。
「もう、戻らないと…
カイン様の言ってくれたことわからなくてごめんなさい。
でも、一つあなたに言いたいことがあります。」

カイン様が私を見つめている。私もカイン様の目を見て、今できる最上の笑顔を見せる。

「私はカイン様と過ごすこの時間がとても大切です。離れたくないほどに。」
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