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★デビュタント〜準備編〜★
双子②
しおりを挟むチュンチュン
鳥の囀りが聞こえる。
セイラはすでに目を覚ましていたが、今日から始まるセイラにとっての地獄のような日々を思うとこのままずっと眠っていたいとさえ思った。
しかし、そんな甘い考えは通用するわけもなかった。
コンコンコンッ
ドアをノックする音が響いた。
それがセイラには地獄へのカウントダウンに聞こえていた。
それでも私は何も聞こえていない、私は寝ているんだと自己暗示をかけるかのように狸寝入りをしていた。
…それもはたから見たらうっすら目が開いてるのが分かる下手すぎる狸寝入りだが…セイラはバレないと信じていた。
ガチャッ
セイラの抵抗虚しく扉は無情に開け放たれた。
「失礼致します。セイラお嬢様、お目覚めのお時間でございます。
本日はお身体のメンテナンスの他にデザイナーとのデビュタント用ドレスのデザインの打ち合わせのご予定がございます。」
シーーーーッン
広い部屋にルリだけの声が響き渡る。
誰も返事を返すものはいなかった。
ルリはその可愛らしい顔に不釣り合いな青筋を立てながら、セイラの布団をひっぺがしに向かおうとしたが、ルカがすでに向かっているのを見てそっとしておくことにした。
「セイラお嬢様~!!お目覚めのお時間ですよ~。」
シーーーーッン
ルカが声をかけても狸寝入りを続けるセイラ。
「…セイラお嬢様…目…薄目すぎて白目になっていますよ??
令嬢としてそのお顔は相当マズイと思いますが…まあ、セイラお嬢様ですから…。」
ルカは残念な人を見るような目をセイラに向けた後、見てはいけないものを見たかのように気まずげにそっと視線を逸らした。
部屋の中に気まずい空気が漂った。
その空気に1番に耐えられなくなったのは…そう、セイラだった。
「ちょっとルカ!!私だからってどういうことなのよ!?
私白目なんて剥いてないもの!!」
ルカは残念な人を見るように
「えっ…白目剥いて相当酷い顔してましたよ??」
と言った。
剥いていた、剥いていない、長きにわたるそんな押し問答に終止符を打ったのは…
「セイラお嬢様。お目覚めになられて何よりです。このまま永遠にお目覚めになられないかと思いましたよ。
それだけおふざけできる元気があるようでしたら今日はみっちりメンテナンスメニューを詰め込ませていただきますね。」
ルリだった。しかも表情が笑顔なのに目が全く笑っていない。
セイラはあまりの怖さに震えることしかできなかった。
「そんなことよりも、これからご朝食ですが、皆様すでに食堂でお待ちになられております。
早くご準備をして向かわれた方がよろしいかと。」
「えっ!もうそんな時間なの!?
今日かなり早く起きてたのに!?」
「ルカとのやりとりで1時間近く経っておりますからね。」
「「えっ!!」」
これにはさしもの、セイラもルカも驚いた。
「急がないと!!お母様とお姉様に叱られるわ!!
ルカ、ルリ、準備お願い!!簡単で良いから急いでちょうだい!!」
「かしこまりました。
では、本日はこちらの水色のドレスに髪型はポニーテールにしてドレスと共布のリボンをつけましょう。」
「ええ、それでお願いするわ。
なるべく急いでね!!」
~10分後~
「こちらでいかがでしょうか??」
「さすがルリね!!とても素敵だわ!!
とても短時間で仕上げたとは思えないわ!!ありがとう。」
「セイラお嬢様とても素敵です~!!
お嬢様は黙ってさえいれば、ただの美少女ですからね!!」
なんてルカからのからかいを受けながら食堂へと向かった。
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